異例尽くめのシーズンもあっという間に幕を閉じた。
我らが名古屋グランパスはなんと3位(!!)。いやはや、昨シーズン終了後のブーイングを糧に(ポジティブな捉え方)マッシモの倍返し精神に火がついた。だったら毎年ブーイングしま以下自粛。
/#前田直輝 ゴラッソ!!
— DAZN Japan (@DAZN_JPN) 2020年12月19日
名古屋が3位確定!!!
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86分の前田のゴールが決勝弾となり名古屋が3位確定、ACL出場権を獲得!
🏆明治安田J1第34節
🆚名古屋×広島
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まーそれにしてもチームの姿は様変わり。高低差どころの騒ぎでなく、『この監督交代は継続路線だ』と強調したフロントの皆々様のご意見が聞いてみたい。
10月10日のセレッソ戦の告知はこれだ。
(引用元:名古屋グランパス)
もはや〝堅守〟公認で草。
いやでも文句はない。正直瑞穂最終戦で『もうガバガバな試合は観たくない』とつい口にしてしまった私は立派なイタリア人。フォルツァマッシモ!!
では今季を振り返っていきたい。
振り切った中日新聞社のコピー
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まず何を話題にしようかってそりゃあ〝堅守〟。記録でみると実感湧くんでみていこう。
- まさかあの名古屋が!リーグ最小失点28
ここまできたら国内最高守備ブロックの称号が欲しいと願っていたところ、打倒川崎をついに達成。
- まさかあの名古屋が!クリーンシート17試合
クラブ記録達成どころかJリーグ最多タイ記録だってよ!最後は4試合連続無失点。ちなみに川崎ですらその数11。個人的にはこの記録がなにより誇らしい。
- まさかあの名古屋が!ウノゼロ(1-0)9試合
4点とったら4点とられる名古屋よさようなら。1点とったら逃げ切り当たり前の名古屋よこんにちは。勝利数の約半分をこのウノゼロで手繰り寄せた。まさに〝カテナチオ〟。カルチョが名古屋にやってきた。
- マッシモなりの恩返し。シーズンダブル回避
前半戦(計14試合)で敗れた相手にことごとくリベンジ。柏、東京、鹿島、全部なぎ倒してやりましたわ。
- ありがとう瑞穂。今季無敗でその役目を終える
全6試合を4勝2分でゴールイン。なんと無敗は優勝した2010シーズン(全10試合7勝3分)以来2度目。まさに聖地瑞穂の名に相応しい結末。6年後また会おう。
ということで、何とも記録尽くめのシーズンであり、〝堅守〟の謳い文句に偽りなし。
【DAZNハイライト】名古屋グランパス vs 川崎フロンターレ (H) 2020明治安田生命J1リーグ 第12節
面白かったのが大本営中日新聞社で、終盤戦ともなると見出しを飾るのは
自信の『ウノゼロ』
名古屋『堅守の美学』
とこれまた過去の文脈なんぞお構いなし。ただ中日新聞といえば言わずもがな中日ドラゴンズの親会社。中日ドラゴンズの最盛期といえばまさに〝堅守〟だったわけで筆がのるのも仕方なし。文化なので。
ガチガチなのは守備だけじゃない
さて、〝堅守〟を支えた要因は何なのか。
もちろんマッシモの戦術、個々のスキル、細かくいえばキリがないが、個人的には〝ガッチガチのメンバー固定〟これを挙げないわけにはいかない。
以下、ガチガチに拘束されたマッシモチルドレンだ。
- ランゲラック、丸山、中谷→34試合フル出場
- 稲垣→34試合先発出場(交代は7.22大分戦のみ)
- マテウス→34試合出場(サブ1回のみ)
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あの過密日程を全クリした者達だ。面構えが違う。
特にACLが懸かったラスト6試合(11.15FC東京戦〜)は自慢の守備ブロック(ゴールキーパー〜ボランチ)を完全固定。4勝2分の失点1。しかもその失点はセットプレーのみのガチガチっぷり。
毎回メンバー表同じなんですけどっ!!!
楽しみを失ったのがそうファミリー。宮原の定位置はメンバー表右上から数えて2番目。変わらない座席表に『せめてくじ引きにしたらどうか』と憤る日々。
ちなみにその割を食ったのが悲しいかな若手達。とりわけ今季最大のサプライズだった成瀬に言及したい。
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前述したラスト6試合までの先発出場が28試合中18試合。メンバー固定後のラスト6試合は出場時間32分。
(もうMFのポジションに未練はない?)
まったくないです
ここまで言いきった若者に与えられた32分は、主に試合終盤のバランスを重視したサイドハーフ起用。
彼に限らずレギュラー争いのハードルはあまりに高い。例えばセンターバック期待の星、藤井陽也は今季出場時間〝1分〟であり、まだ使われた方の石田凌太郎にしても163分間の出場と2試合に満たない計算だ。
現在の名古屋が掲げるチーム方針に目を向けよう。
獲得する選手は年齢的にも脂の乗ったキャリアピークに差し掛かる選手達。勿論海外移籍の心配もない。
だからこそと言うべきか、目先の結果を追うあまりどうしても彼らの出場機会が優先され、今後キャリアを築くであろう未成熟な選手達の出番は限られる。何故パワプロのサクセスモードが人気か、何故NiziUに皆が夢中なのか。ジャニーズずっと好きな人なんで?
彼ら彼女らが成長する様を追いかけたいからですよ。その姿に感情移入したいんですよ。ねえマッシモ。
その意味でいえば、厳しい物言いになるが今の名古屋にその楽しみはない。脂が乗りにのった完成品たちの技と勝負にかけるその生き様を楽しむのが醍醐味だ。
さてそんなことを言っていたらこのニュース。
資金難の鳥栖につけ込む優良銘柄強奪戦。しかし皮肉だ本来手が出ないこの世代へのアタックが、果たして成瀬や宮原にどんな影響を及ぼすだろう。
風間ッシモが磨き育てた二人の未来は果たして。
賛否両論といえばシミッチの起用もな
先ほどの話に繋がるがジョアンの起用も頭を抱えた。
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印象的だったのは11.28のホーム大分戦。アディショナルタイムにコーナーキックのチャンスを得たグランパス。ベンチで騒々しくジョアンを呼び、お前の頭だけは信用していると言わんばかりのセットプレー要員でピッチ投入。俺がジョアンなら嫌味でヘディングの練習だけひたすらやるよ。だってマッシモ、アンタはこれがお望みだろ?嫌味の一つくらい許して欲しい。
元々守備固めの展開で〝高さ要員〟として使われていたのは周知の事実。しかし彼の最大のストロングはそのパスセンスとゲームメイキング。だがマッシモが彼の〝フィジカル〟を評価したのはなんとも皮肉な話。
たぶん信頼してねーな説を裏づける話をもう一つ。
【DAZNハイライト】鹿島アントラーズ vs 名古屋グランパス (A) 2020明治安田生命J1リーグ 第25節
あれは10.31のアウェー鹿島戦。終盤ミッチと交錯した米本がやばい倒れ方をし、これは駄目だ周りも本人も〝×〟を出す中、諦めなかったのはマッシモだ。
トレーナーに連れられた痛々しい米本に確認し、やはりプレー続行不可能だと直に聞かされやっと納得。
そうでもしないとジョアン投入の決心が出来ないマッシモよ。米本への信頼が厚いのかジョアンへの信頼が薄いのかファミリーはとても混乱しています。
ボコボコにタコ殴りされたルヴァン杯対FC東京戦(0-3)以降、ジョアンの指定席は常に名古屋ベンチ。
しかしジョアンはプロフェッショナルだった。
終盤戦はボランチながらゴール前に飛び込んでいく鉄砲玉スタイルに見事アジャスト。俺仕様と化したジョアンに味をしめたマッシモも、ここぞとばかりに膠着状態の切り札で彼を指名する胸熱な展開。
生き残りを賭けた戦いは外国籍選手だって同じだ。
確立された勝ちパターンとそのスタイル
〝堅守〟といってもそれは手段である。
勝つ〝手段〟と、その〝パターン(道筋)〟が重要であり、マッシモは見事にそれを植えつけた。
- 何がなんでも先制点奪えば籠って塩漬けスタイル
先に名古屋が点を獲れば、絶対に点を奪われない自信故のこのパターン。激しい試合など願い下げ。トランジション(攻守の切替)が多いとはつまり相手に隙を与えかねない展開だ。であれば試合はスローで良し。試合が退屈知ったことか。これがカルチョの伝統よ。
【DAZNハイライト】柏レイソル vs 名古屋グランパス (A) 2020明治安田生命J1リーグ 第31節
アウェー柏戦では解説の柱谷幸一がこの一言。
名古屋は守っているのが楽しくて仕方ないようだ
てなわけでこの展開こそ名古屋ペース。指標である。
そしてここで重要なポイントが〝相手の出方〟。名古屋最大のストロングが〝堅守〟だとすれば、点を奪うために用意した武器は〝圧倒的スピードを駆使したショートカウンター〟と〝そのきっかけを作る高い位置でのボール奪取〟となる。つまりこの土俵で名古屋にやらせるとこのチーム、隙がない。
知ってか知らずか無惨に散ったのが浦和レッズ。
【DAZNハイライト】名古屋グランパス vs 浦和レッズ (H) 2020明治安田生命J1リーグ 第9節
リカルド連れて行ったら許さねーから(脱線)。
では一方で名古屋の課題はどこにあるだろうか。
つまりは名古屋の土俵で戦ってこない相手が問題であり、裏を返せば名古屋の伸びしろとも言える。それは
- 固くブロックを作り、奪っても攻め急がない相手
この点は少々細かく紐解いていきたい。
マッシモの手腕か補強だ補強に賭けたい課題
■何故ブロックを作られるのが嫌なのか
いやどのチームもそれは嫌だろの突っ込みはご遠慮したい。貴方が正解だが野暮なことを書いていこう。
まずブロックを作られるとスペースがない(当たり前)。つまり走れない。ではボールの動きと共に一人一人が連動して崩していけるかといえばそれは苦手。何故かといえば〝人が動きすぎるとリスクが高い〟と考えるのが往年のカルチョ。奪われたらそこが穴になる、それはカルチョのプライドが許さない。
マッシモがそもそも仕込めないとは言ってないぞ。
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結果、名古屋の選手達は各々の立ち位置に従順だ。
サイドハーフは外に張るし、相手ブロックの隙間に立つ雰囲気はない。必然ボールは用意されたルートを回遊する。中を射抜くのは簡単でなく、結果ボールは外に回る。であるからして、マッシモの攻撃の肝は〝サイド攻撃〟となり、マテウス相馬が帰ってきた。
そうなると、もはや〝個の質〟が頼みの綱だ。
〝堅守〟だけで上位は狙えず一撃必殺の槍があるから上位を目指せた。勝ち点1を担保するのが後方部隊、ならそれを勝ち点3に変えるのが彼らの役目。故にマッシモがマテウスにこだわり続けたのは理解できる。だってカルチョのプロビンチャ(地方クラブ)では持ち得ない〝急に現れ勝ち点3を生みだす男〟だから。
■何故攻め急がない相手が苦手なのか
一方で攻め手がなければ相手の出鼻を挫くのもいい。
ここで名古屋の次なる手〝プレッシング〟が登場だ。
改めて言うまでもなく、名古屋は個々の選手たちの身体的スピードが群を抜く。圧倒的なスピードを要するサイドアタッカーに、無尽蔵のダブルボランチ。最終ラインも1vs1は大好物。風間さんありがとう。
【DAZNハイライト】名古屋グランパス vs セレッソ大阪(H) 2020明治安田生命J1リーグ 第21節
セレッソ戦のマテウス、また後に掲載する湘南戦のシャビエルのゴールはその象徴。攻めあぐねても相手がミスをすればそれが命取り。加速させたら最後だ。
先ほど〝動きすぎるとリスクが高い〟と書いた。
これは当然ながら名古屋に限った話ではなく、相手がボール保持した瞬間はむしろそこが狙い目となる。
改めて名古屋の攻撃時の視点に立てば分かりやすい。そもそもリスク回避のため、陣形を崩さずバランス重視な攻撃をするわけで、つまり仮にボールを奪われても相手に対しプレッシャーはかけやすい。いつぞやの時代のように、奪われた際に誰もいないなんてことはない。ここは非常にロジカルな設計だ。
であるからして、例えば相手がボールを奪った瞬間闇雲にパスをする、あるいは数的不利な状態でも攻めてくる。これはまさに名古屋の土俵、思う壺である。
だったら相手はその状況を回避すればよいのでは。
【DAZNハイライト】横浜FC vs 名古屋グランパス(A) 2020明治安田生命J1リーグ 第16節
【名古屋グランパス×大分トリニータ|ハイライト】明治安田生命J1リーグ 第30節 | 2020シーズン|Jリーグ
あいつら全然攻め急がないのな。自陣でも堂々とパス交換、進むのがヤバそうならゴールキーパーも平気で使う。つまりボールを奪いに行くタイミングとポイントがないのだよ。んで結局はズルズルと前進される。
みぎさんのご指摘に着想を得て、2020年J1のトランジション回数 × 攻撃一回あたりのパス回数の分布を作図。
— NeilS (@NeilsXeno) 2020年11月30日
右にいくほど攻守の入れ替わりの早い展開のゲームをしており、上にいくほど一回の攻撃で多くのパスを繋いでいる。
大分は左上の極に位置しており、試合をスローペースに持ち込むエキスパート。 https://t.co/vdgFvac0cW pic.twitter.com/k9yHzHJJET
いい加減な私の指摘を超優秀なファミリーが援護。
名古屋は大きな矛盾を抱えていて、点さえ獲れればスローでいいが、点が欲しけりゃスピードを上げたい。
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そうだ、マッシモのフットボールが〝退屈だ〟〝眠くなる〟と評されるのはこのロジックだと思われる。要はリード出来ればブロック固めてスローな試合に持ち込むし、一方で名古屋の長所を消しにかかる相手も選択するのはスローなテンポ。どちらもトランジション(攻守の切替)が乏しい試合となり、結果試合にスピード感が生まれない。なんだこのジレンマは。
故にマッシモはこう嘆くのだ。
得点を量産してくれるストライカーがいたら、という話を5分間くらい続けることもできましたが、あまり現実的でもありませんし、話をしたところでそれが叶わなかったという話を何日か後にしなければならなくなります
おま名古屋も金ないんやぞ。年俸カンパしろ。
■さあ名古屋伝統長身ストライカーの出番がきた
この理論で試合を動かす限り、状況を打破するには三つしか手はないだろう。
【DAZNハイライト】#名古屋グランパス vs #FC東京(H) 2020明治安田生命J1リーグ 第27節
なるほど①で何度も勝ちを拾った。前半早々PKを奪取したし終了間際にシュートしてハンドもゲット。詰めたら相手が致命的ミスをした。どれもこれも運ちゃ運しかしこちらは無失点だから意味がある。
【DAZNハイライト】名古屋グランパス vs 湘南ベルマーレ(H) 2020明治安田生命J1リーグ 第28節
②はフォワードに怪我人続出、お前しかいねーとシャビエルを最前線に置いたらまさかの化学反応。お子様誕生おめでとう!美人な奥様で嫉妬しています。
なので来季は③。マッシモがずっと待ち焦がれてるのもこの③。彼のフットボールがこのロジックで成り立つ以上、必要なのは理屈抜きの力技。それを誰よりも理解しているのは良くも悪くもマッシモ自身だ。
ここが補強できたらマッシモ的には鬼に金棒。さあ時はきた、こい三好ヶ丘にセリエAの強者よ。
なーーーぜーーーだーーーーーーーーーー。
※勿論ストライカーとして彼の能力に疑いの余地なし
我々のアイデンティティはなんだろな
マッシモばりに語ってきたがそろそろ締めの時間。
結果だけみれば2011シーズン以来の上位争いを演じたシーズンであり、これは久しく忘れていた感覚だ。
ここ近年の文脈なぞお構いなく、これのどこが攻撃的なんだと至極真っ当な突っ込みも当然ながらあるだろう。しかし〝堅守〟が悪いかといえば決してそんなことはない。マッシモからしたらほぼ完璧に任務を遂行したわけで、お前ら俺に感謝しろ状態なのは当然だ。
シーズン終盤にはやっとこさマッシモ続投の報道も。
何故彼がこれを勝ち取ったか、当然ながら〝結果〟以外のなにものでもない。例えば『このスタイルは俺たちらしくない』と、マッシモ同等の結果を出したロティーナを切ったセレッソを見れば一目瞭然で、つまり我々の最優先事項はやはり〝結果〟なのだ。そしてそれにほぼパーフェクトにコミットするマッシモの仕事ぶりは見事であり、素直に素晴らしいと私は思う。
ここまで結果が出たシーズンがピクシー黄金期以来であることもまた重大な事実であり、あのときも名古屋の代名詞はやはり〝堅守〟〝タレント〟〝圧倒的勝負強さ〟だったわけでそれなりに酷似している。
そう考えると結局我々のアイデンティティって何?
個人的には〝堅守〟ならそれでもいいと思うんだ。一時は〝攻撃的〟にこだわったしかし結果が出なかった。だから(それがたまたまでも)思い切って堅守に針を振り直したらなんとまさか上手くいった。〝結果〟が必要なクラブに最も噛み合わせが良いスタイルがもしそれなら、十分チームのカラーになり得る。
だから今となっては何が大事ってマッシモの後よ。
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〝攻守一体攻撃サッカー〟の看板どかーんと掲げて失敗して、うおおこうなりゃカテナチオいったろかー言うて成功したこの事実。だからこそこの次にどの進路を取るかはめちゃくちゃ難題。理想を掲げて失敗した過去、現実を取った今季の成功、どう評価する。
ちなみに『毎回進路変えりゃいい』って発想は危険。
特に今のマッシモ流は、金が途絶えるつまりタレントがいなくなったらもれなく地獄が待っていることもまた、ピクシー後期〜小倉体制の歴史が物語る。
近年の川崎やそれこそ徳島が何故あれほど安定した成績を残せたのか。それは攻撃的であれ守備的であれ、彼らがブレずに一貫したアイデンティティを持ち続けた結果であり、だから補強や育成が上手くいく。
では名古屋はどうするのか。アカデミーとの融合は。
いまだ風間色が色濃く残っているであろうアカデミーの存在と、今季全くと言っていいほど若手の起用をしてこなかったマッシモ。この大きな矛盾に目を瞑り、目先の結果に舵を切ったクラブ側のツケは、いつか払わなければならないかもしれない。だからこそ、次の選択が非常に重要であることに言及したい。
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さて今季の結果はマッシモと選手達だけの成果か。
この点については、理由はともあれ過去の文脈から大きく舵を切ったにも関わらず、センターラインのキャラクター変更(ジョー、シャビエル、ジョアン→金崎、阿部、稲垣)と、風間時代に融合出来なかったマテウスや相馬を呼び戻す、最小限且つなにより重要だった〝背骨〟の移植に成功した、大森スポーツダイレクターの4年間にわたる集大成ともいえる。
確実にJ1で戦えるチームになるには3年はかかる
フットボール批評ISSUE24
まさか上位争いする4年目がマッシモだったとは斜め上だが、しかし2017年の見立てに間違いはなかった。
唯一誤算があったとすれば、この4年間で大きな軌道修正を強いられたが故に生まれたこの結果を求めたフットボールそのものであり、強くはあるが分かりやすい〝華〟が乏しいのもまた事実。当時のクラブアイコンだったジョーは去り、実力者揃いではあるが誰もが知るようなタレントは不在。そこにきてこの〝堅守〟。だからこそといえば皮肉だが、分かりやすく人が呼べるようなスターが欲しい。そんなことを思う人が一人や二人いても何らおかしくはない。
『名古屋たるものこんな地味でいいのか』と。
とはいえ昨季は残留、今季はACLとマッシモは立派である。〝結果〟で周りを黙らせていくそのスタイル恐れ入った。さあ来季もマッシモの皮肉たっぷりな嫌味に酔いしれよう。そう思いつつある疑問に辿り着く。
我々こそ、ロティーナが必要なんじゃないか?....完。