みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

時を経て名古屋に集結した〝90年世代〟

毎年この時期の脳内は我らが最強で埋め尽くされる。

オフの主役といえば名古屋しかし予想外の大補強はエスパルス。とはいえオフの王者名古屋のこの風格。

学に柿谷とは7年前ならバリバリの代表戦士。ここに米本と吉田豊も加えればなんと懐かしい約14年の時を経て城福ジャパン再結成。但し監督はマッシモです。

例年になく派手なチームに激変し"戻ってきた感"のある名古屋を今回も主観でばしばしと斬っていく。

 

一年を通し見えてきたマッシモ流

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まずはマッシモの描くフットボール像のおさらい。

素人の立場ながら試合を通し受け取った印象、一方でシーズン後に選手たちが発した実際の感想。

ここから読み取れるのは、

  • 起用する際のプライオリティは〝守備〟にあり
  • 〝守備〟におけるタスクとルールは相当に細かい
  • 一方で〝攻撃〟は比較的自由(約束事は最低限)

一言で〝守備〟とまとめてもじゃあどんな守備なんだとツッコまれるが、ここでは簡易的に〝マッシモが要求する守備〟だと定義したい。その点は後述する。

どの選手の口からも、求められる要求が高く細かいことは明らかとなっており、またそれが結果に結びついた事実は重要なポイントだ。どれだけ攻撃でメリットを生み出せても、他方守備にデメリットが多く結果収支が合わなければ起用の優先順位は落ちてしまう。

逆にそれさえ出来れば攻撃の約束事は多くない。

守るべきは〝誰かが動けば誰かが埋める〟ことであり、それもボールを奪われた先を見越した約束事。

しかしながら〝最低限の約束事のみ〟とはつまりその分攻撃は個人依存型なわけで、依存するが故に求められる能力もはっきりしている。ただ繰り返すがまず大前提は〝求められる守備〟があり、そのベースをもって必要な攻撃の能力も定められていると解釈したい。

近年の名古屋は降格後にスタイルを一新し、結果が伴わないジレンマからさらに軌道修正を図り今に至る。

〝現在(いま)〟に徹底してフォーカスする大森スポーツダイレクターのチーム編成と、それをピッチで〝結果〟に結びつけるマッシモのタッグは今季も健在。優勝争いが出来るチームを作る。この一点において、彼らの手腕に異論のある者はいないだろう。

新体制発表会で大森氏が繰り返し発言した、

  • チーム内での競争力
  • スピーディーな攻撃

これが昨季から継続して積み上げるテーマとなる。

では今季のチーム編成について、各ポジション毎に掘り下げていく(ゴールキーパーは割愛)。

 

熾烈なレギュラー争い 〜センターバック

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セレッソ大阪より木本恭生が加入。昨季全試合フル出場の丸山、中谷との〝競争〟であることを強調する大森スポーツダイレクター。セレッソ時代にはセンターバック以外にボランチもこなす器用な印象があるものの、今回は本人の希望も、またクラブ側の要望も〝センターバック〟であったことがポイントだ。

昨季〝堅守〟で名を馳せた名古屋とセレッソ

ライバルクラブから主力級を抜いたわけで、これ以上の補強はないと言えよう。空中戦は名古屋屈指だ。

ちなみにこのポジション、藤井陽也も控えている。

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アカデミー卒である彼や成瀬、石田を今季はクラブとしてどんなヴィジョンのもと育てていくだろう。

決してマッシモが〝若手を使わない監督〟だとは思わないが、同時に〝使いたい若手〟もはっきりしているはずで、それはどの監督でも至極当たり前のことだ。

しかし目先の結果、つまり〝チームの力を落とさない為の起用〟に終始しては一向に彼らの出番が訪れることはなく、それは試合に関わることのない月日だけが過ぎていくことを意味する。よって〝若手の伸び代への期待〟が今季の編成に組み込まれているかどうか。

名古屋のアカデミー卒の選手たちは比較的小柄で且つ華奢な選手も多い。例えば昨季大成功を納めた成瀬竣平にしても、結局はシーズン途中オジェソクの加入でその座を奪われた。持ち前のテクニックと敏捷性を持ってしても、ジェソクの対人能力や球際の力強さの前にはベンチを温めるしかなかったのが現状だ。それは藤井にもいえること。恵まれた身長はあってもマッシモが求める理想像からすればその身体は華奢に映る。

守備がベースにあるということは、つまり〝ボール非保持〟で何が出来るか問われるわけで、故にフィジカルの面は無視できない。これは〝ボール保持〟をベースに選手選考していた過去との決定的な違いである。

使えないと切り捨てるか、使えるように育てるか。

トップチームが結果を求めるあまり、未来ある名古屋の若手達に蓋を閉じる行為は本末転倒。大切なのは〝現在(いま)〟がどう〝未来(さき)〟に繋がるかであり、つまりトップチームとアカデミーの二軸が〝それぞれで〟稼働している事態だけは避けるべき。

目先の結果だけでなく、この視点も忘れたくはない。

 

鳥栖さんお世話になってます 〜サイドバック

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サークルにああいう奴いた森下龍矢。

陽キャ全開で既にファン層拡大中の森下だが、実は今季の目玉補強になりえるので少々掘り下げよう。

鳥栖時代を振返ると彼の特徴は遺憾なく発揮された。

チームは攻撃的。彼と前後でコンビを組む右サイドのミッドフィルダーは外に張ることへ拘らず、相手の〝間〟で受けるのが主たる仕事。対して〝大外〟に位置しピッチ幅を確保するのは常に森下の役目。故に自重どころか高い位置を取ることはもはや約束事で、彼の前には縦に仕掛けるスペースが確保されていた。

一方名古屋におけるサイドバックの役割は異なる。

スタート位置は低く、だからこそ攻撃を開始する際に問われるのは〝ビルドアップ〟の能力。もちろん大外に張る役目はなく、なにより前方に位置するウインガーとの関係性が重要となる。操縦し、操縦され。ただひたすらに大外を駆け上がればいいわけではない。

そして改めて言及するまでもなく〝守備〟の要求は多岐に渡る。ポジショニング、身体の向きは矯正確実。また本人も課題として挙げている逆サイドからのクロス対応。もう三笘(川崎)に背中は取らせまい。

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これだけ正反対に近いクラブをあえて彼が選んだ事実は、自身のキャリアを逆算した結果だろうか。

そして更に面白いのは、スタイルが異なるサガン鳥栖での彼をマッシモが評価した事実に他ならない。


【第8節のピックアップゴール】FC東京vs鳥栖 森下 龍矢(鳥栖)43分

90分ひたすらに繰り返せるスプリント力に加え、そのスピードを武器とした対人能力。分かりやすくいえば〝サガン鳥栖の大先輩〟吉田豊を彷彿とさせるそれであり、マッシモ漬けにする素養は十分だと見込んだのだろう。また明治大学出身という意味では、同じくカルチョ漬けで成功した長友佑都が理想像だろうか。サイドハーフもこなす攻撃力に加え、名古屋でこれらの課題を乗り越えた先を想像すれば、近い将来の日本代表いや海外進出もありえる逸材と言っていい。

それにしても右サイドバックの争いは熾烈である。

正直にいって、獲得の経緯とこれまでのチーム内での立ち位置を踏まえればレギュラーが森下、控えに成瀬となる可能性が非常に高い。吉田豊にアクシデントがあれば、森下が左に回り右を成瀬が務めるだろう。

ではクラブ在籍5年目の宮原和也はどうなるのか。

おそらく現在のチームにおいて、積み上げた実績と立ち位置の乖離が最も激しいのが宮原だ。昨年同様三番手に甘んじて契約満了に向かっていくのか、あるいはレギュラー奪取ないしはそのユーティリティ性に活路を(マッシモが)見出すのか。彼を戦力に組み込めば相当チーム力は上がるはずだがさあどうなる。

 

むしろマッシモが漬けられそうな男 〜ボランチ

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誰がどう見てもインテリ感の塊よ長澤和輝。

大学時代からの仲良し稲垣祥とは遂にチームメイトに。それを祝うべく新体制発表会では『ドイツに試合を見にきてくれ速攻で財布をなくした不思議キャラです』と早速ボランチのライバルを爆撃するインテリ。


【車内対談】名古屋グランパス長澤和輝選手に聞く 足腰の強さの秘訣|ドライブトーク前編|鈴木大輔【ヒストリア】

俺の下半身はスキー仕込みだ!と豪語する長澤の下半身は確かにすげえ下半身で、今季挑戦するACLでも過去にその下半身でブイブイいわせてた姿は忘れない。

globe.asahi.com

現役Jリーガーでありながら早稲田大学大学院に通った秀才は、その頭の回転速度と落ち着いたロジカルな語り口調でいつかの中田英寿をも彷彿とさせる。


関東2部からJを経由せずブンデス2部で優勝した長澤和輝が語る海外で活躍する方法がコレだ【海外を目指す君へ】

セレッソから加入した木本を〝センターバックとして獲得した〟と強調し、ボランチにはこの長澤を獲得した大森スポーツダイレクターの狙いは興味深い。元々は川崎の守田を狙ってたかどうかは知らないが、つまり名古屋のボランチに何より必要な能力はボールを狩り取る力であり、そして前後左右の広大なエリアをカバー出来るだけのスタミナとスピードだ。攻撃面は〝奪ったら素早く縦へ〟大森スポーツダイレクターの言葉からもボランチに求める能力は伺える。

何故ジョアンが構想外になったのか、あるいはこの枠に木本を含めていない理由もそれらにあるのだろう。

www.soccerdigestweb.com

また余談にはなるが、名古屋が流通経済大の安居海渡に拘る理由もまさしくここにあるはずだ。これまで狙ってきたターゲット、このポジションの年齢構成を踏まえても是が非でも獲得したいに違いない。

さて長澤だが彼は名古屋一ユーティリティな選手だ。

ボランチをメインに、試合展開に応じては阿部の代わりにトップ下の起用も考えられれば当然ながらサイドも出来る。もっといえば試合をクローズドさせる展開においてはサイドバックでの起用にも応えるだろう。

ポイントは〝どのポジションでも非常に強度の高いプレーを担保できる〟ことにある。つまり先行逃げ切り型のマッシモにあって、これほど使い勝手の良いピースもないはずで、一家に一台長澤和輝間違いなし。

 

コアラを狙うヒヨコ 〜ウイング〜

名古屋の左サイドがあざといキャラで交通渋滞。

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これははっきりと相馬勇紀のライバルと解釈すべきだろう。各媒体では名古屋のスタメン予想にマテウス前田直輝が名を連ねるが、個人的には彼らがむしろライバル関係で、一方の左サイドを大学時代の〝11番〟を背負うこととなったコアラと、優しい面をして実は獰猛なヒヨコが争うだろうと予想している。

チームでいえば今季このポジションのタスクは注目。

名古屋のウイングに求められる要素は多い。前述した通り守備ではきっちり4-4のブロック形成をするとともに、場合によっては最終ラインに吸収されてでも相手サイドバックを捕まえる。そしてそのベース(=スタート位置)があって始めて攻撃が始まるわけで、つまり圧倒的な対人能力、スピード、スタミナ、そこから前に出ていくパワー....ああどれだけ必要か。

しかもしかも必要な能力はこれで終わらない。

そこからアタッキングサード(相手ゴール前)では〝最低限の約束事〟故、相手がブロックを組めば個の打開力がこのポジションには求められることとなる。


【第28節のピックアップゴール】名古屋vs湘南 マテウス(名古屋)11分

昨季終盤コンディションを理由に相馬がスタメンを確保した理由はおそらくこれらの要素に起因しており、逆に前田が後塵を拝した理由もまたここにある。その点マッシモが最大限評価したのがマテウスで、彼の場合は攻守に爆発的なスピードとパワーを発揮しつつ、〝何もないところから何かを起こす〟謎の力まで併せ持つ、まさに〝マッシモのために舞い降りた天使〟。

では対する前田の特徴が何かといえば、その卓越したドリブル以上にフィニッシャーとしての能力にある。


【第34節のピックアップゴール】名古屋vs広島 前田 直輝(名古屋)86分

チームとして〝彼が点を獲る仕組み(=点が獲れるポイントに彼が現れる道筋)〟が作れればこれはもう最大の武器なわけで、但し現状はむしろ『ボールは預けるのでお構いなしにゴールマウスぶち込んでやってくだせえ!』なチームなのでなかなかに道は険しい。

さて今季何故このポジションが注目になるのだろう。

それは昨季を振り返る際、どの選手もチームの課題として〝後ろに重すぎた〟ことと、〝攻撃の選手(特にこのポジションの選手に向けてだろう)に負担をかけすぎた〟と口を揃えるように語っていたからだ。

これを改善するために考えられる手は以下の二つ。

  1. そもそもの守備の仕組みを変える
  2. 攻撃の精度を上げ結果ボール保持の時間を伸ばす

①を端的にいえばウインガーである彼らの守備負担を減らす仕組み作り。②に関しては重要な点で、〝前から奪う時間を増やしたい〟のであれば、逆説的だが結局は攻撃を改善するのが何よりの近道となる。

彼らが掲げる課題と今季の成長を図るうえで、この点に着目するとシーズンがいっそう面白くなるはずだ。

 

彼はこのクラブでどう成長するだろう 〜トップ下〜

阿部ちゃんやシャビエルを今更語る必要もないので、ここは三年間待ち焦がれた児玉駿斗に触れておこう。

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現状の名古屋で語るのなら枠は一つ〝トップ下〟。

何故なら他のポジションに比べ、このトップ下は唯一求められるフィジカルレベルに違いがあるためだ。前後を繋ぐハブとなり、相手のライン(DFとMF)間でスペシャルなアクセント、つまり〝違い〟を生み出し決定機を演出するのが最大の仕事となる。

もちろん守備にも役割はある。運動量はもとより、後方で待ち構える味方の助けとなるような〝賢い〟守備が問われるだろう。また前線からプレスを開始する際は周囲を動かし、自らもハードワークをこなす必要がある。これらのタスクをこなせなければ、監督であるマッシモにとってこのポジションを置く意味はない。

しかし今の名古屋でいえば阿部ちゃん然り、過去を振り返れば河野広貴も重宝したりと唯一小柄な選手でも積極的に起用してきたのがこのトップ下のひと席。皮肉にも彼の先輩である渡邉柊斗もこのポジションで試されていたのは記憶に新しい。勝負するならここだ。


【公式】ゴール動画:児玉 駿斗(名古屋)41分 ガンバ大阪vs名古屋グランパス JリーグYBCルヴァンカップ グループステージ 第6節 2018/5/16

さて児玉はマッシモのサプライズになれるか否か。

 

今季の命運は彼に託された 〜ストライカー〜

練習初日から圧倒的な存在感と貫禄の柿谷曜一朗

ユニフォーム売上一位をあろうことかセレッソ大阪の看板選手が即奪取したわけで期待の表れに違いない。

migiright8.hatenablog.com

彼自身にフォーカスした内容は過去のブログで言及したので簡潔にまとめるが、前述した森下が〝どこまで成長出来るか〟だとすれば、柿谷は〝どうはめ込み、結果彼自身がどう変われるか〟ではないだろうか。

最近になって長身ストライカーの話題が盛んだ。

この点に関しては、シーズン後の阿部浩之のインタビューが参考になるのでこの前提で語っていきたい。

inside.nagoya-grampus.jp

阿部ちゃんが昨季の課題に挙げた内容は簡潔にこれ。

  • 〝味方のために〟スペースを生かす動き
  • パスコースを増やす動き(顔を出す)

つまり各々の選手が自身のやりたいことに終始しているようでは駄目、〝味方のため〟にプレーが出来なきゃこれ以上の進化はねーよとのご指摘。余談ではあるが、こればかりは意識しないと変わらないとはっきり断定し、昨季の攻撃はほぼ評価に値しないとばっさり斬る歯切れの良さ。挙げ句、監督の好みは理解しつつもそれはあくまでベースであり、俺はそのうえでもっと攻めたい点も獲りたいと主張できるその姿勢。これぞ阿部浩之たる所以だなと感じざるを得ない。

さて、この課題を解決するには以下三つではないか。

  1. 理屈度外視で力技(高さ)でねじ伏せる
  2. マッシモが攻撃の細かい約束事を植えつける
  3. 阿部ちゃんの感覚に近いキャスティングで固める

ということで、もっとも手っ取り早く且つ計算出来るのが①長身ストライカーの獲得、となる。その点に関してはこのブログでも散々言及してきたわけだが...。

どうせなら柿谷曜一朗に賭けてみませんか(誰宛)。

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ここで長身ストライカー到来では、あまりに王道且つベタな展開で強いに決まってるのだもの。違う言い回しをすれば、全てが計算できてしまうことへのロマンのなさとでも言おうか。守備は堅守で攻撃もゴール前目掛けてクロス祭りや!ではさ、あまりに芸がない。

現状打破は出来るだろう。但し結局はそれもまた個人依存には違いなく、阿部ちゃんが指摘する課題に対して本質的な解決をしたことには繋がるまい。だったらマッシモが有機的な動きを仕込んでくれると彼に願うか、あるいはそれが無理なら〝目が揃いそうな〟阿部ちゃんや柿谷、学を並べそこで起こるケミストリーに賭けてみたい。おそらくそれを誰より望みまた楽しみにしているのが阿部ちゃんではないか。そもそも名古屋には山﨑だっているしそうだ夢生も戻ってくるぞ。

一つくらい箱の中身がわからない楽しみは如何。

 

なんの縁か名古屋の地に集結した黄金世代

相変わらず長々と書いてしまったが最後の章である。

あまり話題にあがることはないが、今季の編成における最大の変化、肝の部分は〝年齢構成〟にある。

web.gekisaka.jp

チームのムードメイカーだった千葉和彦太田宏介がクラブを去り、新たにやってきた〝城福ジャパン世代〟の柿谷や学、前述の吉田豊や米本を加えクラブのボリュームゾーンは見事90年世代となった。実は丸山に阿部ちゃんも柿谷とは同学年まさに〝柿谷世代〟。


U-17W杯 日本-フランス 柿谷曜一朗のスーパーゴール

代表経験豊富でJのスターとして名を馳せた彼らは良くも悪くも誇り高く、そして一癖ある選手たちだ。

柿谷にしろ学にしろ、最高峰といえるワールドカップの舞台に辿り着いたものの、周囲が期待した通りのキャリアが築けたかといえば否定的な声が多いはず。その前後の世代がワールドカップの舞台や海外のクラブで成功した事実に対し、彼らのキャリアが波瀾万丈だったことは否めない。あるいは米本や吉田豊にしてもその実力に反し今日まで代表定着に至るキャリアは歩めなかったし、それは阿部ちゃんや丸山も同様だ。

しかしそんな彼らが何の縁か名古屋の地へ集結した。

初日の練習風景をみても存在感は別格、はっきりと確信したが今季の名古屋は彼らが主役であり顔だろう。

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彼らがチームの先頭に立ち、〝俺たちはまだ終わっていない〟のだとキャリアにもう一花咲かせるか。あるいは上手くいかずアクが強いが故にバラバラとなってしまうのか。もはや名古屋の命運を握るのは彼ら世代であり、阿部ちゃんのように〝マッシモに言われた通りやる〟のではなく、〝マッシモの理想以上のものを作り上げる〟気概で与えられた枠を突き破ってくれれば、おそらく今季は面白い。若かれし頃、世界を見据え戦った彼らが、30歳を超え今度はチームを引っ張る〝ベテラン〟の立場でこの地に集った。こんなに不思議で、そして面白い縁を見過ごすなどもったいない。

〝90年世代の逆襲〟これが名古屋の裏テーマだ。