みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

タイトルに向けてさらば苦手意識

さて、『天敵』FC東京との準決勝がやってきた。

彼らとの対戦で波紋を呼んだ9月22日のリーグ戦。内容自体は素晴らしく、しかし、ゲーム終盤のラフプレーで試合後の様相は一変。惜しむらくは、ゲーム内容すらそのワンプレーのインパクトが凌駕してしまったことだ。


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ただ、今回はそのことに触れるつもりはない。

名古屋の前に立ちはだかる壁が川崎フロンターレだとすれば、『最も苦手意識が強い』のが、このFC東京ではないだろうか。なぜ、毎度彼らには苦労するのか。マッシモ、長友とイチャこいてる場合じゃないんだよ。ここからは、先日の試合で感じたことをまとめてみる。

結局のところ、FC東京をなぜ手強いと感じるのか。

 

一言でいって、個が強烈(元も子もない)

とにかくディエゴオリベイラが嫌なんです。

この結論でまとめたいところだが、ブログのボリュームに難があるので、以下、肉付けのために続けたい。

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ただ正直にいえばそれが理由だ。どっか行ってくれディエゴオリベイラ。前線と最終ラインの『個』が強烈。名古屋が苦手とする理由は、つまるところそれに尽きる。

Jリーグ史上でも過去に類を見ないほどの堅守でここまで勝ち上がってきた名古屋。その堅守のベースとなる前提は『構えた=セットした』守備である。もしくはリトリートした(=一旦引いた)守備とも言い換えられる。

常にリスクマネジメントし、人数を確保したうえで、一糸乱れぬ統率された守備が特徴の名古屋。しかも個々の守備スキルが高く、1vs1に絶対の自信を誇り、最終ラインの負担を軽減する二列目(サイド、ボランチ)の運動量は規格外と、ロジカルでありながらも実はめちゃくちゃ体育会系だからこそ、現在の堅守は築かれた。

つまり、非力な人間が緻密な組織に活かされ生まれた堅守ではなく、あくまで大前提は圧倒的な『個』であることは名古屋も同様。そのうえで嫌らしいほど守備に比重を置くからマッシモは憎たらしい(言葉遣い)。

ただ、仮に相手の個が上回れば。これが大きな問題だ。

先日の試合を観ていて感じた点。それは、東京の選手たちが名古屋の守備陣を苦にしていないのではないか、そんな疑問である。パワーで負けることもなく、狭いエリアでも卓越した技術で簡単にはボールを奪われない。さらにいえば、ポジショニングが良くも悪くも厳密ではない故、所々で密集が生まれ、結果として局所的に圧がかかる。具体的にいえば、それは『中央』だ。

さらにもう一つ、大きな特徴が『サイド』にもある。

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東京の配置をみると、常にサイドで一箇所は質的優位(担保)を設けているのが分かる。昨シーズンでいえば右サイドに位置したディエゴオリベイラ(でた)。先日の試合でいえば、左サイドのアダイウトンが該当する。

宮原和也をいたぶるアダイウトン。俺たち私たちのアイドル和也に対し、地上でも空中でも無許可でごりっごりに身体を擦りつける特権階級それがアダイウトン

さて、これらによってピッチ上に何が生まれるか。

それは、『後退する』名古屋守備陣となる。最終ラインが押し込まれ、全体が間延びする。結果として、中盤の選手たちの担当範囲が拡大する。中央に人数をかけられ、2枚のボランチでは対応不可となる。この悪循環。或いは、先日の広島戦でいえば、相手のハイプレスと徹底した名古屋最終ラインの裏を狙った動きにより全体が間延び。そう考えると、手段はともかく『名古屋の最終ライン』を狙われるのはどうやら都合が悪いようだ。

さらに、名古屋にとってはもう一つ難題が残される。

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屈強な東京センターバック陣だ。ただでさえ孤立気味な名古屋のストライカーに対し、彼らがそこへのルートを悉く遮断する。クバならなんとかするやろ!とたかを括っていたが、ここにオマリをぶつける長谷川健太(オマリの連行に成功したレバノンに乙)。全体が間延びすればパスコースは限定され、結果『相手に背を向けて』ボールを受けるケースが増える。一方で迎え撃つ相手は『前』に大きな矢印をだして身体をぶつける。

その結果、失点に繋がったのが先日の広島戦。

腹立たしいが良いケーススタディだった広島に感謝。

つまりだ。前後で起きるパワー対パワーの対決で、ことごとく劣勢に立たされているのが大きな問題といえる。横綱同士が小細工なしで正面からぶつかり、どちらが相手を寄りきれるか競い合う。裏を返せば、東京の得意な土俵にならざるを得ないのが名古屋の抱える悩みだ。ここでボール保持に舵をきれれば試合の様相も変わるだろうが、現状の名古屋はその手段を持ち得ないだろう。

乱暴な発言をすると、今のJリーグで名古屋の守備組織を凌駕する相手はほとんどいない。そして、そんな常識には収まらないクラブが川崎、東京だと考えれば、なぜか毎試合劣勢に立たされる状況も納得がいくのである。

 

強者と対峙し繰り返される試合展開

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結局のところ、『構える』は『受けきれて』成立する。

そう考えると、『受けきれない』相手に出会した時が最大の問題であり、マッシモ自身、今後のキャリアを踏まえても解決すべき点になるのかもしれない。

『マッシモに金を掴ませるな』この格言をご存知か。

ネタのようだが、実はこれが一つの真理、だ。守れる人間を中心に、チームの重心を後ろに置く。その分、前に出ていけるパワーと個で打開できる能力を備えた選手で得点をとる。ある意味、最もリスクがなく且つ効率の良い戦い方は、このリーグにおいて資金力のある名古屋と絶妙に噛み合った。但し、裏を返せば攻守に個のパワーで対抗できる相手に屈したとき、マッシモの戦術は悲しいかな破綻する可能性が高い。『個の能力で屈しない』、そう書くと何だか元も子もない気になるが、実際のところその前提で成り立つ戦術であることも確かだ。

そういえば、先日の東京戦でふと感じたことがある。

それは、この試合で起きた現象が、豊田スタジアムでの川崎フロンターレ戦に非常に似通っていたことだ。


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名古屋のセンターバック陣に対し、鬼神の如く振る舞うレアンドロダミアン。彼が最前線でイニシアチブを取り、結果として生まれた中盤のスペースを制圧する川崎のスリーセンター。サイドから中央に遠征し、何故かそこに加勢する家長昭博。『中央』で川崎に屈する中、『サイド』から和也を追い込む三笘薫。やっとのことで名古屋がクリアしても、孤立する名古屋の前線を何食わぬ顔で潰し続ける川崎の両センターバック

面白いのが、ここでマッシモが手を打った内容だ。

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山﨑に代えて長澤を投入し、米本をアンカーに置いたスリーセンターに変更する。そこにはおそらく二つの意図がある。一つは、中盤の人数を相手と揃えることで、攻守に対抗するため。もう一つは、前線の枚数が減る分を、長澤の推進力でカバーするため。勘の良い方は分かるだろう。この手は、先日の東京戦でも同様だった。米本に代えて長澤を、そして相馬に代えて木本を投入し、彼をアンカーに配置。以前と変わったことがあるとすれば、高さのある木本がアンカーで評価を上げていることであり、それはキムミンテ加入の影響が大きい。

これでひとまず『穴』が塞がるのは間違いない。

但し、毎度問題となるのは『どう得点を獲るか』だ。このスリーセンター、保持が前提の修正とは言い難く、チームの重心は後ろに重く残るのが事実。故に、前の枚数が減れば、その分、攻撃の迫力も削がれるだろう。

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また、他方では相手の保持を助長する可能性もある。東京戦で残った課題は『クバのワントップが果たして機能するか』だ。運動量に難がある彼のワントップでは、東京センターバック陣に規制が効かない点は気がかりだ。また、押し込まれる展開は更に悩ましい。動きの量が少なく、相手が潰しにくる圧を丸ごと受けてしまうからだ。ただでさえ孤立する中、しかも動きが乏しければ狙いは定めやすい。それもあってか、後半早々に彼とサイドに配置転換した前田直輝をセットでベンチに下げた采配は目についた。ニコイチ、ではないが、この二人は攻守に二人揃ってはじめて威力を発揮するのではないか。

チームのために走れないのなら次からの起用はないということは選手に理解してもらいたい。そういうことが許されるという雰囲気が少しあるので、私の中ではしっかりと線引きをし、そうでないと人の分も走らないといけないという負担が増えますし、そういうことは今のグランパスにとって必要ではありません。もう次の試合から、それを自分たちの中での当たり前とし、しっかりと線引きをして取り組みたいと思います

これは広島戦後のコメントだが、なんとも示唆に富む。

走らない方が上手くいくこともあるじゃねえかと思ってた人たち、反省しなさい。マッシモ怒ってるから。

私も反省します(正直、マッシモの作る枠以上のものを目指すには彼の常識すら超えていく必要があるはず。しかし、悲しいかな苦境に立てばたつほどそうも言ってはいられないジレンマが彼の戦術には内在する)。

さあ、そんなこんなでルヴァンでの再戦にどう挑む。

 

東京こそタイトルに向けた最大の障壁

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ひとまず長友の獲得に動くべきでは(ちがう)。

誤解してはいけない点として、毎試合『拮抗した試合が出来ている』ことだ。もちろん押し込まれるシーンも目立つ。しかし、大量失点はしていない。但し、得点がなかなか獲れない。んー、焦ったい。毎回、一点勝負になるわけで、その是非をどう判断するかだ。個人的には、名古屋側が常に劣勢の印象が強いため、『ギリギリの橋を渡っているな....』と感じてはいるのだが。

そんな危惧が結果として表れたのが先日の広島戦であり、先制点を許す展開だけは避けたいところ。

ただ、マッシモはこの土俵での戦いを選ぶに違いない。

その場合、修正点(見どころ)があるとすれば、前線の構成ではないか。ひとまずアンカーシステムにすることで安定を図るのであれば、ワントップのチョイスをどうするか。個人的には柿谷曜一朗を推したい。また、思い切って従来のシステム(4-2-3-1)で戦う場合はどうか。中盤にうまく加勢しながらボールが運べるタイプ、結果として東京のセンターバック陣とも正面からぶつからない噛み合わせだと様相も変わるかもしれない。

そこで思い出すのが昨季、豊田スタジアムの試合だ。


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おいおい阿部浩之はどこいったんだよ。マッシモ、俺たちの阿部ちゃんは秘密兵器にはたぶん向いてないぞ。

東京との戦いでここ近年、最も可能性を感じた試合にこちらを挙げたい。シャビエルと阿部ちゃんの『ゼロトップ』と、空けた中央のスペースに飛び込むウインガー。そして今だから告白できる、この試合に向かう途中に車のタイヤがパンクして、トヨタの某ディーラー店に大変お世話になったことを。だから猛攻を仕掛けた前半の冒頭を観れていないが、たぶんこれがベストに違いない。

さあ結論である。端的に、この東京戦こそが最難関だ。

俺たちは分かってる。マッシモや米本拓司、そして丸山祐市がどこよりもFC東京を意識していることを。彼らの強さを認めていることを。だからこそどうしても彼らに勝ちたいことを。タイトルを獲るために名古屋に来たのなら、自分たちが選んだ道が正しかったと証明するには、やはりFC東京こそ乗り越えるべき相手だ。

降格、昇格プレーオフ、残留争い、そしてACL出場権争い。いろいろあった。けれど、ちゃんと繋がってる。

次は、国内タイトル。これしかない。