みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

セレッソよ、そこをどいてくれ

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試合の見どころを探そうとセレッソの試合を沢山観た。

何試合か観れば大抵は書きたい『軸』のようなものを発見するのだが、いやはや掴みどころのないセレッソ

天皇杯は準々決勝、ルヴァン杯では決勝まで勝ち上がる力を誇りながら、一方でリーグは低調。シーズン途中に監督交代も経験し、ACLでは名古屋同様、浦項の前に敗れ去る。もちろん連戦の疲労はあるに違いない。これだけ(あらゆる意味で)ハードなシーズンを送りながら、なんやかんやで主要カップ戦は生き残り続ける底力。

リーグ終盤になり、何故か名古屋にとって重要な対戦相手になってしまったのがセレッソで、ここから天皇杯、そしてルヴァン決勝、それが終われば今度はリーグ戦とお互い相手のしつこさが嫌になりそうな今日この頃。これほどどのコンペティションにも残っていると、さぞチームは絶好調だと察するわけだが、蓋を開ければ勝ったり負けたりの繰り返し。しかしこの決戦に向けて頼んでないのに帳尻を合わせてくる謎の調整力こわい。


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ルヴァンカップセミファイナルで浦和相手に2試合を通してチームとして勝ち切って、内容を伴った勝利で自信を得ることができました。そして今日、優勝争いをしている横浜FMに対して、その自信を確信に変えるべく臨みました。何としても、結果を得て、確信に変えた上で、次の大事な試合に向けて前進していきたいという中で、選手たちは本当にハードワークして、厳しい試合でしたけど、勝ち切ってくれたことを嬉しく思います。選手の成長、チームの成長を感じる素晴らしい試合だったと思います

引退した松坂大輔が憑依した感のある小菊昭雄監督。

この組合せの見どころはなんだろなと何日か考えた。

 

うーんやっぱ柿谷曜一朗やろ

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結局そこかよと元も子もない結論に行き着く芸のなさ。

ルヴァン準決勝2ndlegではついに清武が帰ってきた。セレッソの二列目をみれば、左から乾貴士清武弘嗣、坂元達裕。んー、めちゃくちゃ豪華。他サポながら思ってしまうのは『ここに柿谷曜一朗がいたら華しかねえ』。いや正直にいえばむしろちょっと観てみたい。

ただ、彼はもう、名古屋の選手だ。

彼の前にセレッソの面々が立ちはだかり、一方でセレッソゴールマウスを彼が狙う。過去にクラブを彩ったスター選手たちが続々とチームに帰還する中、あれほどセレッソの『8』に拘った彼は今、名古屋にいる。

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自分の中では、嘉人さんと一緒にタイトルを獲って、やっぱり嘉人さんが8番を着けたからタイトルが獲れた、っていうところまでイメージしていて。だから、嘉人さんが帰ってくるときまで8番で居続けなきゃいけない、絶対的な存在になって嘉人さんが帰ってくるのを待たないといけない、と思っていたんですけど、嘉人さんが帰ってくることだけが現実になり、僕は自分が思い描いていた8番になれなかった

その大久保嘉人とタイトルを争うことになる運命。

この胸中を、サポーター視点で最も寄り添い言葉にできるのは私ではなく、きっとセレッソサポーターだ。

だから知ったふりしてそれっぽいことを書くつもりはさらさらない。セレッソサポーターの皆さんが(特にルヴァン決勝を)どんな気持ちで眺めるのか。こればかりは、我々部外者には分かり得ぬ境地だろう。

ここまできて最後にセレッソ。柿谷の胸中やいかに。

 

なんだか名古屋とは逆の運命を辿るクラブ

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さて、現在のセレッソにも、もう少し触れておこう。

そもそも彼らとは妙な縁を感じている。ここ数年でクラブに起きた高低差のある路線変更と、それが不思議な具合に名古屋とシンクロしてる感が他人事に思えない。

風間八宏でロマン街道まっしぐらの中、しかし結果が伴わず超現実路線のマッシモフィッカデンティに舵を切った名古屋。なのにマッシモへの風当たりはそこそこ強く、ロマンはロマンで悪かなかった!と過去の女(おじさんです)を懐かしむファミリーは多くいる。一方のセレッソは対照的で、現実路線で結果もついてたロティーナ爺ちゃんと縁を切り、進んでロマン街道まっしぐらなクルピ&まさかの八宏路線を開始する。しかし予想通りと言っていいのかこの船は途中で座礁。『なんでロティーナ切ったんや』と、悲鳴にも近い声を挙げていたサポーターの声が正しかったことを皮肉にも証明した。

ロマンを懐かしむ名古屋とそんなもの不要なセレッソ

これだけ書くと名古屋ファミリーがイカれてる結論で終わりそうだが、いやこれは歩んだ順序で名古屋に分があったと結論づけたい(暴論)。そしてロマンに挫折したセレッソは、桜色一色の小菊体制でリスタートした。

チームのコンセプトを最も体現するのが加藤陸次樹。

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いやー、めちゃくちゃ走る。身体も張るし、守備も全く厭わない。小菊昭雄監督が前線からの積極的なプレッシング、そしてハードワークを基調とするのは観れば伝わるわけで、加藤を前線の軸に据えたのはなるほど理解出来るのだ。名古屋でいえば山﨑凌吾が近いだろうか。とりわけ国内ではこの手のストライカーは重宝されるし、そう考えると現状、名古屋の4番手になりつつある山﨑の去就はやべえ。だって狙われないはずがない。

前線に問題があるとすれば加藤の相棒が確立されていないことだろう。売り出し中の山田寛人も悪くないが、皮肉なのは『今の』柿谷ならきっと良いコンビが築けたはずだと思えることよ。めちゃくちゃ走るのは今や柿谷も負けてない。しかしもう彼は名古屋の選手(三度目)。あと一言付け加えるが兎にも角にも清武間に合うな←

さて、最前線の汗かき役が加藤なら、最も気をつけるべきチャンスメイカーは誰になるか。

言うまでもない、帰ってきた乾貴士だ。

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やっぱ上手いなクソ上手いな!(言葉遣い)左からカットインしてぇの身体の向きと逆にスルーパス要注意な!

(乾に関しては)コンディションも上がってきて、素晴らしい状態にあります

乾のコンディションを悪化させる方法はありませんか。

坂元達裕にも同様のことがいえるが、ボールの受け方(受ける位置)、プレーの幅(選択肢の多さ)は例えば相馬や森下にも参考になるはずだ。マテウスみたく一撃必殺も魅力だけどパスで決定的な仕事が出来るのも同じくらい魅力がある。例えば三笘薫だって同じでしょう。ボールを保持した際に何をしてくるかわからない怖さがある。そんなボールの持ち方そして運び方。ちなみに天皇杯は出てこないので(やったー)ルヴァン決勝は万全のコンディション間違いなし。天皇杯ラッキー!かと思えばそこは清武。名古屋のサイドバックは大忙しだ。

あとはセレッソセンターバック瀬古歩夢と西尾隆矢。

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21歳と20歳のアカデミーコンビ。なんて素敵な響きでしょう。もう一度書きましょうか。『21歳』と『20歳』の『アカデミー』『アカデミー』『アカデミー』コンビ。前線ならともかく、最終ラインのど真ん中が自前中の自前。そう考えると、彼らセレッソアカデミー育ちの二人と対峙するのがまたも登場、同アカデミーの大先輩にあたる柿谷曜一朗だ。なぜ見どころが結局は彼に行き着いてしまうのか、少しずつ伝わってきたでしょう。そうだアカデミーで思い出したが八宏さんは元気ですか←

セレッソはオーソドックスな4-4-2がベースだが、前述の通りチームのコンセプトを体現出来る駒が揃いつつあり、且つその駒のクオリティも申し分ない。局面ごとでの判断がチームとして共有され始めた点も脅威で、前から行くとき引いて構えるときのこの押し引きがいい塩梅だ。ただ名古屋とすれば決して苦手なスタイルではない。前からくるならドカドカ蹴って、浅いラインをガンガン突破、点を獲ったら引きこもり、以上だ(雑)。

それにしても水曜土曜で中二日の二戦連続一発勝負は改めてエグい。一週間で全て失う可能性も大いにある。

どうしてもルヴァン決勝にフォーカスしたくもなるわけだが、これほど試合が立て続けだと二戦はセットで考えるべきだ。どちらの試合も勝つ以外に道はなく、しかも一戦目の攻防が間違いなく二戦目の戦いに影響する。ホームアンドアウェーとは異なるシチュエーションの難しさに加え、その舞台が各大会の準々決勝と決勝ともなれば面白みも俄然増す。さあテンション上がってきた。

では最後に名古屋陣営の話題で締めくくることとする。

 

俺たちは勝つことに飢えていた

前述の通り、残念ながらACLは準々決勝で涙を呑んだ。


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本当にこの大会に懸けていたこともあり、すごく悔しいです

中谷進之介の言葉が心に残る。名古屋の歴史上初となるアジア王者は、それほどまでに魅力的だった。

ベスト16の大邱戦、リーグ上位対決だった第29節のマリノス戦、そして先日のルヴァン杯準決勝にあたるFC東京戦と、ここ最近は刺激的で痺れる試合が続いていた。

決してどの試合も内容として魅力的だったわけではない。泥臭く勝ち切った試合だってある。ただ、それでも多くのファミリーが興奮し、熱くなり、記憶に残る試合となったのは間違いない。ここ数年でいえば、あれほど『名古屋のスタイルはー』とか、『風間とマッシモのサッカーはー』なんて勝敗とは別の議論が付きまとっていたのに、最近はもっぱらそんなこと後回しだ。

リーグ終盤やたら充実してるこの日々は一体何なのか。

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たぶん、我々は勝つことに飢えていたのだ。名古屋には勝敗のみを追求出来るような環境が久しくなかった。

だから改めて思う。勝って欲しいと願う気持ちは、サッカーの好みなど軽々と凌駕するのだと。あのフットボールは良いだ悪いだと、そんな議論がなんだか浅はかに思えるくらいに、老若男女、玄人素人の壁を飛び越えて皆が一つになる。そんなシチュエーションが、稀にある。そして、今季はそんな試合が何度も訪れている。上位争いとは、タイトル争いとはつまりそういうことなのだ。

振り返れば何かを掴み取りたい瞬間はいつもそうだ。スタジアムを包むのは『勝ちたい』その想いただ一つ。

そんな境地が4年ぶりであることに、今さら気づいた。


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風間八宏もマッシモも、自分の信じた道を突き進むその姿はそっくりで、しかし与えてくれたものは正反対。フットボールの楽しさを教えてくれたのが風間八宏なら、フットボールは勝ってこそ意味があるとマッシモが証明する。行き着いた先はといえば、かたや昇格決定戦で、もう一方の目の前には国内タイトル。このコントラストがらしいっちゃらしいけれど、そんな二人で降格以降の5年間が繋がった感があるのは何というかもはや奇跡。

いや、繋がったと言い切るには、タイトルが必要だ。

その行手を阻むのがセレッソ大阪である事実を、『偶然』の一言では片付けられない選手がいるとすれば、それはおそらくただ一人、柿谷曜一朗に違いない。

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正直、セレッソの8番にずっと憧れていて。(香川)真司くん、キヨ(清武弘嗣)も背負ったけれど、セレッソの8番って、誰が何と言おうと、やっぱり森島(寛晃/現C大阪代表取締役社長)さんなんですよ。そのイメージが少しでも俺になるように、こだわって、こだわって、やってきたつもりなんですけど、現実にはできなかった。

『柿谷と言えばセレッソの8番』じゃなくて、『柿谷と言えば8番』というふうになりたいなって。憧れだった森島さんに対するリスペクトの気持ちもずっとあったし。ただ、名古屋にも今まで8番を背負ってきた選手の思いとかイメージもあるやろうから、簡単に自分の番号にならないことも分かっていて。それでも、『8番と言えば柿谷』と思ってもらえるように、と思って選びましたね

あの日の挫折はこの日の成功のためにあった。そう証明したいのは、名古屋も、そして柿谷曜一朗も同じだ。だからこそ我々に必要なものは唯一、タイトルなのだ。

名古屋の8番を選んでくれた曜一朗と共にタイトルを。

 

 

 

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あと木本に必要なのは前線に放り込まれる準備と覚悟。