みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

継続の先に生まれるものはあるか

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夢のような1ヶ月もあっという間に終わりを告げ、私達の日常が帰ってきた。

そう、Jリーグである。思い出そう、最下位の現実。

とはいえこの1ヶ月は楽しいものだった。前半戦の辛い過去を忘れるには十分な期間だったし、ワールドカップにうつつを抜かす間にグランパスは着々と戦力補強を重ねた。

今回は忘れかけていたシーズン前半戦を振り返りながら、これから始まる後半戦の展望をしていきたい。中断期間前のグランパスがどういった状態だったのか。問題はどこにあったのか。風間八宏が追い求めるサッカーとは一体どんなものなのか。あくまで私の主観で進めていく内容となるが、起きていることに目を逸らさず、一つ一つ丁寧に説明をしていきたい。長い文章になるが、読み終えたときに少しでも理解が深まり各々で考えるきっかけとなればと思う。

待ちに待ったJリーグ再開に向けて、何か一つでも楽しみが増えることを願って。

そもそもグランパスがあるべき姿とは

まず大前提のおさらい。グランパスを観戦する上での大きな指標である。

それは「相手陣地で長い時間ボールを保持し、奪われた際は高い位置で奪い返す(即時奪還)ことが出来ているか」というもの。要は相手を押し込むことが出来ているか。

これを実行するには二つの手段が鍵を握る。一つは「ビルドアップ(組立て)」、もう一つは「前からの組織的なプレッシング」だ。目的を果たすためには少なくともどちらか一つが十分に機能している必要がある。簡単に言ってしまえば、何をもって試合のリズムを掴んでいくか、自分達の土俵に相手を引きずりこんでいくかということである。勿論その土俵とは、相手陣地でボールを保持する状況を作ることだ。

果たして前半戦のグランパスは満足にそれが出来ていたのか。

◯ビルドアップ

もっとも苦戦した項目だ。「止めて蹴る」という絶対的なキーワードを掲げ昨年からチームを作り上げてきたが、これがJ1の舞台で満足に出来ていない。正直に言って、田口泰士の抜けた穴は残念ながら大きかったと誰もが認めるところだろう。新しいグランパスが見られると期待したが、風間監督の理想を実現する上でゲームメーカーの不在は想像以上のものだったと言わざるを得ない。安心してボールを預けられる場所がない。この現実は選手達の不安を駆り立て、プレーの自信のなさに繋がった。

◯前からの組織的なプレッシング

ビルドアップが機能していないことから、せめてこちらが上手くいけばよかったのだが、残念ながらこれも壊滅的だった。今年の目玉補強であるジョー、昨年からの絶対的エースであるシャビエルを前線に二枚並べたものの、共通して前からのハードワークでボールを奪いにいくタイプではなく、前線からのフィルター機能はほとんど期待できない状態。それが顕著に表れたのが豊田スタジアムで行われた横浜Fマリノス戦だろうか。ご自宅にBSの録画が残っている方は是非振り返ってもらいたい。私も久しぶりに見直してみたのだが、ワールドカップの余韻もあってか正直に言って目を覆いたくなる惨状であったことは間違いない。

ビルドアップという術が機能しないチームにおいて、残されたもう一つの術も機能しない場合どういった現象が起こるのか。

マリノス戦における名古屋の戦い方は、彼らにとって前半戦のハイライトのようなものだった。ネガティブな内容にはなるが、今回はこの項目を一つ一つ順序立てて考えていきたい。

①最前線に位置する選手達のファーストディフェンス

この試合、マリノスのビルドアップに関与する選手は名古屋の選手より常に数的優位だった。具体的にいえば中澤、デゲネク、扇原、ゴールキーパーである飯倉。時々山中といったところだろうか。それに対して名古屋のファーストディフェンスの担当はジョー、シャビエル。少なく見積もってもマリノスの三枚に対して名古屋は常に二枚。

この前提に立った時(枚数が噛み合わない時)、名古屋はどう振る舞うべきだったか。

一つは相手の三選手の内、最も足元が苦手な選手を「捨てる」。捨てると言うことは、多少のリスクがあっても放っておくということだ。また一つは意図的に狙った方向へボールを誘導する。狙ったエリアにボールを追い込めば、その局面では数的不利が解消する可能性があるためだ。そしてもう一つ、そもそも前から奪いに行かないという手段も考えられる。相手のチャンスに直結する中央のルートだけ締め、外に出されたボールに対して囲い込んでいく。

さて、名古屋はどうだったか。

残念ながらこの三つ、どの狙いもなく個々それぞれが闇雲に前からボールを追っていたというのが正解である。「前から奪う」これは本来チームとして組織だって動かなければ可能とはならない。しかしながらこの「前から奪う」という言葉だけが一人歩きし、実態は個人個人が前から奪おうと目の前の敵を潰しにかかるだけの無秩序なものだった。チームとしての奪いどころが共有されていないため、どこにボールを追い込もうとしているのか、その意図が見えない。それは例えば奪いにいく際の身体の向きや走るルートに表れる。サイドに相手を追い込んでも簡単に逆サイドに展開されてプレスを回避される。2人で相手のボール保持者に向かってしまったり、パスコースを開けたままなんとなく身体を寄せにいってしまう。ツートップの1人が相手をサイドまで追い込んでいるのに、中のパスコースを潰すべきもう1人の相棒がてんで違う場所に存在する。組織と言えるものは皆無だった。

例を挙げてみる。

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この状況におけるポイントは八反田の「立つ位置」。チームとして上手くサイドに誘導した際に重要なのは逆サイドに位置する選手のポジショニングである。何故か。縦に詰まった相手選手が考えるのは、一度バックパスして逆サイド(名古屋の選手が少ないサイド)にボールを展開することでこのプレスを回避し前進することにある。その前提に立った際、この場面でいえば八反田のポジションは「山中へ渡るボールをカット出来る」場所に立つことが正解ではないだろうか。人につくのではなく、もっとファジーなポジションを取る。そこがハマらないとどれだけ相手を追い込んでも台無しとなる。この試合に関していえば、八反田は人を意識しすぎるあまり同じようなケース、要は相手の手詰まりになったサイドの逃げ道として何度も活用され、前半途中で退くこととなった。

またマリノスに関していえば、事前のスカウティングの段階からなのか、それとも試合中に判断し意識的にやっていたのかは不明だが、ビルドアップの際にこのボールの運び方を明らかに狙っていた節がある。片方のサイドに名古屋の選手を寄せ逆サイドに展開し、稚拙な名古屋の守備応対の隙をついて前進する。これはおそらく意図的なものだったであろう。

またこの場面。

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上がってきた新井がボールを失い、そのままの勢いでボール保持者であるデゲネクに突っ込んで行ったシーン。何故かシャビエルも一緒にプレッシャーをかけに行ってしまい、それを回避すべくデゲネクが中澤にパスを出す。その直前にジョーが中澤にプレスをかける。問題だったのは、このときジョーは最も危険な中央のエリアでボールを呼び込もうとする扇原を全くケアせず(コースを切らず)真っ直ぐ中澤にプレスを掛けに行った点にある。中澤は悠々と扇原にボールをつけ、扇原は前方でフリーになった喜田にボールを預けることで中央に出来た広大なスペースを利用しボールを運んで行った。たった2本のパスで3人が外されてしまったケースである。

②後退する守備ブロック

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ファーストディフェンスがハマらないことで問題なのは、二列目、三列目で待機する残りの8人がどこにボールが展開されてくるのか予測できないことであり、それ故ボール保持者へのアプローチも遅れる現象が起こる。ボール保持者は当然その瞬間オープンな状態でボールを持つことが出来る。ドリブルで前に運ぶこともできる。手前でも、裏でもボールを配給出来る。そうなるとますます名古屋の選手はアプローチ出来なくなり、結果として陣形は後退する。相手のサイドバックが上がれば、見て見ぬ振りができない名古屋のサイドハーフの選手も付いていく。ボール保持者にプレッシャーがかかっていなければ、当然自由にパスを出される可能性があるためだ。

知らず知らずのうちに相手の動きによって名古屋の陣形は歪み、中盤に大きなスペースが生まれ始める。仮にボールを奪うことが出来ても陣形は限りなく低い位置に敷かれており、前に出ていくには大きなパワーが必要になる。言い換えれば「無駄に戻り、無駄に前にでていく」非常に非効率なサッカーとなる。それが過剰な走行距離として記録されていく。

③「人」を意識しすぎる守り方

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名古屋の自陣深くまでボールを運ばれた際にも問題は起きる。

このチームの欠点は「ゾーンかマンマークどちらで守るのかはっきりしない」点にある。言い換えれば「選手ごとの判断に依存する」守り方ともいえる。名古屋は最終ライン4枚、中盤4枚が二列になって4ー4のブロックを形成することが多いのだが、本来ピッチの横幅を4人でカバーするのは至難の技だ。だからこそ相手のボール保持者とゴールを結ぶ最も危険なルートから最優先に密度を濃くすることで相手を追い込み、その間にボールのあるエリアに全体が絞っていく(スライドし、相手のボール保持者を中心として蓋をしていくイメージ)ことが重要になる。

ただし名古屋の場合そういった組織的な守備の考え方も希薄であるため、自分が立つべき「ゾーン」を意識する選手、目の前の「相手選手」を守る際の基準に置く選手でジャッジがぶれる。一つ前に紹介した場面もそうだが、とりわけサイドの選手は「人」を意識しすぎる。結果として相手に押し込まれ、中盤にスペースが生まれる。そこでボールを保持されると、ボールと反対サイドに位置する名古屋の選手はサイドチェンジされるのを恐れ「絞る(スライドする)」ことが尚のこと出来ない。絞れないということは、ボールがあるエリアの逆サイド側に位置する相手選手を「捨てられない」ということである。結果的に横幅も間延びし、選手間のスペースを簡単に使われてしまう。「守備の際は狭く守れ」このセオリーと全く乖離した現象が名古屋には起きている。

ファーストディフェンスの重要性を理解した選手達から生まれた「機能した試合」

逆にチームが上手く機能し、選手が口々にモデルケースとして語っていた試合が、吹田で行われたルヴァン杯ガンバ戦。この試合が上手くいった要因はもはや語るまでもなく「前からの組織的なプレッシング」である。その結果手に入れたものは、風間監督の言葉を借りれば「取った後に出ていけるポジショニング」となる。相手に引っ張られることなく、各選手が高い位置を保てたからこそ、それぞれの個性が如何なく発揮された。またそれは前半戦機能しなかったビルドアップの拙さを隠す意味でも有効な手段だった。

<取った後に出ていけるポジショニングとは>

ここで少し脱線するが、この言葉の意味を改めて考えたい。

敗戦が続いた前半戦の中で度々風間監督が口にしていた発言である。「俺たちのシステムは攻撃をしやすいように作っている」と。この言葉の意味を考えた方も多くいたかもしれない。ここからは私の解釈になるが、この言葉を理解する上で非常に参考になる例を取り上げたい。今回の日本代表である。

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高い位置からプレスをかける際に彼等の何が参考になるかといえば、ボール保持者へのアプローチの掛け方、またその後方に位置する選手のポジショニングである。

特に注目したいのが乾のポジショニング。自身の背後の選手(相手サイドバック)についていくのではなく「背中に置く」。俗に言う「ハーフポジション(中間ポジション)」、これは自身が立つ位置でボール保持者を牽制し、パスコースになり得るルートをそのポジショニングで消していくことである。当然背後の選手と、横に位置する選手どちらにパスが入っても即座にアプローチをかけられる。これが風間監督が言う「1人で2人を見れるポジショニング」。自身のポジションも高い位置に保つことを可能とし、相手の動きによって陣形を歪められることもない。結果として高い位置でのボール奪取に繋がり、好守における選手の走行距離も無駄がなくなる。風間監督が言う「自分達は攻めるチーム」、これを実現するため特に前線の選手達に必要な要素である。それはこれまで振り返ってきた内容を見ても明らかだ。青木が、児玉が、自陣深くまで下がってから前に出ていくサッカーをすることで彼らの特徴が生きるか。私はそうは思わないし、この点は今回の日本代表にも通ずる話である。このような守備を一人一人が理解し体現出来るようになることが最終的な理想ではないだろうか。

どちらを改善するか。ビルドアップ?プレッシング?

これまで見てきた通り、このチームはビルドアップが機能しないと前線からの組織的な守備でも主導権を握るのが困難で、試合運びが八方塞がりになる可能性が高い。前半戦のピッチ上で何が起こっていたかはこれまでの説明通りである。

本来攻撃以上に組織力が試されるのが守備の局面。そして連動するためには共通の約束事が必要である。しかしどのエリアにおいても守備の約束事を明確に持ち合わせている印象は正直に言って乏しい。これを私は「スッピンで選手を送り出すようなものだ」と解釈している。このような例えで恐縮だが、要は化粧をすることが「組織」であるとすれば、風間監督がやっていることはスッピン(選手それぞれの素材)のまま、彼らの個人戦術を結集させて動くことを要求している印象を受ける。

あえて組織という言葉を「監督の要求する動きを選手達が一つ一つの部品となって忠実に再現していくこと」だと定義した場合、このチームがやっていることは「選手達一人一人が主体性を持って他の選手達と調和していく」サッカーだ。だからこそ個人戦術レベルを上げる必要がある。先程紹介した日本代表の選手達のように。

再現性が乏しい事実や、こと守備に関して「組織の存在しない集団で守れるはずがない」そんな考えを持つものに敬遠されるのは当然といえば当然だ。とりわけ自陣側での守備局面においてボロは出やすいだろう。出来ない選手は淘汰され、出来る選手によってチームは構成される。教えられた型を従順にこなす集団ではなく、ピッチ上で攻守に選手達が繋がり合える集団。まさに化学反応をもって計算されたもの以上のサッカーを作り上げる。これが風間八宏が理想とするサッカーだと考える。そういった意味では、攻守ともにまさに目が揃わなければこのチームは機能しない。目が揃わない選手が1人でもいれば、そこから水は溢れてしまうだろう。

果たしてこのチームは何をベースにして自分達の土俵(相手陣地でボールを保持しゲームを支配する)に試合を持ち込むべきなのか。本来であればどちらも機能しているに越したことはない。ただ風間監督のもと期待できるとすれば、それは結局のところ「ビルドアップでリズムを生み出していくサッカー」なのだろう。

グランパスが躍進するために

相手を崩すフェーズまで持ち込めなければ、結果として即時奪還という場面は生み出せない。そうなったときに例えば自陣で試合を運ばれると守りきる術もない。では相手に主導権を明け渡し組織的に前からボールを奪いに行くことが出来るかといえばそれも出来ない。これが前半戦の偽らざる姿だった。

ではビルドアップをテーマに後半戦立て直していくと考えた場合どうだろう。チームの理想的な循環はこうなる。

ビルドアップを機能させる→相手陣内でのプレー時間を長くする→崩しの局面を増やす→奪われたら即時奪還→二次三次攻撃に繋げていく。サッカーの本質を紐解いていく上で、これらの循環は全て必然的に起きるものだ。言い方を変えれば、どれか一つだけでチームが機能するものでもなければ、これらの順序が入れ替わることもない。前線からの組織的なプレッシング、これを武器とせず名古屋が相手陣地でボールを保持しゲームを支配するためには、結果的にビルドアップがまず上手くいかないことには何も始まらないということである。

だからこその「止める蹴る」。理にかなった考え方ではあるが最も困難な手法だ。いわゆる控え組でも、前からのプレッシングを徹底すれば良い試合が出来た事実がそれを物語る。技術だけは一朝一夕には上達しない。ただ風間監督が率いるチームは、この循環を回さない限りずっと機能不全であることを、前半戦の戦いにおいてサポーターは嫌という程痛感している。おそらく緻密な守備戦術は仕込んでいない。この中断期間中にそのアプローチをとっている可能性も否定は出来ないが、風間監督に限ってそこに着手している望みは薄いだろう。あるとすれば選手の入れ替えでそれが自然発生的に改善するパターン。要は日本代表のようにそれが出来る選手達でメンバー構成をするということである。ただこれまでの戦いぶりから考えれば、ビルドアップが改善して良い循環で回りだす、これが最も可能性のある上向き方である。

そんなグランパスであるが、中断期間中にこの点を改善すべく大きな投資を持ってチーム改革に乗り出した。

中盤〜最終ラインに大型補強を敢行

正直に言って予想以上の補強だった。費やした金額はともかく、あれほどの選手達が最下位に沈むチームに来てくれるとは、これが率直な感想である。

まず川崎フロンターレからエドゥアルドネット。

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田口泰士の穴を埋める男と形容するのは適切ではないかもしれない。ただ紛れもなく「安心してボールを預けられる男」である。テクニック、ビルドアップの際に見せるあの躍動感。申し分ない補強といえる。懸念があるのは試合によって波がかなりある点(川崎情報)。やる気がない時は競り合いにすら参加しないという情報もあるが果たして。また気性が激しいのも気掛かりだ。カードトラブルには要注意。ちなみにキャンプ情報で「ネットのリズムに周りが遅れている」との声も挙がっていた。とはいえ中盤に軸が出来たことは間違いない。チームの心臓が動き出せば自ずと周りの部位も動き始める。彼に関してはその「心臓」になり得る可能性を秘めている。今オフ最大の補強は間違いなくネットである。

次に柏レイソルから中谷進之介

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22歳にしてJ1出場69試合の実績を持つ柏アカデミー育ちの未来の日本代表候補。ユース時代には吉田達磨の元、とにかく攻撃偏重で育てられたセンターバックであるとのこと。苦手なプレーは落下地点を予測して競ること、そんな既視感を抱かせる特徴の持ち主は、非凡な足元のボール捌きでビルドアップに貢献してくれる(はず)である。

最後にFC東京から丸山祐市

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これまでに築いた実績で元日本代表の肩書きまで持つ彼の特徴は、「左利きのセンターバック」という唯一無二の武器。ネット加入で痛手だったのは、同じ特徴を持つホッシャの出場機会が激減する可能性が高いことであり、その意味で彼の獲得はとてつもなく大きい。タッチラインを味方にして左足でビルドアップが可能であることは、ピッチをより広く使えることを意味する。間違いなく重宝されるであろう。

失点数が多いグランパス。新加入の彼らのコメントを見ていても守備に言及する内容が多く、それは当然といえば当然かもしれない。ただ私としては彼らが加わったことで最も期待出来る点はビルドアップの改善ではないかと考える。そこさえ安定すればこのチームはJ1の舞台でもある程度やれる手応えはある。前線はタレント揃いだ。前述したマリノス戦を振り返っても、唯一マリノス側に誤算があったとすれば「守りきれる」と判断し、後半頭から前に出ていく勢いを弱めたことだろう。名古屋側からすれば、案の定カウンターは目を覆いたくなる頻度で続出していたものの、相手陣地でボールを保持する時間が増せば同点に追いつけるだけの攻撃力があったこともまた事実である。

ここさえ軌道に乗れば、あとは「八宏スコア」で毎試合楽しませてくれるのではないかと期待している。

相手のロングボールやカウンター、押し込まれた際の不用意な失点。おそらくそれはなくならない。何故ならそういったセキュリティに風間監督は関心がないからだ。相手を研究しないということは、ピッチ上の選手達が試合の中で戦況に応じた戦い方をジャッジしなければならない。当然90分間ずっとボールを保持することは出来ないし、相手の時間帯になることもある。名古屋とすれば良質なビルドアップで相手を押し込みチャンスを量産する。崩していく中で奪われれば即時奪還。この循環に反することが起きれば即失点の危険と隣り合わせである。

こればかりは理想を言っても仕方がない。であれば取られた分取り返す。

私達が目指す道は昨年から何ら変わっていない。

やるからには中途半端な形ではなく、それを全うした上で勝ち星を拾いつつ観客を楽しませてくれることを願ってやまない。昨年の後半戦に見せたようなあの怒涛の快進撃と極上のエンターテインメントに期待しようではないか。

 

 

※このブログで使用した画像は名古屋グランパス公式サイトから引用したものです