みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

「二年目の健太はガチ」はガチか

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健太は健太でも長谷川健太がなんだかアツい。

気づけばシーズンも折り返し地点に差しかかる。鹿島がやべえガンバがやべえと今季も話題に事欠かないJリーグ。しかし、一切話題にならないが、抜群の安定感で上位陣の椅子を譲らないチームがそう名古屋グランパス

率いるのは、長谷川健太。大ベテラン監督だ。

ふと気になった。「この男は、なぜ錆びれないのか」と(失礼)。期待の“解説者発”理論派指導者も、或いは、“スペイン発”ポジショナル伝道者も苦戦する中、間違いなく擦り倒されたであろう健太さん(とここからは呼びます)が、何ら変わることなく安定した成績をおさめ続けるこの現実は何だ。流行りの戦術など駆使しない、だから話題にもならない、だが強い。これぞ健太。

「健太の2年目はガチ」。Jにはこんな言い伝えがある。

では、なぜ名古屋でも2年目の健太は元気なのか。やはりガチ、なのか。その秘密を探るべく、この一年半で起きたターニングポイントをいくつか振り返ってみたい。

名古屋のファンサポーターは、改めて現在の立ち位置を考えるための材料に。他サポーターの皆さんは、「健太は相変わらずガチなのか」と知る術になったら本望だ。

なお、文章作成にあたり重要な資料となったのが、過去行われた健太さんの試合前・試合後の囲み会見。また、シーズンオフになると発売される、クラブオフィシャルDVD「THE DEEP」である。残念ながら、会見内容は(公式なものとはいえ)有料会員のみが全文を読める状態であるため、コピペは差し控え、要点のみ抽出する。

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今さらだが、なんで3バックなんだっけ

今の名古屋を語るうえで絶対に外せないのが3バック。

とはいえ、健太さんといえば4バック。その印象が強い(私も含めた)J好きの人たちからすれば、そもそも「3バックで成功している」この事実こそ、あまり触れられていないが実は結構重要なことだと感じる今日この頃。

名古屋が3バックを初めて試した試合は印象深い。

2022年4月13日のルヴァン杯サンフレッチェ広島戦。


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その試合に至るまで、リーグ戦は2勝2分3敗。数字だけ見れば良くもなく悪くもない状況だが、しかしこの広島戦の前に行われたリーグ戦、4月10日のコンサドーレ札幌戦が実に酷い内容だったのは鮮明に覚えている。

「THE DEEP」では、健太さんがこう回想している。

(3バックは)考えていた。このままじゃ難しいなあと。そこで舵を切った。このままやってても駄目だなと。本当にあの試合(札幌戦)で痛感させられた。やっぱり4バックのスライドっていうのがないと、なかなか守れない。これはたぶん前年度からの癖で、5枚や6枚で守るっていうのが通常の慣れている守り方で。退路をたって舵を切った。札幌戦が一つのターニングポイントだった


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健太さんにとって、名古屋での一年目はまさに「脱マッシモ」「脱成功体験」に苦悩した日々だったといえる。

決してマッシモのやり方を否定したかったわけではない。ただ、自分のやりたいフットボールはそれではない。この点だけは、就任当初から一貫し譲らなかった。

リーグチャンピオンを獲るために、アグレッシブにゴールを目指すサッカー。アグレッシブにチェイスしてボールを奪うというサッカーをしていかない限り、リーグチャンピオンにはなれない

(2022年2月19日 ヴィッセル神戸戦試合前)

※THE DEEPより

この言葉を裏づけるかのように、THE DEEPでは森下龍矢が移籍初年度(2021シーズン)をこう振り返った。

守ってるだけじゃ優勝できないと肌で感じた

とはいえ、最終的にルヴァン杯制覇まで成し遂げたマッシモフィッカデンティとの2年半の歳月は、我々が想像していた以上に濃く、そして拭い難いものだった。

前述した札幌戦翌日、健太さんは選手たちにこう語る。

絶対に守備的にならないこと。「守って一点取ればいいじゃん」じゃ絶対に勝てない。自分たちで獲りにいくんだという姿勢を持たないと絶対にダメ。「守ってワンチャンス狙えばいいじゃん」「0-0で引き分けで勝ち点1取れるじゃん」と思った瞬間にどんどんネガティブになる。点を獲りにいくために、アグレッシブに獲りにいく

※THE DEEPより

この言葉の後にチームは3バックに変更されるわけだが、これらの文脈で分かることは、名古屋(或いは健太さん)にとっての「3バック変更」が、決してポジティブな理由だけではないことである。端的に言ってしまえば、マッシモのベース(と自身のベースである4バック)のままチームを改善したかったものの、このやり方のままでは限りなく難しいと判断したといえる。

だったら、形ごと変えてやろうと。半ば強制的に。

横幅目一杯を「当たり前のように」6枚で守ってしまう。裏を返すと、そうでないと守れない。言うまでもなく、重心は下がる。健太さんの理想を追求すれば、歪みが生じ穴が生まれる。この悪循環。おそらく、健太さんにとっては3バックも(5バックがベースになるゆえ)後ろに重く、本来採用するつもりはなかったのではないか。だがしかし、それが5枚であろうとも、体に染みついた癖を矯正するには、もはやこれが最後の手段だ。

とはいえ、それ以降も順風満帆だったわけではない。


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2022年5月7日の横浜F・マリノス戦後は悲惨だった。

もう1-0で守るとかそういうのじゃチャンピオンになれないからな!守るためにやってるわけじゃない。優勝するためのチーム作りでしょう!?そういうチームになるためにやってるわけだから。いつまでも『ウノゼロ』じゃない!!!2点目3点目を獲れるチームになっていこうよ

(試合後のロッカールーム)

※THE DEEPより

めっちゃキレる健太さん。点が獲れずお通夜状態攻撃陣。これだけでTHE DEEPの価値はあるわけだが、それにしてもこの3バック、付け焼き刃感は否めなかった。

“生粋のストライカー”を、名古屋は欠いていた。

健太さんもTHE DEEPのインタビューでコメントしているが、結局、4バックだろうが3バックだろうが、健太さんが最後まで抱え続けた問題点は共通したものだ。

「最終的に誰がゴールを決めるのか」

つまり、「最後の絵」をチームとして描けていない。これが、健太体制一年目における最大の問題だった。

しかし、このシーズン途中から布石は打たれる。

 

帰ってきた韋駄天やってきた生粋のストライカ

ストライカーの獲得。これが次のターニングポイント。

まずは、2022シーズン途中に加わった永井謙佑

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以前にもこのブログで書いたことだが、当初、私はこの獲得に否定的だった。永井本人(の当時の去り方に対して)というより、単純にFC東京でやってきたことの焼き直しというか、その歩みをなぞるようなチームビルディングだけはやめて欲しいと思っていたのだ。それは、FC東京に対してどうこうという話ではなく、過去にやって道半ばで潰えたものを、あえて名古屋でもやる事実そのものに、価値を見出せなかったのが本音である。

だが、それは杞憂に終わる。その活躍、圧巻の一言。

最も価値があったのは、「ストライカー」の役割以上に、もはや彼の「存在そのもの」にあった。

比較的おとなしい名古屋において、加入当初からムードメーカーを買ってでる。練習では仲間とやり合うことも厭わず、守備をしないマテウスにブチ切れる彼の様子をTHE DEEPは収めている。そして、試合になれば誰よりも全力で走りまわり、試合の終盤でも相手を追いかけ後ろまで戻ってくる。試合に勝てばゴール裏とお祭りだ。

何度でも言わせてくれ。正直、スマンかったと←←

この名古屋において、彼の存在は「絶対に」欠かせなかったと今は思う。そう、「今いること」に意味がある。それは、健太体制一年目を終えたオフにやってきた、新たなストライカーの存在にとっても重要だった。

キャスパー・ユンカーである。

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すげえ点獲る。マジでシュート枠いく。これが本物の、リアルガチなストライカーかと名古屋勢は思い知った。

めちゃくちゃ気分屋。レフェリーには文句を言うし、やさぐれる。健太さんも認めるように守備は「多少」ならやってくれる。ちなみにTwitterはめちゃくちゃやる。


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そんな男だが、ゴール前の仕事は超がつく一級品。

しかも、お目付け役の永井がときどきケツをぶっ叩いてくれる効果で、想像していたよりは走っている。面白いもので、今となってはあのマテウスが永井の弟分のごとく、エンジン全開で走ってくれたりするから笑みが溢れる。なんという相乗効果。永井謙佑、偉大なりである。

この二人(マテウスも含めて三人か)が揃い、「ひとまずは」健太さんのやりたいフットボールのピースは揃ったと断言できる。チームに最低限のハードル(走りや球際)は設けながらも、あとは比較的“素材”で勝負の長谷川健太にあって、やっと手に入れた前線のピース。

と、思っていたが、どうやら健太さんは開幕直前まで確信が持てていなかったらしい。2023年3月29日の練習後にあった囲み取材で漏らしたコメントを要約する。

  • 今シーズン好調の要因は、前の3枚が成立したこと
  • キャンプの時から「ダメだったら」と思いながら毎週やっていた
  • 横浜FCとの開幕戦を何とか勝ったのが大きかった
  • あれで負けていたら、あの3枚をまだ同時に使っているかどうかはわからなかった
  • キャスパーが点を取って存在感を示したのが大きい
  • キャスパーもダメ、マテウスもダメ、永井もダメなら、システムも構築し直す可能性があった

凄えよ健太さん。我々の想像を超える出たとこ勝負。

かくして、スタイルを表現できる面々が揃ったのだ。

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え!?そこ参考にしてたとは!!!

そして、最後に三つ目のターニングポイント。

といきたいところだが、もう少し3バック導入について話したい。ここからはポジティブな面だ。理由はともあれ、3バックによって恩恵を受けた選手たちが3名いる。

相馬勇紀、森下龍矢、そして藤井陽也である。

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まず相馬と森下。“ウイングバック”のポジションが生まれたことで、彼らのポテンシャルが最大限に発揮された。圧倒的な運動量(アップダウン)とスピード、対人の強さを活かした守備力と、一方でボールを持てばその攻撃力を余すことなく発揮する。つまり、ウイングバックに必要な要素を兼ね備えた“槍”が、名古屋には(そもそも)2枚いたわけだ。それが、あっという間にチームの武器(看板)と化したのは出来すぎた話だった。

また、守備に目を移せば、マッシモ期の鉄板コンビだった丸山祐市中谷進之介の間に新しい席が用意された。

そのプラチナ席をゲットしたのが藤井陽也である。

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マルナカ”のゴールデンコンビに「挟んで」調教するスペシャルコースで、藤井のポテンシャルが遂に開花。というより、開花するまで我慢強く耐え忍んだ健太さんと、転がり込んだ新たな席にしがみついた藤井の勝利。

気づけば全員日本代表選出は健太ハンパねえの一言。

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どこまで計算してたのかマジで謎だが、3バック導入の恩恵は凄まじいものだった。健太すげえ、育成力万歳。

だがしかし。私には、一つだけ大きな不満があった。

それは、健太体制一年目の2022年から、今シーズンも初期の段階まで、ずっと燻っていた想いである。

「前からアグレッシブに奪いにいく」と言うわりに、全然行けてねえじゃねえか、と。その結果、撤退守備ばかりで期待してたものと違うんじゃないか、そんな憤り。

2022年10月1日、横浜F・マリノス戦で、決壊した。


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ゴール裏で選手とともに戦っている同志の方たちには申し訳なく、ここは恥を偲んで記すが、この試合に関してはロスタイムの前にキレて帰った。ふざけんな。気づいたら、席を立って一言も口にせずスタジアムを後にする自分がいたのだ。それほどまでにショッキングだった。だってさ、アンタ東京時代もマリノスに叩きのめされて職失ったんじゃないのかと。またボコボコにやられて、何やってんだよ。何も変わってねえよ。そう思った。

問題は明白だ。前から奪いにいく仕組みが乏しい。

なんとなく構えて、前線の選手たちが相手最終ラインに牽制しながらボールをサイドに誘導する。そこからプレスのスイッチを入れる。駄目だ。規制が効いていない。特に、立ち位置を変幻自在に変えてくるマリノスのような相手とやると、それはもう絶望的な内容だった。「前から奪いたい」、そんな欲望だけが先行する空転したプレスが、あの日の自分には余計に虚しかった。

その意味でいえば、「今年も健太さんでいいのか」と、正直にいえば疑心暗鬼だった。確信が持てなかった。

だって、健太さん自身がブラッシュアップ出来ているのか、どうにも伝わらなかったから。結局、4バックでも3バックでも、「チーム」としての戦術レベルが物足りない。偉そうなのは百も承知。でも、そう言いたかった。

迎えた今シーズン。ふと気づく瞬間があった。

「あれ....なんだか健太さん、変わってきてない?」

皮肉にも確信したのは4月29日、因縁のマリノス戦だ。


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うえ!!まさかまさかの、オールコートマンツー!?

そう、この試合に至るまでに名古屋は大きく変化した。

セットからのスライド守備ではなく、とりわけ前線の選手たちは明確に“人”を捕まえにいくようになったのだ。「今どきの3バック」だ。中央の3枚が、相手のボールの供給源を抑えにかかる。そのうえで、外に出たボールを後方の7枚がスライドして対応する。ちなみに、マリノス戦に関しては「それでも足りない」と腹を括ったか、ほぼほぼオールコートをマンツーで対応したのだ。

これは推測だが、きっと健太さんは、当初4バックで今くらいのアグレッシブさを作りたかったのではないか。

後方は4枚でラインを敷き、中盤から前の6枚でボールを奪いにいく。しかし、ここで求められる「戦術的な柔軟性」が表現できず挫折。より配置が固定的になる3バック(5バック)を選択した。人(人数)が明確に配置され、穴が少なく致命傷は逃れられるが、今度は中盤から前の「5枚」でどうボールを奪いにいくのだと躓いた。

しかし、どうやら手掛かりを見つけたようである。

今のやり方は名古屋に合っているとすら思う。そもそもが「人(対人)」に強く、「縦」に速い連中は揃っている。要は「球際」さえ作れる仕組みがあれば、むしろ3バックの方が攻守に直線的なアプローチが取れる分、今のスカッドのキャラクターにハマるのは明白だ。また、そもそも守備が得意でないキャスパーやマテウスを置くキャスティングからしても、彼らにはタスクを明確に、そしてシンプルに与えた方が機能するに決まっている。「中央だけ締めてくれ」、あとは後ろ7枚が鬼走りだ。

3バックがただの“手段”から“武器”に変わりつつある。このキッカケは、果たして何だったのだろう。

その一つに過ぎないだろうが、最近、意外な話がでた。

すばらしい監督だと思います。昨シーズン、スキッベ監督になり、同じ3バックではあるものの新しい風を送り込んだのかなと。(横浜F・)マリノスとの試合は、広島にとってすばらしい内容でした。「こういう3バックもあるのか」と。それまでは3バックに対して、自分自身が興味を抱いていなかったというのもあったんですが、名古屋でも3バックをやり始め、いろいろと見ていました。ヨーロッパサッカーを感じて、「なるほどな」と勉強させてもらった部分もあります。広島のサッカーをリスペクトしています。すばらしい監督だと思っています

(引用:INSIDE GRAMPUS 5.20広島戦後会見)

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えーーーーーーーーそこ影響されてたんかい!!!

スキッベ云々の話はさておき何気に重要なコメント盛り沢山。「そもそも3バックに興味なかった」おい健太!「ヨーロッパのサッカーに刺激を受けた」わお素敵!

でね、これをさらに磨いている「真っ只中」なのが今。

  • 引き出しをどうやって増やしていくのかを考える
  • 『ワンシェイプだけでは難しい』と言っている
  •  シェイプ(型)を変えなくても自分たちのやり方、守備の仕方の様々なオプション、形を持っていた方が、相手の形に対応できるため増やしていきたい

(2023.4.3 練習後囲み取材コメント要約)

  • 新潟戦でもプランBに挑戦し、すでに持っていた
  • 中に入ってくる選手に対して、どうやって守るか
  • 3-4-3のワンシェイプだけだと追いつかない
  • 守備のオプション。攻撃は大きく変わらないので、 立ち位置の部分と狙いは、選手もよく理解している

(2023.4.6 練習後囲み取材コメント要約)

  • ツーシェイプ目も持っている(苦笑)
  • 新潟戦もプランAが上手くいかずプランBに変えた
  • とはいえ、国立での鹿島戦は、もうふたつ目もないぐらいにプランAで押し通すつもりでいた
  • しかし、押し通せなかった。”行く”システムなのに行けなかったのが一番大きい
  • プランBに変えて構えて戦うつもりはなかった
  • 基本的には行く。しっかりとゴールを割っていく

(2023.5.17 練習後囲み取材コメント要約)

いやあすげえシェイプ連呼するやん....。キラーワード。

「3バックでもアグレッシブに戦える」そう考えが改まる中、さらに相手に応じた(前線の)可変パターンを増やすことで、どう来られようと嵌め込める。そのためのトライだと解釈できる。多少は攻撃のバリエーションにも繋がるだろうが、基本は「非保持」の発想がベースにあり、そこでアグレッシブに振る舞うための術である。

さて、これが三つ目のターニングポイントであり、最大の転換点だと思っている。だから長文これ仕方なし。

つまり、長谷川健太自身も、“進化”しているのだと。

 

今回も長くなりました....

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さて、最後になるが、これで死角はないか。

あります。

ズバリ「遅攻」....というと、ここから死ぬほど長くなるので、今回は割愛(ちなみに、健太さんもそこは課題と捉えているようで、「そういうボランチがいればね、上手くやれんだろうけど(意訳)」なんて超重要コメントも残しているのだが、それはぜひ探してください笑)。

気を取り直して。

「選手層」である。

健太さんの会見を全て振り返ると、この点に関する言及は常に一貫していることが分かる。

  • (新たな)選手が出てくるとチームも乗ってくる
  • そういう選手が出てくることを期待する
  • それは序盤戦より、中盤戦から終盤戦にかけて活きの良い選手がいるかどうかが大きい

(2023.5.1 練習後囲み取材コメント要約)

  • 流れを変える選手が1枚出てきてほしい
  • 勢いを持った選手がいて、レギュラーの選手を脅かすようになれば、相手も対策しづらいチームになる

(2023.5.17 練習後囲み取材コメント要約)

  • これから対策を打たれた時に、途中出場の選手が試合の流れを変える、試合を逆に決めてくる。そんな選手を作らないと、難しい試合がきっと増える

(2023.5.30 練習後囲み取材コメント要約)

では、健太さんが若手の選手たちに何を求めているかといえば、実はこの点も終始一貫している。

単純明快、「結果」である。結果を、爪痕を残せと。

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現状はといえば、貴田遼河の独壇場。

一歩も、二歩も、いや三歩も前に出ている状況である。

果たして、どうすれば若手が試合に絡めるのか。健太さんは事あるごとにメッセージを発しているし、それ自体にブレなどは何一つない。ずっと繰り返し発言しているのは「結果」が重要であること。攻撃陣は「数字」にこだわること。また、練習試合においては「どのポイントで評価をするか」選手たちに落とし込みがあること。コンディションに問題があれば出なくていい、しかし出るからには良くも悪くも評価を下すとまで明言している。また、若手は「無理やり使うものではない」とも。

では、リーグに出るための基準とは何か。

基準はもうもちろん、リーグ戦メンバーと同じ基準で見ています。それができていないので、リーグ戦に出られていないということでもありますね(笑)

(2023.4.17 練習後囲み取材コメント要約)

もうここだけは短いし引用させてくれ。超重要部分。

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なぜ、貴田のことを健太さんがこれほど評価するのか。

結果を出しているから「だけ」なのか。そもそも「リーグ戦と同じ基準」とは何なのか。それを、それぞれのポジションごとで、改めて問い直す必要がありそうだ。

それにしても、健太さんは“決断”の人だ。

岡田武史や、森保一と同じ。決して形(型)にはこだわらない。ただ、絶対に譲れない信念と理想があり、そのためなら大きな決断でも躊躇することがない。

そして、同時に“厳しさ”と“愛”の人だとも思う。

今回の文章を作成するにあたり、過去の記者会見を全て読み返した。ずっと言っていることは変わらない。そして、若手に対する愛情とメッセージが、これでもかと込められていることに気づく。厳しさと愛情は、健太さんにとってコインの表裏なのだと理解できた。もし、興味が湧いたら、ぜひ改めて読み直してほしい。

どうやら健太さんは勝負師であり、調教名人らしい。技術、ではない。プロを、「一人前のプロ」にする名人。

  • (育てるということは)基本的には変えていない
  • プロになる選手はみんな上手い。ここから始まる。だからこそ、この上手い選手たちをどうやってさらに上手くするのか。その部分は変わっていない

(2023.5.11 練習後囲み取材コメント要約)

ルヴァンも、天皇杯も、全てはリーグに繋がっている。だからこそ思うのだ。貴田の次は、誰なのかと。

後半戦の名古屋の命運は、そこに懸かっている。