みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

俺たちはずっとフルマラソンをしている

早速ですが、パリピが加入しました。

またか名古屋と。「お前」たちの夏、到来かと。他サポの皆様も騒ついております。そもそも獲ったり出したり、節操がないんじゃないか風間、そんな声も聞こえますね。その点に関して、やはり彼のチーム作りがなんたるものかロジカルに考えるべきだろうと思いました。その結果、ツイッター上で独り言を呟きまくったわけですが、ここはブログにしてまとめさせていただきたい。その上で、前半戦最後の試合、荒れに荒れた神戸戦に思いを馳せながら、改めて風間八宏が作るチームへの見解を述べたいと思います。

(追記:この文章は天皇杯前に完成していましたが、完成後もっと荒れる出来事がございました。心が病んで公開を遅らせた小心者な私、この話題も後々触れていきます)

私たちのクラブが今やっていることとは

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皆さん、長距離走、走ったことありますよね。あれ大っ嫌いだったことないです?可愛い、ちょっと気に入ってる女性にダラダラ汗流す姿みられて。彼女たちが見てる場所の前通過するときだけ超余裕だと呼吸を整え通過したらぜーこらぜーこら。懐かしいでしょう。あのときの俺たち可愛かった。

私、学生時代はサッカー部でありながら、当時はまだ身体もキレキレで陸上部も兼任しておりました。その中で長距離走ってやらされるんです。もちろんフルマラソンではありませんが、距離はともかくやっていることは同じです。全員でよーいドンして、ひたすら同じトラックぐるぐる回って、気づけばくっそ速い奴に周回遅れにされながら惨めにゴールすると。ほんと速い奴ってめちゃくちゃ速いんですよね。で終わったらゲロッゲロに吐き。よく先生に背中をさすってもらったものです(男の先生でした)。

急になぜこんな話を始めたか。これもちろん速さの定義こそ違えど、風間監督のチームもやっていることの考え方は同じです。つまり一年というタームでフルマラソンを選手たちに走らせている(これしか喩えが思いつかぬ)。この場合のフルマラソンで競う速さ、これまでに度々でてきたワード「目の速さ」です。この唯一無二の絶対的な掟のもと、選手たちは日々トレーニングで己を鍛えながら走っている。

当然ながらレースは長丁場です。速い奴と遅い奴の差が生じ始めます。で、ここで重要なのが、彼らがやってることは当たり前ですが個人スポーツではありません。あくまでチームスポーツ。なのである程度目(の速さ)を揃えるためには、速い奴か遅い奴、どちらかに全体を揃えないといけない。

ここで風間監督は最悪なんです。あろうことか目の速い奴に揃える地獄。いや理由は理解出来ます。遅い奴に揃えればチームのキャパは小さなものしか生まれない。だったら速い奴を基準にしようと。となると先頭集団(その速さで目が揃ってる連中)をどれだけ増やせるかがチーム力になる。

すると何が起きるか。私のような周回遅れの人間は淘汰される。つまり放出です。代わりに私より速い人材を連れてくる。で、そのレースに途中参加させる。これで結果的にチームのマンネリは打破できます。新陳代謝が生まれる。またここで重要な考え方、そもそもなぜ先頭集団の人数は多い方がいいのか。単純にチームスポーツだからです。例えば速い奴が8人しかいない。これではピッチにいる残りの3人が足枷になる(風間監督はこれを「水をこぼす」と表現します)。もう一つ。速い奴が11人だけでは、その先頭集団から1人でも欠ければ同様にそこが水をこぼす原因になる。

さらにもう一つ。先頭集団に刺激(競争)がないとタイムが上がりません。当たり前ですが、速い奴は同様に他の速い奴と競うからよりスピードが上がるわけです。この理屈、突き詰めていくと実はよく出来ています。

ここから言えることは、このチームにとっての補強は単純に欠けているパーツの補強の側面もあれば、同時に各ポジションに競争を促すための補強の側面も備えているということです。なんでそれが毎年起きるの?それは先ほど書いた通り、毎年先頭集団のペースが上がれば、当然そのスピードに追いつけなくなってくる選手がいるからです。そのサイクルで常にチームがアップデートされていく。よって、風間監督のチーム作りはある意味において補強はなくてはならないもの、そう考えることもできるかと思います。

そんな愛のない環境はクソやっ!

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当然ながらこう考える方もいます。「毎年選手が入れ替わって、想い入れのある選手もいなくなって、これじゃあ気持ちが追いつかんわっ!」と。またもう一つタチが悪いのが、このやり方、即効性がないんですよ。だって前提を覆すようで恐縮ですが、サッカーは相手がいるわけです。なんだろう、イメージするなら試合中は陸上トラックの上にハードルが様々な高さ、配置で置かれてしまう。当然我々は風間監督に期待するわけです。「もっと速く走れる靴を選手にっ!」「すいません、裏道(戦略)を教えてやってくれませんか涙」。ただあのおっさん(すいません)絶対に教えない。頑として教えない。それでは各々が本当の意味で速くなったと言えないからです。それでも速くなれるよう乗り越えろと。で、見事にズッコケる。我々も荒れる。だからこのチーム作りが嫌いっていう方もいるでしょう。そもそもこれが正しいのかと考える人もいます。別に裏道教えたれやと、それがアンタの仕事だろって。毎試合誰だって好きなクラブが勝つ姿見たいじゃないですか。だからこんなやり方好きになれない。こう思うのも当然尊重されるべき考え方なんです。

散々荒れた神戸戦試合後

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これらの対立した感情が爆発したのが先日の神戸戦後。もーツイッター上は「風間辞めろ」のオンパレード。これ仕方ないんですよ。今の話で、それを受け付けない人はいるに決まってるんです。だってあんなチーム作りする監督、少なくとも国内では彼くらいでしょうよ。我々は、そういう特殊な監督と今、同じ時を過ごしてるんです。だからよく荒れると「議論を!!」なんて正義感に溢れた意見もでますが、はっきり言って不毛ですよそんなものは。だって仮にそんな議論したところで、我々が出した結論をもってクラブが風間監督と縁切りますか?絶対にありません。所詮は好きか嫌いかの「感情」が支配する部分が圧倒的。だったらそれぞれが好き勝手言っていれば良いと思うのです。「だあああ風間この野郎!!!!」「ぐぬぬぬ僕は支持をしますよ」こうやって本当の意味で呟いていれば良いだけです。誰に向けてではなく、自分では抱えられない想いを吐き出すだけでいい。それに共感してくれる方がいればそれだけで救われますしね。

ここで一番やってはいけないことは、自分とは意見の異なる誰かにその感情を怒りに変えてぶつける。または意見が異なるという理由だけで、その相手の人格そのものを傷つけて自分の感情に折り合いをつける。これマジ無意味ですね。私もここ数年で散々言われてきました。紹介しますよどうぞ。

1、風間擁護派

擁護などしてねーよ。よく読めい。期待派と言ってくれ

2、風間信者

教祖なんていらねーわ、夏

3、ポエマー

それただの悪口だろ紡いでねーし紡いでねーから

4、ナンバー文学

ナンバー馬鹿にすんじゃねーよあのらいかーるとさんだって「ナンバー文学も好き」言ってたかんなっ!!(有名人を利用しマウントを取っていくスタイル)そもそもこれでナンバーさんと比較するの失礼すぎるじゃろうがんぁぁああああ?

どうです、酷いでしょう(同情してください)。でも面白いなって思うのが、これだけ散々好き勝手違うこと言ってる連中が、週末になれば申し合わせたように揃ってスタジアムに集結するんです。必死でチームを応援するんです。なんてシュールなんですか。ただ同時にそれってめちゃくちゃ素敵だと思いませんか?みんなが好き好き言ってる方が気持ち悪いんだから。それこそ信者です。クラブがあって、そこに様々な気持ちが乗る。当然だし、なによりそれが面白いのです。

ちなみに私はこれまで書いた理由をもって、名古屋と風間八宏の化学反応を楽しみにしてるクチです。このやり方はある程度資金力がないと無理です。その意味で、風間監督も自身の理想が叶う可能性がある環境を選んでいるといえます。クラブとしてもそれに応えられる資金力がある。ほれ。

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はっはっは、まさにビッグクラブ!!!!←

兎にも角にも彼と大森スポーツダイレクターの目さえ揃い、そこに小西社長の後ろ盾が手に入れば万々歳。基本的には同じベクトルをもって前に進める。その結果、このクラブがどうなるのか。何を生みだせるのか。純粋に見てみたい。だから私はそれを「期待」と呼びます。ただ期待ですから、その期待値を下回れば残念ながら検討の余地があるでしょう。

 現在の先頭集団の速度

これまで我々のクラブはフルマラソン中と書いてきました。では現状トップ集団はどれくらいの速度なのか。神戸戦の試合前会見で、風間監督は面白い言い回しをしていました。

それがみんなの目の錯覚なんですよ。何を見ているかの違いで、そこでボールを追っかけているからそういう風に見えるんです。例えば清水戦のシャビエルの外した場面なんて、あんなのは他のチームでは絶対に見ることができない速さだったから。そういうことが出てくるというのは何かと言えば、違っているんだけど、皆さんが慣れてしまったというか、そういう風に見てしまっているということで。実際には見えていないんですよ。だから良いんですけどね。いつも言うけど、皆さんが見ているものに対してオレが『そうだね』って言うようになったら、それはオレが終わる時だから。この質問は良いんですよ、悪くない。でも、そのくらい変化をしていることには、点を入れてみて初めて気づくことで、それを皆さんに気づかせるためにはやっぱりそれをオレたちが体現しなければいけない。なぜかって、惜しい、では気づかないから。でも決まれば『何が起こったんだ?』って帰ってからも見るじゃない?だからそういう意味ではチームは速さを増していて、上手さを増している。それを皆さんがわかるようにするためにはゴールに結びつけなければいけない。そこの段階に来ているのだと思う

出口のない言葉の迷路乙。いや意味不明っていうかぶっ飛んでます。ただこの回答を、実は神戸戦でほんとに見せてくれたと思っていて。それが和泉のゴール。

これとあとはオフサイドになった前田のゴール。ビビりました。「いやマジで真正面からこじ開けたよオイ」と。正直、想像超えてました。つまりこの二つの場面が、今の名古屋に必要な速度です。この速度なら、真正面からでもぶち破れる。まさにこのチームの指標だと知らしめました。

そうだ、柿谷曜一朗という選択肢も興味深いです。

分かりやすい指摘です。獲得出来るかはともかく、この選手をチョイスした事実は、チームの方向性を理解する上で重要な指標。つまり今のプレースピードに技術とイメージ(絵)がついてくるか(揃ってくるか)がチームのベース。同じ絵が見れるかどうか。その意味で、例えば清水戦のマテウスや吉田はパスがとにかくズレました。止める蹴るがあのテンポで共有出来ない。だからパスと人の動きが揃いません。相手がいて、対策され、それを乗り越えるために更に速度を上げる。この繰り返し。決して上手くいかなくなったから、都度メンバーを解体し補強することでリセットしているわけではない。つまり、このチームはそうやって日々スピードを追いかけ、それを共有することこそが生命線なのです。

先頭集団を狙う者達が我々に教えてくれたこと

悲惨でしたね。この点は散々ツイッター上でも悲壮感たっぷりに語ってますので、こちらでは割愛致します。ただこの試合の彼らの出来が、我々に教えてくれたものもありました。

目の速さという唯一無二の基準において、速さも違えばその目も揃っていないサブ組(試合に普段出場していないメンバー)が、格上相手に組織として全力でぶつかってくる相手と対峙すると、彼らが頼れる術は己の目(つまり技術)しかありません。つまり個が試される。風間監督にとってのカップ戦とは、つまるところそこで各々がどれだけのクオリティ、違いを発揮出来るかにかかっている。そこに期待している。非常に難しいことを要求してはいるものの、喰らいつくにはこれに応えないとこのチームからは振り落とされてしまう。

歴史に残る惨敗を大学生に喫した後、会見を通して風間監督が選手たちに問いかけたこと。そして皮肉なことに、次節対戦する湘南の曹監督も、同様に大敗を喫した天皇杯のメンバーについて殆ど同じ本質のコメントを残しています。それらは彼らが作るチームがどういったものか、強烈なメッセージとして発信されました。両者のコメントは是非頭の片隅に残しておきたいものです。まずは風間監督。

我々も昔はサッカー選手でしたし、明日食べられるかどうか、それが毎日の一個一個のプレーがすべてなので、そこまで我々で何かを変えることはできません。ただ、厳しい社会を作っていくことが我々の仕事なので、そこのところをもっとはっきりさせなければいけないのかなと、今日は思いました

続いて曹監督。

今日、プレーすることを放棄してしまった選手、プレーすることの意味を理解できなかった選手が、ピッチの中に立っていることがはっきり分かりましたし、それに対してどういうアプローチをこれからしていくかっていう事を考えなきゃいけない。(中略)やっぱりそれを悔しいと思って立ち上がっていく選手たちの奮起に期待したい。ただ全員が全員そういうわけじゃないと思うので、そのパイを増やしていくことに迫っていかなければいけないと思っています。(中略)自分たちの信じるものの中で、勝ち負けに左右されず進んでいくという方向と、やっぱり戦っていける選手をしっかりピッチに立たせるという。みんなで一緒に仲良くゴールに向かうのではなくて、競争の中で振り落とされる選手もいるという前提の中でチームを作っていかないと。仲良しクラブではないので、そういう覚悟、自分たちが向かっていく道をはっきりさせて、今後リーグ戦に臨んでいくことが大事だなと思っています

さて、後半戦突入

最後に、週末の湘南戦から始まるリーグ後半戦の指標です。

あくまで昨年ベースですが、ここから昨年と同じ勝点を積み上げれば、理論上はACL圏内です。風間解任論なんかもありましたが、この事実を過小評価してはいけません。昨年はこの時点で勝点10(死)でしたからね。後半戦に向けて、最低限のノルマは達成しているとも言えます。

そして我々の今季の目標は「ACL圏内」。昇格、残留ときて大きくジャンプアップした気もしますが、そもそも風間監督の理想は3年。長くて4〜5年と考えれば、ここで高みを目指さないと4年目に繋がらない。シーズン前に社長、風間監督とも明確に目標を打ち出したのは驚きましたが、彼らの中でもここを目指さないと意味がない、その考えの上でしょう。もちろんそのための補強、資金投資はしたという見えない圧力でもある。それに対して今季の最終着地がどうなるか。これをもって彼のやり方が正しかったかどうか判断すればよい。彼に責任を問うとすれば、この「最終結果」以外ありません。

最初は湘南戦ですか。かたや5連敗中。こちらは6戦勝ちなし。天皇杯は地獄。貴方達とはつくづくご縁がありそうだ。まあなんだかご縁がある理由も、風間監督と曹監督の言葉を聞いていれば分かる気もしてきますが。さて、終わります。

最後は湘南といえばこのお方の言葉で締めましょう。