みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

2020チーム編成ぶった斬り【名古屋編】

やはり毎年、オフの主役は名古屋一択であります。

これほど気持ちの浮き沈みが激しいオフを体感出来る名古屋尊い。盛り上がる加入も心を切り刻む退団も盛り沢山。健全なクラブといえる自信はなく、しかし資金は潤沢。両者が交わり毎年激動のオフを堪能できますありがとうございます。

さて、今回のオフをトピックスに分けて振り返りましょう。

実はこの三年の文脈を踏まえた補強

指揮する監督は水と油くらい違うものの、強化の人間が変わらないこともあり、不思議と軸は変わりません。

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例えば誰もが予期しなかった阿部ちゃんの獲得。

風間体制でも彼はおそらく重宝されたはず。阿部ちゃんといえば攻撃のポジションならどこでも器用にこなす万能型。振り返れば昨季はセカンドトップの編成が大きな課題でした。シーズン前には大前元紀、シーズン中には柿谷曜一朗。残念ながら交渉は全てご破算。我々を救ったのはグルテンフリーなジョコビッチ。チームが不調にあえいだ時期(ずっとだよ)、″名古屋対策″に苦労するチームを攻撃で引っ張る選手も不在でした。阿部様、待っていました貴方のことを。

忘れもしないあの日の夜22時。まさに激震でした。

また昨季、何で困ったか振り返ります。ジョーの不在。安心してください山﨑獲得。よりにもよってヨネ負傷。大丈夫だから稲垣獲得。つまり今オフの補強、昨季だって十分必要な補強だったわけです。別に風間氏だろうがマッシモだろうがそこ関係なし。大森政権における名古屋では、意外や意外、監督交代の影響はモロに受けていないと感じます。つまり、

  • もともと汎用性の高い選手を揃えていた
  • そもそも監督でどうこう方針を変えていない
  • 監督でごっそり入れ替えるほどの予算がない

のどれか(もしくはどれも)の可能性が高く、良く言えば大森スポーツダイレクター(以下SD)優秀!悪く言えば「与えられた予算で好みの選手かき集めてるだけでは」と受け取れるこの編成。だってウインガーの数が前田、シャビエル、青木、出戻り王者マテウス、出戻りオリンピック相馬、出戻り茶畑秋山。なんと6枚。来季も風間体制ですかそうですか。

うちの選手たちのクオリティは非常に高く、クラブとして自信を持っています

風間解任時に大森SDが発したこのコメントは、今となればまた異なる印象も受けます。おそらく本音だったんでしょう。とはいえ彼らを操るのはマッシモですから、そのコンセプトも役割も、風間体制時とは大きく異なることでしょう。

ただそれでも一つだけ。大森さんその好み僕は好きですよ。

無風だったセンターバック

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今回の編成で、″賭け″と表現すべき一つ目のポジション。

思い出せば昨年。マル(丸山)の怪我、皆さん血の気ひきませんでしたか。その後、我々どれほど苦労しましたか。救世主藤井君の存在にどれほどのファミリーが救われましたか。

にも関わらず、このポジション補強″ゼロ″。マッシモの戦術の肝いや砦ですよねこのポジション。そこにあえて手をつけない大胆な戦略。ですのでここはマルとしんちゃん(中谷)が不動のレギュラーとみてまず間違いありません。つまり千葉ちゃんはともかく、藤井君の更なる台頭がないと競争も起きなければ、昨年同様一人でも主力に怪我人が出れば、ガタッとチームの根幹を揺るがす事態にもなりかねません。

毎年恒例のネット上陸遅れが生む不安

″賭け″その二、です。これは事情が分かりかねます。名古屋は契約更新したいのか、ネットがゴネてるのか、はたまたお互い合意のもとで新たな移籍先を探しているのか。

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一つだけ確かなのは、この時点で今季ネットが名古屋でプレーするかは″未確定″である事実です。

仮に他クラブに移籍する前提で考えてみます。ここで重要なのは、後方からゲームを作る″司令塔″候補です。ジョアン、渡邉......以上!つまり昨季でいうジョー、マル並にジョアンがアンタッチャブルな存在になり得るわけです。渡邉は東海学園大卒、期待のホープです。但し丸一年間公式戦に出場していない怪我あがりの選手でもある。ジョアン不在時、彼一人にその任務を押しつけるのはあまりにリスキーでしょう。

そう考えると、まさに昨季のジョーやヨネ、マルと今季のジョアンが同じ位置づけになるんです。一年間フル稼働してもらう前提。いやいや、皆怪我したじゃないですか。長期離脱で苦しんださ。このあたりの編成(ウインガーの豊富な陣容に対して、センターバックボランチの層のアンバランスさ)が少しばかりクエスチョンではあったりします。

各地に散らばった若手たち

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他クラブが長期離脱上がりの青木や渡邉に今オフにオファーするのはそれなりに勇気がいるでしょう。なのに意味深インスタ上げた青木罪深い。「直輝いかないで!」「青木出番あるって!」安心してください。ただ仲が良かっただけです。

しかしながら多くの若手が名古屋の地を離れました。

杉森と榎本が名将リカルド率いる徳島へ(育ててください)。深堀が長谷部なき水戸へ(覚醒待ち)。期待のレンタル組、プリンス山田はそのプレーを観ることなく同じく水戸へ(あれは名古屋があかんぞ)。伊藤洋輝が磐田へ帰還(磐田許すまじ)。そして大垣が2年連続2度目の岩手挑戦。名古屋の地を踏むのはいつなのか松岡ジョナタン。顔デカい櫛引とワンバック新井はこのクラブを正式に離れました。

風間時代も大概人の出入りは激しかったですが、今期に関してはとりわけ″若手の活躍の場が限られた″印象を強く受けます。この点は、風間体制のここ三年から大きく変化しています。若手を躊躇なく起用し、前半お試し駄目なら引っ込める風間氏のやり方は賛否両論。しかし今季そういった″実験的な(リスクある)″起用はそうそう期待できないでしょう。

但し二つのポジションだけ、″若手の台頭がなければ困る″ポジションがあります。前述のセンターバック、そしてボランチ。まさにチームの根幹となる″センターライン″です。

和泉竜司、鹿島にさらわれる

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今オフ最大の衝撃。帰りの電車でそれを知り、外も心も真っ暗になった人。お正月がお通夜に早変わりした人。阿部ちゃん速報からの落差に耳キ-ンした人。朝刊に出す予定のスクープを前日22時に速報する旨みを覚えた中スポに、我々は「打倒スポニチ」そんな大本営の意地(適当)を垣間見ました。

正直に書きましょう。よく和泉だけで済んだな、これも本音です。昨年のゴタゴタを思えば、もっと多くの流出があってもおかしくありませんでした。最も狙われる可能性があったのは、やはり和泉、宮原、前田、この3人だったと考えます。

さて、和泉です。残念ながら、彼は名古屋ではなく鹿島を選びました。ここではその点に関して口を出すつもりはありません。問題は、現在の名古屋が果たしてどういった方向性、未来を描き、結果どんな立ち位置に存在するのかです。

″未来”から″現在(いま)″に舵をきった戦略

あまり話題にはなりませんが、今オフで最も残念だったのは″大卒新加入選手ゼロ″の事実です。界隈では現在の名古屋にはそもそもそのツテがないとも噂されています。ユース上がりは2名昇格があったものの、未来への投資が出来たオフだったかといえば、決して満足なものとは言えなかったでしょう。

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一方で新たに加入した選手達に目を移せば、稲垣が28歳、阿部ちゃんが30歳、山﨑が27歳と、まさに脂が乗り切った″今″がピークの選手達ばかり。メリットは海外移籍の心配がない点、デメリットは各々成長曲線がピークにある為、当然チームの成長曲線もそれに比例することです。平たく言えば、″今″に重点を置いた補強だと言って過言ではないでしょう。

でもこれは当然なんです。昨年の風間八宏解任の文脈を思い起こせば、大森SDが″解任の責任は風間八宏にあった″と暗に理由づけしたのは間違いないわけでして、となれば新たに担ぎ上げたマッシモで躓くわけにはいきません。またマッシモの立場からしても、なんとか残留を掴み取り、やっと″本物の″チーム作りが出来る。彼は風間氏とは当然対極のまさに″一戦必勝″の男です。目の前の試合に勝つか負けるか、彼にとっての文化、あるべき姿はそれ以外にない。ですから、彼自身も何より目先の結果が必要です。であれば名古屋が突き進むこの道は、至極当たり前の道とも言えるわけです。

ただ先程も述べた通り、この路線は選手とチームの成長曲線が比例するのが最大の特徴です。ピークが″今″に設定されている分、当然ながら落ち込むのも早い。そこで新陳代謝を怠ると、成績がズルズル下降線を描くことを我々は過去の経験で学んでいます(主に2010〜2016の記憶として)。つまり未来より″現在″に目を向けるこのやり方は、選手の入れ替えを前提とした金銭のかかる方針であると自覚すべきでしょう。まあ、風間体制時も異なる意味で金がかかりましたが....。

とはいえ名古屋だから出来る戦略であることも事実でして、ある意味″戻るべくして戻った路線″です。降格して体制が変わった2017年は、この路線から脱却し、″現在”から”未来″に目を向けた、このクラブにとって画期的な瞬間でした。ただ結果的にはその路線に頓挫し、我々はまさに″企業クラブ″ならではの運営に舞い戻った。何故、風間八宏は解任されたのか。″投資した金額にその成績が見合っていない″からです。

求められる唯一にして最大のノルマは″結果″

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かき集めたこのスカッドは、″現在″で見ればこの4年で過去最高でしょう。但し幾分偏ったスカッドであることも事実。あの風間体制ですら、前線は人員過多で多くの選手がシーズン途中にこのクラブを去りました。その一方で、チームの根幹をなす選手達が長期離脱を強いられ、代役不在に困ったクラブの成績は案の定落ち込んだ。この反省を踏まえた編成かどうか。本来、評価軸はこの点にあるべきです。但しこれまで述べた通り、今回の補強戦略を見ると、大森SDにとってそれはあくまで″監督の手腕″の問題だと評価した可能性もある。

とはいえ贅沢をいえばキリがありません。少なくとも他クラブが羨む戦力を保有していることは間違いない事実であり、マッシモにとっても十分なスカッドと言えるでしょう。

直近の過去3年間、結果が出ずともこのクラブが見放されなかったのは、そこに確固たるスタイルを追い求めた″物語″があったからです。ただし、本来プロスポーツで求められるべき″結果″がおざなりにされていたことも事実。今季は大森SDが作り上げた過去最高のスカッドであり、それを指揮するのは″物語″ではなく″結果″を求められたマッシモです。そして我々ファミリーも、今度は″物語″から″結果″側に目を揃えなければなりません。″攻守一体の攻撃サッカー″いやいや、内容ではありません。目先の勝負にとことん拘るべきだ。

勝負事で求めるものはただ一つ。全ての相手を、叩き潰せ。