撃ち合いでは俺ら負けねーぞ。 pic.twitter.com/buhtVfveB7
— みぎ (@migiright8) 2019年3月9日
ぎりぎりでしたけどね。
さて、先日初の試みとして、「プレビュー」を書いた。ありがたいことに多くの反響をいただき、特に「毎試合やれやこら(意訳)」「まじプレッシャーかけるぞおい(意訳)」「やろうと思えばやれるっしょ(にっこり)」などなど、借金どころか無料提供だばかやろうってわけですが、見事に取立てにあった気持ちで本当にありがとうございます。
「いやーこういうもの求めてたんですよ」「相手の試合まで観てる時間ないから助かる」
通りざまに「お前は暇だな」って全力で殴られた気分で最高です。
案の定、吹田行ってきたらテンションが上がってしまいまして、
「これ、プレビューやるだけやって反省会しないのはヤリ逃げじゃないか(深い意味なし)」
と思い始めてしまった。愚かだ。いや、「今日は最高の夜にするぜ」とかかましといて、結果最悪の夜でも俺は知らねー煙草ふかしちゃうぜってこれ最悪の男。そう思うと、己の言葉に責任を持つのはやはり義務ではないか。本当に多忙でそれどころではないのですが、現地観戦して湧き立ってしまった気持ちには私嘘つけません。なので今回はちょっとだけ語らせてほしい。
名古屋の右vsガンバの左はどこいったんだという取立てに関する弁明
いやー、名古屋の左サイドは最高でしたね(がんがんすっとぼける)。
特に前半はぱっと見た際に、お互い見事なまでに逆サイドがキーポイントになっていたこともあり、たこ焼き食べてたらきっとこぼしたでしょう。ただ真面目なことを言えば、いくつか理由はあった。
一.ジョアン、思ったより自由や
セレッソ大阪を分析するブログ: 3/2 明治安田生命J1リーグ第2節 VS 名古屋グランパス @ パロマ瑞穂スタジアム #cerezo
— Aki (@NFNL_CB) 2019年3月4日
https://t.co/GIdV50OnzI
これは先日のセレッソ戦後、相手方の優秀なサポーターの方があげたブログ。ここにジョアンに対して、ロティーナがどんな対策を施したか詳細に書いてあるのでご興味があれば読んでほしい。
簡潔に言ってしまうと、右利きで箸を持つ貴方の右側からプレッシャーかけられたらどうですか?って話。左側からならそれでもがむしゃらに飯を平らげるでしょう。ただ右側から妻が迫ってきたらどうでしょう。流石に不自由ではないですか。右でも左でも不自由な思いをしている貴方、それは別の話ですがわかります。つまりセレッソはそれを左利きのジョアンに対して行ったという話。で、今回のガンバはどうだったか。
正直、かなり自由にやらせていた印象をもちました。よってジョアンからすると、ボールを散らすことに関して支障がなかったということが一つ。後半はアデミウソンが気にしてるそぶりはありましたが。
それにしてもジョアンは優雅。私は彼をマエストロと呼びたい。最終ラインからボールをつなぐ際は、ガンバが前二人をマルと中谷しんちゃんにぶつけてましたから、場面場面で彼ら二人の配置をみて、その隣に降りてくる。つまりスリーバックの形。マルとしんちゃんの間に落ちたり、その両脇に落ちたり。で、必ず菱形を作ります。その頂点にはヨネが移動すると。ボールを前進する上で、これは間違いなくチームとして約束事にしてます。逆に相手陣地に入った時のジョアンは、必ず味方のボールホルダーより後ろ側に立つ。平行な位置か、斜め後ろの位置に立って、常に彼が逃げ場になって右に左に展開する。対してヨネはまさにダイナモ。ボールがある局面に顔を出しては、ボールを前に前に前進させる。まあとにかく二人ともタイプは違うけれど、よく走って顔を出しますよ。ここだけはそっくりです。
二.名古屋の両サイドのキャラクター
あと話を戻すと、選手個々の特性。予想通りシャビエルを右に配置したわけですが、彼に求められているのは当然縦への突破やカットインではなく、どちらかといえばフリーマン。後ろは守備が得意な宮原。対して左サイド。和泉、そして¨イノシシ¨吉田豊。どちらも縦にぐいぐい行くと。そこから生まれたのが開始30秒「高速恩返し弾」と皮肉られた赤﨑のゴール。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ (@J_League) 2019年3月9日
🏆 明治安田生命J1リーグ 第3節
🆚 G大阪vs名古屋
🔢 0-1
⌚️ 1分
⚽️ 赤﨑 秀平(名古屋)#Jリーグ
その他の動画はこちら👇https://t.co/JUEMOXumQp pic.twitter.com/osxyLO3u1h
いいですね。何がいいって、喜ぶ吉田のもとに歓喜の輪ができるのかと思いきや、直前で方向転換されて全力で無視されてるのがいい。しかもそれに気づいていない宮原だけが吉田を労ってるのがアツイ(和也ァァあああ!!!)。これはですね、スカパーで放送してる「平畠会議」で、森岡隆三がさすが元代表戦士らしい解説をしていました。「何回こいつら相手の背中とるのか」と。これだけ後手を踏むと、守る側の習性として、自然とボールホルダーに寄ってしまう、だから最後、赤﨑の場所にガンバのボランチが誰もいなくなってしまったと。素晴らしい。もうこんなブログいらねーだろっていう解説。
いや、意外と目立たないんですが、是非パスをした後の選手の動きに今後注目してほしい。例えば和泉。この試合、何回対面のオジェソクのマーク外してましたかと。もう振り回しまくりよ。あれは日々、練習の積み重ねが生んだ賜物。出したら動く。動くだけでなく、対面のマーカーを外しながら動く。名古屋の選手達は、結構瞬間瞬間でフリーの状態が多い。あれだけ和泉とバチバチやりつつ上下動もしてるオジェソクの対面に、途中から相馬ぶっこむ風間采配は鬼。ちなみにイノシシに最後パス出してるのは、前述した説明通りのヨネ。
ここまでが名古屋の攻撃が左に片寄った理由の一つ。では対するガンバがどうだったか。
三.思ったより名古屋を研究してたはずのツネ様
明らかに名古屋を分析していたと思います。狙いは「名古屋のセンターバックとサイドバックの間」。しかも使い分けてましたね。カウンターの際は、宮原が高い位置を取ることで空けてしまっている名古屋の右サイドのスペース。これはファンウィジョが狙う。グループとして攻撃する際は、徹底的に名古屋の左サイド、マルと吉田の間を狙う。この二つの狙いは顕著でした。おそらく理由は二つあると思っていて、
- 名古屋がビルドアップする際、シャビエルは内(中)に絞る。大外の高い位置で幅を取るのは宮原。よって、カウンターを狙うなら宮原の裏側(中谷の右側)
- 名古屋の守備は、守る際に各ラインの横幅を極端には圧縮しない。つまり各選手の距離感が広く、尚且つマークの受け渡しも整備されていない為、それによって生まれるサイドバックとセンターバックのギャップを突く
この二つ。その結果、名古屋の最終ラインのギャップを見事に使われてしまったのが、ガンバ一点目のシーン。もー正直な感想いいですか。このシーンのように低い位置でブロックを構えた際の練習、ほとんどしてねーなと。和泉が前に奪いに行く、大外にいるオジェソクには吉田がつく。では小野瀬は?ここが整備されていない。吉田が外を捨てて中に移動するのか、マルや中谷しんちゃんが吉田がいる左サイド側にスライドして、小野瀬がいたこの隙間を埋めるのか。これ構造的な欠陥ではないかと。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ (@J_League) 2019年3月9日
🏆 明治安田生命J1リーグ 第3節
🆚 G大阪vs名古屋
🔢 1-1
⌚️ 36分
⚽️ オウンゴール(G大阪)#Jリーグ
その他の動画はこちら👇https://t.co/JUEMOXLYeZ pic.twitter.com/RPjUEQMEbN
ちなみに前半、ガンバが得意とする左サイドの攻撃ではなく、あえて右サイドに執着した理由の一つとして、名古屋の右サイドにいたシャビエルの存在があったように思う。
四、守らないシャビエルと攻めにでたい藤春の心理戦
彼と藤春の駆け引き、これが面白かった。これまた平畠会議で安永聡太郎が言及してましたが、シャビエルがあえて戻らないのですよ。和泉に比べて、帰ってこない。ただこれがね、藤春からするとかなり嫌だったのではないかと思う。皆さんどうですか。例えば少しだけ空いた時間に喫茶店に入ったとする。コーヒーも飲み終わって、さあ電車の時間もあるし帰ろうかというとき、ちょうど前の席に物凄くタイプの異性が座ったらどうですか。そのまま律儀に帰ります?悩んで悩んで、特急乗り過ごして急行に妥協しませんか皆さん。そう、藤春からすると、前に行きたいけど、シャビエルが気になって放っておけなかった。これは間違いなくあったでしょう。チームとしても、それを承知でまず右から攻めることを選んだと。それを決定づけたのが前半26分、中央でボールを持った赤﨑からのカウンター。右で高い位置に残っていたシャビエルに渡ってからのあのポスト直撃弾。あれは相手ビビらせるにはこれ以上ないインパクトだった。
ただ、後半に入ってから、これはおそらくツネ様から指示があったんだろうけれど、ガンバは当初予想していた左サイドからの攻撃が増えましたよね。追う展開で、得意な左から行こうと。シャビエルにビビるな、がんがん行け藤春みたいな。たしかに考えてみれば名古屋の右サイドの守備は宮原にかかってますから。後半は明らかに遠藤の位置も左側に寄りました。そういうハイリスクな駆け引きが名古屋の右サイド、ガンバの左サイドでは行われていたと。
ちなみに後半のシャビエルに目を向けると、スタートポジションこそ右サイドでしたが、ボール保持の際はほぼ中央、ないしは左サイド。右の幅取りは宮原一人に委ねていたため、その裏のスペースをアデミウソンに走られまず失点。しかしその後シャビエルが何故か左サイドで起点になり相馬をお膳立てと、これぞ殴り合い精神だったと考えます。普通は代わりに誰か右サイドいきますからね。それにしてもあのパスは二年前の福岡戦思い出した。何の魔法だと。凄すぎ。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ (@J_League) 2019年3月9日
🏆 明治安田生命J1リーグ 第3節
🆚 G大阪vs名古屋
🔢 2-3
⌚️ 87分
⚽️ オウンゴール(名古屋)#Jリーグ
その他の動画はこちら👇https://t.co/JUEMOXumQp pic.twitter.com/ZkcQrazSSM
それにしても強気すぎないかその守備は
次にこれ。すごいですよ、とにかく選手たちの自信が。何というんでしょう、決して緻密な印象はないんです。物凄く機械的な、自動化された印象はない。ないのだけれど、とにかく「くるなら来いや。俺のゾーンで狩りとってやるわ」感がすごい。全員が全員、
「守りながら攻めてる」
この印象を強く受けます。この言葉が個人的にはしっくりくる。相手の陣形が名古屋と同じ4-4-2で、選手たちからするとミラーのようになっていたこともあり、各々がターゲットを絞りやすかったのも間違いなくあるでしょう。つまり各ポジション、目の前に必ず標的になる相手の選手がいたので。ただそれにしては相手に捉われない、守っている側は名古屋なのに、なんだか主導権を握っているのも名古屋であるような、それくらい強気な守り方をしている印象が強かった。多分それはピッチ上の選手たちから迷いを感じないからそう思うのでしょう。最終ラインも同様で、ライン設定がとにかく強気。前述の通りファンウィジョが裏のスペース目掛けてがんがん走ってましたが、もうそれはオフサイドにかけるか、全力で追っかけると。その役目を仰せつかった中谷しんちゃんがオウンゴールとペナルティ献上したわけですから、それだけハイリスクなことをやっていると受け止めるべきで。
特に最終ラインの面々は、一人が受け持つ横幅(当然縦幅も)がかなり広い。
[コラム] なぜ中谷進之介が生き残ったのか https://t.co/fgDzqjaaWj pic.twitter.com/GK9EBqnE9P
— グラぽ@AI本2019年発売決定! (@grapodotnet) 2019年3月11日
この試合の中谷は、隣の宮原が空けたスペースと二人分見ているようなものでした。それでもこのチーム、「最初の一人目が奪いに行ったら、芋づる式に全員が前から潰しに行くスタイル」だけは腹括ってるように見えます。それはもはやチームのスタイルで、またそれが出来る選手達、つまり「前から潰すのが得意な選手」を揃えたから出来ること。肝はオフェンシブハーフの二人、和泉とシャビエル。この二人がひよって自身の背後を駆け上がる相手選手に合わせてしまったらこのやり方、機能しない。もうお構いなしです。言ってしまえば「背中で牽制してる」。つまり、彼らは自分が立つ場所だけで、相手のボールホルダーに「ボール出させねーぞ」と圧力をかけてる。
なんだろう、ハイリスクを受け入れる自信のある連中なんですよ、今の11人って。全員が全員ね。観てるとおっかなびっくりなのだけれど、同時にそれがとてもたくましく思える。
なのでガンバはビルドアップにかなり苦労しました。「じり....じり....」と少しずつ前に前に圧力をかける名古屋のブロックにまあ手を焼いた。名古屋のベクトルが全員が全員ガンバのゴールに向いているので、ボールを奪えればそのままの勢いでガンバゴールに向かえてしまうと。これボール保持している時もそうですが、どの選手観てもびびってない。相手に圧力受けても苦に思っていない。そういう自信家の集まり。この二年、風間監督がずっといい続けてきた「自信が大切である」「自信とは技術だ」「相手に合わせるな」を地でいってるのが今のスタメンの連中だと考えていただきたい。攻守ともにですよ。非常にハイレベルな集団になりつつあると、それはおそらくレギュラーを虎視眈々と狙うサブ組の連中が一番自覚してる部分だと思う。
ただ偉そうですが課題はあります。これだけ前から圧力かけるわけで、そこで一つ外されると、名古屋の最終ラインは見事なまでに相手に晒されます。そこからはマルを中心とした最終ラインの上げ下げと、相手の裏を狙う動きの勝負にかかってると。それでやられたシーン、ありますね。48分、小野瀬に巧みにプレスを外されて、代わりにサイドにポジションを取っていたヤットがドフリーで前を向き、ファンウィジョにピンポイントで落としたあのシーン。もっといえば、鳥栖戦でもフェルナンドトーレスに独走されてポスト直撃したシーンもそう。あれだけ高いライン設定なので、一つ外されると相手のボールホルダーはフリーで最前線の選手とタイミング合わせられますから、あれ状況的には即死に近い。こういった「外すビルドアップ」を計画的にやれる、例えばマリノスやヴィッセルと相見えたときにどうなるか。そこは課題です。
最後に語らせて吉田豊をおれに
もうぎんぎんですね。キレッキレです。
🎦 ゴール動画
— Jリーグ (@J_League) 2019年2月23日
🏆 明治安田生命J1リーグ 第1節
🆚 鳥栖vs名古屋
🔢 0-2
⌚️ 77分
⚽️ ジョー(名古屋)#Jリーグ
その他の動画はこちら👇https://t.co/JUEMOXumQp pic.twitter.com/XbaQUYWbx8
今回の赤﨑のゴールといい、吉田の「エグり」がえぐい。
これ、名古屋のサッカーにおけるサイドバックの役割が、例えばサイドを駆け上がって、中で構えるフォワード陣に良質なクロスを上げろって話だと多分ハマらない。つまりある程度「セットした状態」で蹴れと。それは彼、得意ではないでしょう。
彼がこれだけハマったのは、ひとえに名古屋のサッカーにおけるサイドバック像が「崩しのラストピース」だったから。つまり複数人でパス交換しながら、ここぞのタイミングで大外なり一つ内側のレーンを駆け上がってサイドを切り裂く最後の役目になれる。よって相手を崩し切った状態で最後中の選手に「ラストパス」する感覚なんですよね。センタリングというより、最後のお膳立てをするだけ。
(いやクロちゃんじゃねーよ。鳥栖時代の写真しかなかったぞ)その意味で彼の持ってるスピードはもう圧倒的で。あれは名鉄でいう快速特急です。普通とか急行じゃないよ。「ぬぁぁぁイノシシキタァァあああ!!!!」って。崩しのラストピースという意味でいえば、金井との比較が面白い。彼は「最後のフィニッシャーの位置に自分を置くタイプ」。対してクロちゃんいや吉田は、「最後のラストパスを届ける位置に自分を置くタイプ」。これが大きな違い。風貌も何もかも似ても似つかないけど、最後の役割だけでいえば、バルサのジョルディアルバっぽい。
じゃあ金井でも面白いじゃん!となるわけだけど、今年の最終ラインの強気なハイライン、そして前に前に圧力かけて「自分の網で狩り取ったるわ」精神、この一人一人の守備範囲が広い仕様を見ると、そこが吉田は他の追随を許さない。つまり「絶対的なスピード」「圧倒的な対人能力」が攻守において、特にサイドバックには最も求められる素質であると。吉田はびびらないから、案外ボールもしっかり捌けます。宮原ばりに絶対的存在になり得るのではないでしょうか。
ということで、今回の反省会終了!(長いですかそうですよね)
次回は「3月30日コンサドーレ札幌戦」ということで。さらばだ。