みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

独断と偏見でU-20ワールドカップ総括

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負けたなあ...。たった一回のミス、一回ですよ。

録画しておいた韓国戦を出勤前に観るべく朝5時起きし、「頼む、延長だけはやめてくれ、時間がないんだ頼む」と願い始めたのが後半半ばごろ。その矢先に起きた我らが菅原さんのパスミスからの一連の流れ、さすがの我が家も(私だけです)静まり返りました。

韓国にほぼ何もさせず、宮代のポスト直撃シュートもあったりと、正直敗北は想像していなかったところで、たった一つのミスが取り返しのつかないものとなる。なんて残酷なスポーツ、なんて恐ろしいんだワールドカップ。あえてこう表現しますが、我が子たちの戦いはきっと消え去ることのない苦い記憶を残して終わってしまいました。

とまあ暗い印象はついてまわりますが、せっかくです。菅原さんと伊藤くんの今大会をざっくばらんに振り返ります。観た人も観れなかった人もいるでしょう。大切な大会になったんだ、知ってくれよ彼らの勇姿を(拙い文章からだけど)。

伊藤洋輝

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いやあ、彼は彼で苦い大会となりました。レギュラー格として臨んだ今大会。初戦の南米王者エクアドル戦は先発出場だったものの、第2戦のメキシコ戦はベンチスタート。最終戦のイタリア戦でカムバックして影山監督の信頼を感じたもののPK失敗のおまけ付き(それ自体は大したことない)。そして決勝トーナメント1回戦の「宿敵」韓国戦。結局、最後までベンチに座ったまま大会が終わってしまいました。

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何が足りなかったんでしょうか。なぜ絶対的なレギュラーから陥落したのか。個人的には初戦のエクアドル戦の出来が、その後の彼の立ち位置を決めたような気もします。「これは名古屋と同じ課題を露呈しているかもしれない」と。

やっぱり彼はボールに触ってなんぼなんです。当然ながら齊藤未月にはなれない。ルヴァンで初めて生で観たときから気になっていましたが、ボールに関与する機会が少なすぎます。せっかくあれだけ魅力的なキックを持っているのに、技術もあるのに。サイズも最高。今大会でも相手の国の選手よりガタイは勝ってました。優勝。でもそのサイズは決して守備のためにあるわけではなくて。彼、お世辞にも足速くないし、機動力があるタイプでもない。小回り効かないし、身体も硬い。じゃあ何でそれ使うのか、いや攻撃でしょうと。なのにボールに触れなさすぎで。皮肉なことに、第2戦に先発したヴェルディの藤本がボールの引き出し方うまいんだこれが。ビルドアップの際は相手のフォワードがアプローチに来ない場所に陣取り、味方がサイドに追い込まれれば「ここに顔だしてくれると助かる」のポイントをきっちり抑える。つまりボールを受けるための術。ここに大きな差があったのは事実で、分かりやすく初戦は攻守に齊藤未月が目立ち、2戦目は藤本のゲームメイクが目に付いた。それだけ齊藤の負担を軽減していたということです。初戦に関しては「伊藤が一番走ってたしそこ評価しようよ!」なんて声も上がりましたが、そこに満足して欲しくない。だってその役回り、別に伊藤くんじゃなくて良いじゃん。彼の魅力はそこじゃない。

めちゃくちゃ期待してるんですよ。韓国戦、相手の6番のキムジョンミンですか。A代表招集歴のある韓国の高萩洋次郎みたいなルックスの彼。まあガタイの良い選手でしたが、伊藤なら負けてない。それだって十分才能です。だから歯痒くもある。これだけ恵まれたポテンシャルも、局面に関われなければ使い道がないわけです。彼とジョアン(藤本)を対比で観ると、ボランチにとっていかにボールを受けるための予備動作が重要かを思い知ります。彼らの存在意義は、どれだけボールに触れるかに懸かってるんです。だからこそ必要な戦術眼。今どこに立てばボールを受けられるか、どの角度から顔を出しその局面に関わるか、次の展開に移行しやすいか、味方が助かるか。その目を、スキルを、徹底的に磨いてほしい。正直にそこはジョアンとネット、いや小林やヨネと比べても相当な差があると感じます。もうこればかりは日頃からジョアンの一挙手一投足を追っかけてもらうしかないです。これは期待です。期待しかありません、彼には。

菅原由勢

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抜群の安定感でした。独断と偏見で彼は上の代表カテゴリーでも十分主力になり得るでしょう。右サイド、まさに鉄壁。あの緊張感のなさも(決してふざけてるの意味ではなく)いつも通り。初戦、若原がエクアドルのPKを阻止した際、コアラ抱っこで彼に抱きつく菅原さん愛おしかった。ハーフタイム明け、誰よりも緊張感を感じさせないその逞しさにいつかの吉田麻也をみた。兎にも角にもあの強靭なメンタルは誰がどうみても天からの授かりもの。それがこの世界では最大の武器になるのだろうと感じた大会でもありました。

菅原さんって、いまだに「菅原どこで育てるんだ論」が根強くあるんですよね。センターバック?いやサイドバック、いやいやボランチだと。つまり可能性の塊なわけで、実際どんな道を歩むんでしょう。結局U20でも名古屋でもサイドバック。そこをどう捉えるかだと思っていて。個人的な意見ですと、センターバックとしてはサイズがネック。ボランチは正直未知数(少なくともプロの世界で見たことがないという意味において)。となるとサイドバック一本で勝負してほしい、これが私の意見です。彼は賢いですよ。守備は言わずもがなですが、攻撃もよく考えてます。オーバーラップのタイミングもそうだし、ビルドアップも上手い。右から斜めに入れるタイミング、パススピード、ワンタッチなのかダイレクトなのか。例えば韓国戦にしても、彼からは沢山の工夫が感じられました。あとはオーバーラップしたときの攻撃力。持ち上がったときの佇まいが酒井宏樹っぽい。力強く縦に抜けていく感じが。あの攻撃力は磨いてほしいなと。そのポテンシャルを活かすにもサイドバックじゃないか。

「彼、このままじゃ勿体ないよ。名古屋出なよ」この外野からの声も分かります(余計なお世話だとも思うけどさ)。確かにあのポテンシャルで、明らかにメンタルもプロ向き。出場可能なチームならJでも即戦力扱いかもしれない。彼くらいの大器が、年間数試合の実績ではマズいだろ、仰りたいことは分かります。どうですかね、今年ここからの扱い次第ではないでしょうか。名古屋からすれば、深堀隼平コースの実績があるので、よろしく世界のデコ案件になる可能性だってあります。J2武者修行なら引っ張りだこでしょうし。

そんな彼ですが、冒頭にもあるように最後は彼にとって一生消えることのない傷とともにこの大会を去ることとなりました。たったワンプレーです。この大会、屈指の安定感でミスらしいミスもなかった彼がたったワンプレー。そのワンプレーのミスが、命取りとなったわけです。我々もこの瞬間、「一つのプレーの重み」を嫌というほど思い知りました。

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彼、絶対一回り大きくなるはずです。挫折は必ず人を成長させると信じます。いいじゃないですか、この悔しさを取り返すチャンスは、彼ならこれから山ほどある。東京五輪やその後のフル代表、ワールドカップのためにこのミスがあったと思えば高い代償ではない。そりゃこのチームが大切だったでしょう。上に行きたかったでしょう。でも彼にはもっともっと大きな舞台、大きな注目を浴びる機会がこれから必ず訪れます。そのときにやり返しましょう。そのために名古屋で成長しましょう。我々はその姿を目に焼きつけるんです。それこそがサポーターの特権です。楽しみしかないんですよ。このミスが、いつか彼を飛躍させた大切な出来事として語られる日が来ると思うから。そう信じてやみません。

一見へらへらしてるけど、人一倍責任感が強いこと。ムードメーカーの役割を引き受けていたこと。なんとなくですが、分かるんです。誰よりもあのミスに責任を感じていること、なんか分かります。下向くな由勢。一緒に這い上がろう。

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菅原さんと伊藤くんのおかげで今大会楽しめました。本当に我が子が世界の檜舞台で頑張っているようだった。図々しいことを承知で、もう伊藤くんも我が子なんですよ。ルヴァン杯のあの日、彼らの壮行会を目の当たりにして思いました。

ああ嬉しいな、幸せだなって。名古屋から若者が世界に挑戦する。最高だった。ありがとう、我々も勝手にワールドカップ行った気分です。感謝しかありません。

さあさあ、せっかく全試合観ましたし、最後はこの二人以外で目に留まった選手でも語りながら終わりますねどうぞ。

齊藤未月

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ボールを狩る能力は大会屈指じゃないでしょうか。球際で負けてるイメージ皆無。課題はボール保持時のクオリティ。まだまだパスが荒いです。我々のチームはダイナモ系(以前のブログ参照)が若干高齢化してるんですよ。ネクストヨネがいない。つまり海外挑戦の前にトメルケール。ウエルカム。

そうそう、彼が持つこのメンタリティは書き残したい。湘南のDVDで梅崎に突っかかる姿見たときからホンモノだと思ってました。めちゃくちゃ物申してて白目ですほんと。これほどキャプテンマークが似合う男は久しぶり。代表ではネクストトトノエル。長谷部誠の後継者は彼しかいない。

小林友希

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左利きのセンターバック。貴重ですね。センターバックは上の世代がタレントの宝庫なので東京五輪の難易度は高めだと思いますが、彼と瀬古の両センターバックを中心に、最終ラインが安定していたことが好成績に繋がったと考えます。ネクストマルもいないなあ。あと名前が良い。名古屋向きです。帽子好きですかイタズラ好きですか。ウエルカム。

斉藤光毅

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まだ17歳!?若っ!ボール持ったらとりあえず仕掛けちゃうわんぱくキャラが名古屋向きですね。ドリブラー大好きなんですよ我々。あの年齢で物怖じせずがんがん突っかけるプレースタイルは印象的でした。彼は東京五輪でも面白い存在になりますね。今はJ2?そうですかそうですか。ウエルカム。

それにしても良いチームだった。考えてもみてください。大会前に二大エースの久保建英、安部裕葵をフル代表に拉致され、大会中には田川に斉藤光毅まで怪我で失った。特に久保と安部に関していえば、日本サッカー協会は明確にコパアメリカの優先順位が上だと言っているようなものです。残されたメンバー、なにくそ根性ですよね。これ名古屋ならジョーとシャビエルと赤﨑とアーリア抜けたようなものです。考えることもないはい地獄。よく頑張りましたよほんと。

一人でも多くの選手が次のステージでも活躍することを切に願います。次は東京五輪。菅原さんと伊藤くんのライバルは

三好、椎橋、平戸、井上潮音、板倉、町田、中山、庄司、岩田、吉尾、高、原、渡辺、田中蒼、松本泰志、立田、杉岡、冨安、橋岡....ああああああああああああああああああああ