みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

「最悪の敗戦」を「成長の糧」とするために~2017.11.11名古屋グランパス対ジェフユナイテッド千葉~

f:id:migiright8:20171116225915p:plain

相手監督の嬉し涙で書き始めるのも悔しいですが、絵になるのでここから始めます...。

さて、豊田スタジアムで行われた名古屋グランパスジェフユナイテッド千葉の試合は0-3、千葉の勝利で幕を閉じました。現地で観戦した後の率直な感想は「完敗」。失点シーンがショッキングだったこと、なによりエスナイデルが涙を流すくらいお互いに重要な試合だった。その喪失感。完膚なきまでにやられたなと、落ち込んでその場を後にしました。ただその後この試合を何度か見返していくうちに、実は紙一重な部分もあったのでは、そう思うようにもなりました。3失点のうち2つはミスからです。勿論何故ミスが起きたか、その原因は間違いなくあるわけですが、同時に防げた可能性がある失点でもあったわけです。

ただ千葉はいいチームでした。強かった。試行錯誤が続いていたようですが、それらが今確実に実っている印象です。「攻撃」「守備」「攻撃→守備」「守備→攻撃」の中でもとりわけ「攻撃→守備」「守備→攻撃」、所謂攻守の切替の強度、連動性にはかなりの差があったなというのが正直な感想です。ただ彼らとのこの試合が、プレーオフ前で良かったとも今は思います。それくらい彼らは私達に大きな課題を残していった気がするからです。正直に言って、これを知らずにプレーオフに進んでいたら一発でアウトだった可能性が高い。例えば相手が千葉にしろ、徳島にしろ。そのあたりを今回のブログで一つずつ振り返りたいと思います。

今回は取り上げるシーンが多岐にわたる為画像多いです。辛抱強い方、ついてきてください。

ということでスタメンです(千葉のスタメン「復旧中」です)。

f:id:migiright8:20171116230103p:plain

f:id:migiright8:20171116230343p:plain

千葉の守備戦術を紐解く

f:id:migiright8:20171117012942p:plain

 千葉のプレッシングの考え方がよく分かるシーンを厳選しました。名古屋の左サイドから櫛引までボールが渡った瞬間を切り取った画像です。この場面、ボールホルダーである櫛引に2トップの一角である船山がプレスに行きます。残りの選手はチームの陣形をボールがあるサイドにスライドすることから始めます。

f:id:migiright8:20171117013521p:plain

櫛引から中央の小林に入ったシーン。この段階で千葉は既にスライドを終え、チーム全体でボールを奪いに行ける陣形が整っていますから、今度は全員でボールの方向に向かってプレスをかけに行きます。このスイッチが入るタイミングは相手の「バックパス」。千葉からすると自分達の矢印(名古屋ゴール側)の方向、名古屋からすると自陣の方向へ「戻す」タイミングで千葉は最終ラインも含め一気にラインを押し上げる。

f:id:migiright8:20171117014203p:plain

小林は目の前にいる相手2トップの間に顔をだした櫛引に再度ボールを戻しますが、この時点で既に熊谷が掴まえに来ています。

f:id:migiright8:20171117014343p:plain

櫛引からワシントンへパスが回り、そこから縦にいる寿人にパスをするものの、このポイントも千葉の選手が既にケアしており、案の定掴まってしまいました。

千葉の特徴の一つ、最終ラインも見ていきます。f:id:migiright8:20171117001835p:plain

これはミドルサード(ピッチ中央付近)の状況です。このラインの高さ。陣形が整い、プレスをかけられるタイミングになれば必ず最終ラインも押し上げ全体をコンパクトに保つ。これは彼らの絶対的な約束事です。

リトリート(低い位置で構える)した際も同様です。

f:id:migiright8:20171117014837p:plain

見た通りです。これらで分かる千葉の守備の特徴は以下の通り。

  • 縦横を圧縮してコンパクトな陣形で網を張り、名古屋の「スペース」を潰す
  • プレスはボールを中心に四方から蓋を閉じるようなイメージ
  • 最終ラインはこまめに高い強度で上げ下げし、名古屋の前線の選手を操る
  • 結果的にオフサイドポジションに名古屋の選手を取り残す
  • 全員がチーム戦術に沿ってハードワークをし、誰一人サボらない

お互いのシステムだけ見れば上手く噛み合ってそれぞれがマークにつけるような配置なのですが、千葉の場合ボールを中心に陣形を整えながら動いている為、ボールと反対サイドはほぼケアしません。名古屋の選手がそこにいてもあえてつかない。必ずボールを網の中で奪い取る。勿論高い位置であればあるほど良い。何故なら奪ったらそのままショートカウンターで手数をかけず名古屋ゴールに迫れるからです。これは名古屋が前に人数をかけるチームだからこそ余計に効きます。目的は「名古屋のスペースを奪い」「高い位置でボールを奪還しショートカウンターでゴールまで繋げる」です。

ではこの千葉の守備に対して名古屋の攻撃のどこに問題があったのか。

名古屋の攻撃の問題点

スペースの使い方、選手のポジショニング

f:id:migiright8:20171117021846p:plain

象徴的なシーンを。この場面、ボールホルダーは小林ですが、実はこの前の段階で狭いエリア内を田口と何度かパス交換し、相手を引き寄せつつ、自身の前にこれだけのスペースを確保しました。得意の狭いエリアでのパス交換から相手の陣形を自身のエリアに集中させ、尚且つプレー出来る時間も確保しているわけです。そのうえで注目したいのが右サイドにいる宮原。いわゆる「ドフリー」です。前述の通り千葉はボールと反対サイドは捨てているからこそ、これだけスペースが生まれますし、為田にしろ比嘉にしろ宮原を視野にすら入れていない。画面に書き込んだスペースにパスをだせば、その1本のパスで決定機を生み出せる状態です。後述しますが、これが風間監督が良しとするサイドチェンジです。「寄せて」「空けて」「勝負出来るパスを送る」。これがスペースに逃げないサイドチェンジ。ではこの後のシーンに移ります。

f:id:migiright8:20171117022506p:plain

小林はあれほど時間があったにもかかわらず、宮原の前ではなく、彼の後方(名古屋ゴール側寄り)にパスを送る選択をします。いわゆる足元へのパス。ただこの選択は正しかったのか、そこが問題です。何故ならここで勝負出来るパスではなく、ポゼッションの為のパスを選択したことで、千葉側に宮原サイドへ陣形をスライドする時間を与えてしまっているからです。要は名古屋にとっては攻撃を「やり直す」形になっている。これが先程とは逆の意味、風間監督が嫌うサイドチェンジです。スペースに逃げるだけの、結局相手がスライドして一から攻撃をやり直す必要がある意味のないサイドチェンジ。何の為に密集地帯でパス交換をしたのか、そこで構築したものがこの1本のパスでまたゼロに戻っている。この場面はたまたま小林のプレーでしたが、補足すると、この試合最も意図をもってチャレンジするパスを送っていたのもまた小林であったことを付け加えておきます。

あえて空けているスペースが勝負のポイントとして上手く活用出来ないシーンは後半にも度々ありました。

f:id:migiright8:20171117012309p:plain

このシーンも青木が上手く前を向き、相手の最終ラインは青木のドリブルと視界に入る名古屋の前線3枚に視線が集中しています。勿論千葉の陣形が青木のサイドに集中しているのも分かります。そのうえでこの場面は左サイドの和泉に注目をしてみます。先程の宮原同様ドフリーです。シンプルに和泉の前にボールを送ればそのままゴールまで一直線というシーン。ただここも青木はあえて実線のシャビエルの足元へボールを送ろうとする。結果は千葉の最終ラインに阻まれて攻撃が終わってしまいました。

確かにゴールへの最短距離はこのルートです。それは間違いではない。ただ中央の狭いエリアだけで局面を打開出来る相手ならともかく、千葉のように極端にボール中心に網を張るチームに対して、同じ攻撃に固執する必要があるのか。何のためにボールを持つことを大前提にしたチーム作りをしているのか。端的に言えば、自分達の最大の武器をまだまだ活かしきれていない。相手によって出来不出来の差が大きい。それは相手によって自分達の武器の活かし方に変化がないからです。それが今のグランパスではないでしょうか。狭いエリアでも細かく繋げる技量があるからこそ、実は千葉のような相手を攻略出来る糸口があったわけです。ただ今はそのスタイルに固執するあまり、手段と目的がすり替わってしまっている場面が存在する。

さて、先程のシーンでもう一つ気になったのが各選手達のポジショニングです。

f:id:migiright8:20171117010412p:plain

このシーン、最終的には最終ラインまでボールが戻ってしまう、この試合を象徴するようなシーンでした。このサイドでの局面、名古屋が4枚に対して千葉は6枚で囲っています。流石に相手の方が2枚多いわけですから分が悪い。ただゴール前に目を向けてみると、ロビン、杉森、青木がフラットに相手の最終ラインと対峙しています。仕掛けるわけでもなく、ボールを待っているだけです。例えば熊谷の脇のスペースに一人降りてくるだけでまた状況は違ったのではないか。

f:id:migiright8:20171117011124p:plain

結果的にこの場面、バックパスが二本続きワシントンまで戻ってきてしまいます。寿人は試合後のコメントで「バックパスが続くと相手のプレスの矢印が大きくなる。次のサポートまでの距離も出来てしまう」といった趣旨のコメントを残しています。彼のコメントに込められた意図がこの画像から伝わると思います。千葉の選手がボールの流れる方向へプレスのスイッチを入れている様子、ボールホルダーであるワシントンと名古屋の残りの選手との位置関係。

f:id:migiright8:20171117004917p:plain

これもそうです。前線3枚のポジションがかぶっています。相手の網の中、相手の視野内に収まる場所で最終ラインに仕掛ける(相手の矢印の逆を取る)わけでもなく、同じ景色を見てしまっている。

f:id:migiright8:20171117005235p:plain

同様にこの場面も3人が全員同じ動きをしています。仕掛ける矢印が一方向(千葉ゴール側)のみで、相手の想定内の動きに終始している。例えば網の外に移動する、極論その場でストップしてもいいわけです。相手の守備の矢印と違う動きをすることで歪みを作ることが出来る。そういった動きが皆無で、どうにも網の中で必死に動いている印象すら受けます。

では逆に上手く千葉を攻略出来たシーンを振り返ります。

受けて、だして、相手の逆(網をかいくぐる)を取ることに成功したパターン

f:id:migiright8:20171117000657p:plain

このシーン、青木が相手を上手くかいくぐって前方に視野を確保します。ここでボールと反対サイドにいる和泉の前にシンプルにボールをだしたことで一気にファイナルサード(相手のゴール前)に侵入することに成功。ちなみにこのシーンも千葉の町田、溝渕は和泉を全くケア出来ていません。視野から完全に外れている和泉に向けて、「スペースに逃げる」「サイドを変える」のが目的ではなく、「このポイントで勝負する為」にボールを送れています。

f:id:migiright8:20171117002437p:plain

次のシーン。この場面も青木が演出します。田口、中盤におりてきた玉田とパス交換を繰り返し千葉の前線、中盤の選手を同サイドに集めます。千葉の両CB(近藤、キム)の特徴として、前にいるボランチ二人がエリアを捨ててでも前にボールを奪いに行くことから、空いたバイタル(中盤と最終ラインの間のスペース)を使われる恐れがある際はポジションを捨ててでも人についていきます。この場面でいえば中盤に降りてくる玉田に近藤は必ずついていく。この攻撃に関しては、名古屋はそうやって意図して相手を釣りだし、勝負出来るタイミングで一気にそのスペースをシャビエルに突かせることに成功しています。これが前半の最大の決定機でした。だして、寄って、タイミングを変えて裏を狙う。完璧な崩しでした。

どのシーンにも共通するのは、この「だして、寄って、受けて」の繰り返しの中で、相手の状況を確認しながら勝負出来るタイミングでパスのリズムを変えたり、相手の見ている景色、視野を変えることに成功していることが挙げられます。

これは風間監督の試合後のコメントです。

今日の場合は中盤で繋ぐ必要がなかった。最終ラインに仕掛けたかった。

風間監督は「ショートパスで繋ぎ倒せ」「中盤は省略するな」とは一言も言っていないわけです。勿論「中央から崩しきれ」とも言っていない。またこのコメントも興味深いものでした。

我々がボールを持つというのが何かというと、やっぱり相手がどういう風に来ているか、それに対してどう反応するかというサッカーなんでね。パスを3本も繋ぐ必要がない、あるいはそこを2本にする、1本にする、それからもうちょっと、出して寄ってからのタイミングを変えることで多分もっと破れたはずなんでね。我々のサッカーは自分達の形だけでやってるわけではないんでね、そういう意味で自分達がしっかりボールを持つというのは、相手を見ながらサッカーが出来るということですから、やっぱりそこのところをもう一回ね、何を見るか、どこを見るかということに関して、またこれからしっかり練習していきたいと思います。

このコメントを読んでも風間監督は選手達に何も禁止していません。大事なのは「何を見るか」「相手の陣形、動き」を見ることであって、ボールを持つこと、細かく繋ぐことはあくまでそのための手段でしかない。中央にこだわるのも、風間監督の理論ではまずその前提がないと「外」が上手く使えない為です。そのエリア(中央)でボールを持つ、相手を外す技術を持つことで生まれるスペースがある。見れる景色がある。だからサイドチェンジ自体を否定しているわけでもないですし、外が空いていれば使えばいいわけです。ただし何度も書いていますが、使うまでの組み立て方、タイミングが重要。この考え方に関してはj_saimoさんのコメントが参考になります。

一方で戦況によっては「あえて外に張る」行為も有効です。今回の千葉のような相手の場合、そもそもボールと反対サイドは捨てているわけですから、勿論風間監督の理論通りボールサイドで密集を作って、勝負出来るタイミングで両SBを活用する戦術も効果的だったと考えます。勿論それを上手く出来なかったのが敗因なわけですが。ただ同時にこの網の中でそもそも勝負する必要があるのかという考え方も存在します。ピッチの横幅を上手く活用することで、その網を広げるような仕掛けがあっても良かったのではないか。ただこの点に関しては、どういったサッカーを志向するか、その影響を多分に受けますので、どちらが良い悪いという話でもありません。ですから風間監督の理論に沿って考えれば、彼が提唱する外の使い方、サイドチェンジの意味も理に適っているわけです。ある局面で優位性を保ったうえで、空いているエリアを勝負をするポイントにする。そのための密集であり、かいくぐる技術であるということです。

敗因といえば、今回はあえて守備も取り上げたいと思います。

名古屋の守備の問題点

(FW-MF)と(DF)間の距離「間延び」

f:id:migiright8:20171117020450p:plain

セットした際の名古屋の守備ですが、見て分かる通りFW2枚と中盤の4枚は割と高い位置に陣形を保とうとします。攻撃的な選手が多いこと、勿論チーム戦術として「前から奪う」が前提にあることも起因しているでしょう。ただ大きな問題点もあって、高い陣形を保つ割には前からのプレスの強度は意外にも高くない。決して守備が得意ではないシャビエルと玉田が最前線なわけですから、しょうがないといえばしょうがないのですが...。ただ結果的にプレスが効果的にかからず、相手のボールホルダーが前向きの態勢で余裕を持っている為、名古屋の最終ラインはどうしても背後が怖くてラインを高く設定出来ません。

f:id:migiright8:20171117020835p:plain

なのでこのように中盤と最終ラインの間でボールを受けられると簡単に前を向かれてしまう。また最終ライン目掛けてハイボールを蹴られると、余計にこのライン間が空いてしまう、効果的な攻撃に繋げられてしまう。この点に関しては試合後和泉がこう語っています。

相手は縦に速いボールを蹴る状況でディフェンスラインが下がってしまい、いつもと違う距離感で今までのサッカーが出来ませんでした。

f:id:migiright8:20171117015752p:plain

これもそうです。相手にサイドを深くえぐられると、どうしても最終ラインがフラットにラインを作ってしまう為バイタルが空いてしまう。これに関しては、相手に深くえぐられた際のゴール前でのライン形成をどうするかという点においても工夫は見られません。

失点シーンを振り返る

f:id:migiright8:20171117003052p:plain

この場面、ボールホルダーの町田をケアする為に小林がついていきます。町田は右SBの溝渕にボールを預け、自身のポジションに戻ります。溝渕は小林が移動して空けたスペースに構える熊谷にパスを通す。

f:id:migiright8:20171117003840p:plain

小林は自身のポジションに戻ります。まさに孤軍奮闘。彼が必死にバランスを取っています。ただしこの場面では町田に揺さぶられたことで時間を奪われ、熊谷との間にこれだけのスペースを作ってしまう。私はこの場面に1つ目の問題があると考えます。このときシャビエルは千葉のCBへのバックパスをケアするポジションにいるわけですが、最も危険だったのはこの熊谷のポジションです。CBに戻されたところで千葉としても攻撃をやり直す形になるわけですから、放っておいても問題がない場面でした。まず彼のポジショニングがどうだったのか。あとは小林-田口-青木のラインの間隔も気になりますね。もう少しボールサイドに絞るべきではないか。

f:id:migiright8:20171117004543p:plain

二つ目の問題点。ここが決定的だったと思いますが、船山をマークするワシントン。熊谷がボールを持ったタイミングで名古屋のプレスがかかっていなかった為、パスが出てくると考えたのでしょう。彼はこのタイミングで船山から目を離し、隣のラリベイ、櫛引のポジショニングを確認します。それ自体は悪いことだとは思いませんが、問題だったのは体のアングルごと変えてしまったことです。船山の動きと逆モーションを取るような形で目の前のマークを外してしまった。この一連の動作で勝負ありでした。たったこれだけの動作で裏に抜ける船山に何歩も後れを取ってしまった。勿論ワシントン自身も足は決して速くありません。櫛引がラリベイをフリーにし、ゴール前を空けてしまったように見えますが、彼としてはワシントンが船山に追いつかないことを咄嗟に判断した上で、一か八かの賭けでマークを外してでも船山を追ったのでしょう。結果は時すでに遅しでしたが...。

現状の守備について

よく「風間八宏は守備が仕込めない」と揶揄されますが、要はこういった部分がそういった評判になるのでしょう。相手がボールを保持した状態でセットして守ろうとした際、チームとしての細かい約束事、チーム戦術が希薄な為、各選手が個々の判断で動いている印象を受けます。だからギャップやフリーな選手が生まれる。ファジーなポジション取りをされると誰がマークに付くかはっきりしない。組織としてのチャレンジ&カバーや、細かいスライド(空いたスペースを埋めていく動き)も見られません。ただこの点に関しては「技術解体新書」の守備の項目を読めば、彼の考え方(各個人がいかに相手にやらせないか、個人の守れる範囲を広げていく)が守備においても如何に個人に依存した考え方か分かりますし、ピッチ上の現象は腑に落ちるわけです。川崎の選手たちがこぞって「守備練習はほとんどした覚えがない」とコメントしているくらいですから、正直ここは期待できないと思っています。ボール保持が前提と言いますが、90分あればそうでないときもあるからこそ、「八宏スコア」が生まれるわけです。殴り合いになる。おそらく攻撃の完成度が上がってこれば、前からの守備はもう少し改善される可能性はありますが...。

ただしセットした守備はこれらの前提の上に成り立っていますから、やはり個人の守備力が高い選手がいるにこしたことはないわけです。ただ同時にこのチームのCBはビルドアップの技術も求められることは前回までのブログでも論じた通りです。風間監督のチームにおけるCBの役割がどれだけ大変か、ハイスペックを求められるかという話です。

またこれはあくまで私の想いですが、ブログに関してもこれらの点を好き嫌いでは書いていません。嫌いといったところで、それ以上の発展性がないからです。グランパス以外のチームであればこの好き嫌いでチームはチョイスしますが、これが私達のチームである以上、私としては良いところに目を向けたい。チームの目指すべき方向性を理解した上で目の前の現象を捉えたい。ですのでこれまであえて指摘をしていませんでした。

ただやはり守れないのであれば打ち勝ってほしいのもまた事実です。今回の千葉戦のように決め手に欠き、穴だけ突かれて完敗しているようでは、大袈裟に言えば風間八宏である意味はないわけです。これで突き進むならどんな相手でも殴り倒せるようなチームにならないと意味がない。勿論まだまだ成長過程なのは前回までのブログでも書いた通りです。何を目標にチームを作っているか、それすら見えなくなったら終わってしまいますから、その意味ではチームの進歩、成長がみられる分、私はこの路線ならこの路線で支持するつもりです。とことんやってくれと。ただしやる以上は必ず殴り勝てるチームになってくれないと困ります。それだけ極端なことをやっているわけですから。

風間監督の攻撃の理論の前提にあるのは「ボール保持者が常に先手を取れる」です。であれば翻って守備の局面は後手になるわけですから、組織で守る術が必要なのでは?とも思いますが...他のサポーターの方々はこのあたり、どうお考えでしょうか。

とは言うものの、もう目の前にはプレーオフという大一番が待っています。

千葉戦で浮き彫りとなった課題をこの短期間で克服出来るか。それがJ1昇格のカギになると思っています。今週の様子を見ていても、どうやら磨くべきものは「攻撃、攻撃、攻撃」のようですね。ブレない男。ではまた。