みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

【まだ第四節ですが首位決戦です】第二回vsFC東京

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首位決戦です(第4節です)。

「俺は書かねーぞ」と次の予告までして英気を養う予定でしたが、この見慣れない四文字(首位決戦)がいま、ぼくを突き動かしています。

正直、満足に相手をチェック出来るはずがないのですが、仕方ない、「首位決戦」なので。

貴方たちとは絶対に結婚できない。相性、さいあく

一度くらい勝たせてください。これがこの2年間、対 FC東京戦の戦績である。

なんで相性が最悪かといえば、簡単に言ってしまえば「パスを繋ぎたいチームvsブロック作ってカウンター」の噛み合わせがそうさせるのだけど、彼らの今年の戦い方を見ても、改めてそれは感じるわけです。ざっくり特徴をまとめてみましょう。

一.深追いはしません

システムは名古屋と同じ4-4-2。ただし守り方が全く異なります。名古屋は相手コートでボールを獲りきるために、相手の最終ラインに前線4人がこれでもかとプレッシャーをかけるスタイル。対する FC東京は、永井が信じがたい走力と運動量で二度追い三度追い上等!と憎たらしいほど追っかけ回しますが、残りのメンバーがどうかといえば、一緒になって追ってくることはそれほどない。前からプレスを敢行する際、名古屋が「目の前にいる相手」を意識しているとすれば、東京はむしろ「自分の後ろにあるスペースや相手」を意識するチームであると。なので、本格的にプレスがきつくなるのはピッチ中央、いわゆるミドルサードのゾーンです。最終ラインも、絶妙に「浅すぎず、深すぎない」ライン設定をします。

二.その守備組織、名古屋が勝ったら頂こうか

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自陣側でのブロック(組織)の質ははっきりと、格上でしょう。よく仕込まれていると感心するしかありません。仮に彼らの組織力が名古屋のゴール前に存在すれば、真剣な話、我が軍はぶっちぎりで優勝です。まず中央でやられない意識が非常に強い。ボールがあるサイド側へのチーム全体の圧縮(スライド)もきっちりしてます。つまり各選手間の特に「横の距離感」は非常にコンパクトであると。出来るだけボールのあるサイド側に全体が蓋をして、「ピッチを狭くしよう」としてきます。

三.サイドのアタッカー2人もきっちり戻ってきますから

これは東と、久保くんさんですね。おそらく、このチームはこのポジション、守備の意識、ポジショニング、強度がそれなりにないと使ってもらえません。それぞれ背後にいる仲間のサイドバックと協力して、しっかり蓋を閉めてきます。先ほど「深追いしない」と書きましたが、相手のビルドアップの際、彼ら2人は特に後ろとのバランス、距離感を気にしてポジションを取ります。もう後ろばっかり見てますから。仲間との距離感命。ちなみに攻撃に関しては東の方がバランサー。久保くんさんのアタッカーとしての素質を活かすために、東が左右のバランスを調整しています。立ち位置としては、両者外には張らず中に絞る。特に久保くんさんは顕著です。

四.奪ったら縦にはやくはやく

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高速カウンターって言葉は個人的にピンとはきません。高速というか、永井が高速なんです。ディエゴもそうなんですが、チーム全体で急にスイッチが上がってギアが入るというより、「よし、お前ら行ってこい!」と。なので結構蹴ってくることも多い。で、わりとアバウトなのにそれをマイボールにする永井みたいな。永井ってね、そりゃ名古屋陣営が彼のこと一番分かってるわけですが、やっぱり今の名古屋との相性は最悪だとは思う。正直、スプリント勝負ならファンウィジョの比ではないから。しんちゃんも普通にちぎられるでしょう。ガンバ戦みたいなシーンが何度もあると。

ただこの不幸を喜んでいいかは分かりませんが、その永井、前節の鳥栖戦で、前半途中に怪我でリタイアしてます。どの程度の怪我か不明ですが、もし彼を欠いた状態だとすれば、名古屋的には相当助かるというのが本音でしょう。東京側としても、チームを攻守に機能させるうえで、彼の果たす役割が大きな鍵になっています。存在感は絶大。長谷川健太のチームにおいて、本来であれば「絶対に欠かせない選手」です。

前節の鳥栖戦ではまず田川が出場。しかし膠着状態を打破するために、彼は途中出場ながら更に交代カードを切られ後半途中に退いています。そして代わりに入ってきたのが、開幕前に新加入で入った「ジャエル」。あれはゴールに近づけちゃダメ。遠くで、遠くでプレーさせないとフィジカルで押しきられる恐れあり。ありゃ重戦車。

ざっと簡単ではありますが特徴をあげてみました。で、「なぜ名古屋との相性が最悪なのか」。これですよね。もう改めて言うまでもなさそうですが、この特徴を名古屋と噛み合わせていきます。

俺たちはなぜ年始に9失点喰らったのか!!!

【東京さんのここが嫌①】だって俺たち、サイドチェンジ興味ないから

まずこれ。東京の守備って、当然のことながらボールと反対サイド、めちゃくちゃ空くんですよ。当たり前ですよね、全体がボールサイドにスライドしているわけですから。一つ剝がせれば、逆サイド、ドフリーです。ただね、俺たちはその密集を突っ切ることこそがロマンだから。壁があるならぶち当たっていく、これがポリシー。いやいや普通にぶつかるだろって私だって冷めた顔して突っ込んでやりたいですよ。でも俺たちは(今さらですが風間八宏風です)そこを割って入って最短距離で行きたいんだよと。サイドチェンジ?そんな遠回りごめんだよ!(意訳)ってことですわ。いや、実際は効果的なサイドチェンジ、風間監督的にも有りだと思うんですが、それでもそのサイド攻略しようとするのが名古屋なんですよね。壁は飛び越えるな、ぶち壊せと。

シャビエルきちゃうし。右、宮原ひとりだしみたいな。これで正々堂々ぶつかって、仮に繋ぎでミスとか、相手に引っかかるとこれ。

【東京さんのここが嫌②】奪われたらあいつら待ってくんない

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速攻でカウンターです。ぼくはしんちゃんとファンウィジョの走り合い、愛を込めて「徒競走」と表現しましたが、当然意図していない奪われ方をすれば、名古屋の場合こうなると。なにせサイドバックは高い位置を取りますから。東京の前線の選手からすれば、走るスペースはどれだけでもあるわけです。彼らは「ロングカウンターを愛する会」代表です。永井やディエゴはその愛好家、常習犯といってもいい。

そうなると頼みの綱って、もはや風間八宏に神が授けた奇跡のルール「オフサイド」しかないわけで、フライングを知らせるピストルをマルに都合よく撃ってもらう(オフサイドトラップ)しかないと。つまり、一試合のうちに何度も中盤でボールロストしてれば、そりゃ9回スタートダッシュ成功されても仕方ないだろうと(もちろんそれだけが失点の理由ではないでしょうが)。

【東京さんのここが嫌③】あいつら「ボールを持たせたい」チームだから

相手にボール持たれるの、苦じゃありません。彼らはむしろ「ボールを持たされた方が」苦手です。正直ビルドアップの上手いチームではない。持たされて、逆に相手に構えられると、意外とチームとして崩す術が乏しいのが欠点。ゲームを作れる選手がいないのです。高萩も決して司令塔という振る舞いはしない。遅攻になると左サイドから崩しにかかるケースが大半ですが、なかなか崩せない。久保くんさんも必然、存在感は薄れます。ただ相手が前に出てこればめっぽう強い。スペースこそ正義。ロングカウンターこそが唯一信じられるものであると。面白かったのは、湘南戦と鳥栖戦において、東京の前線の選手たちは別人のようでした。もちろん前に出てくる湘南相手だと水を得た魚です。対してしっかり守ってきた鳥栖戦は、途中相手が一人退場したこともあり、沈黙しました。

分かりますでしょうか。つまりこういうことです。

攻守において、名古屋側からすれば兎にも角にも噛み合わせが悪い、条件だけ見れば全てにおいて分が悪い、それが東京。

その壁を突き抜けるしかないわけです、俺たちは。トメルケール頂上決戦がvs川崎だとしたら、トメルケールvsマモッテハシールの頂上決戦はvsFC東京ですよ。この二チームこそが、今年どこよりも俺たちが潰さなければいけないチーム。特に東京は我々のスタイルからすれば、「最も憎たらしい天敵」であると。

東京の昨年の順位は年間6位。失点数こそ川崎に続いてリーグ2位の34失点と硬い守備を誇ったものの、頼みの得点がリーグでも下から4番目の39得点。名古屋が52点獲っていたことを考えれば、なるほど東京の特徴がデータからもお分かりいただけるかと思います(俺たちの失点数?しらねーよ)。つまり洗練された守備組織に対して、攻撃の仕込みが物足りない、それは前述の通りです。

ただ、そんな東京に圧倒的な違いを生みだせる救世主が現れたんですよみなさん。

遠く愛知から叫びたい、「君はやはり日本のメッシだ」と

そう、久保建英です。

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はっきり言ってとんでもねーです。エグいです。モノが違います。宇佐美貴史といい、長谷川健太のひきの良さにドン引きしてます。

ぼくは正直、彼をナメてました。いや、というのも今となっては風間監督同様、ぼくも名古屋こそ至高、名古屋にしか俺は興味がない路線を貫き、暇さえあれば名古屋の同じ試合ばかり観てたので、彼のことそこまで追ってなかったのですよ。J3には出ていたけど、トップになかなか絡めずまさかのマリノス行き。話題にはなったものの、大きなインパクトを残したかといえばそうでもない。それが率直な印象でした。

いやいや、あれとんでもねーよ。観てない間に何があったんでしょうか。

いや戸田さんわかります。彼は日本の未来だ。17歳ですか、川崎サポさんには申し訳ない言及になるけれど、開幕戦、代表クラスの車屋が子ども扱いだったもんね。ボールは奪えない、取りに行けば抜かれる、もしくはファールになる。当然ドリブルだけではなく、良質なパスもでてくると。

今はそれほどでもないですが、以前はグランパスと並行して結構なバルサオタやってまして、当時まだカンテラ(ユース)にいたメッシの動画を見たり、トップチームデビューしてからはデビュー戦から何年も毎試合欠かさず観てましたが、なんというか出始めの頃のメッシを思い出します。そりゃリーグも違いますからレベルが彼と比較してどうかなんて野暮な話はしませんが、そこから受けるインパクトが非常に近い。これまで日本にも数々の名選手がいたわけですが、左利きであれほどまでに細かいタッチ、絶妙なボールの置き所、全く減速しないドリブルを駆使した選手がいただろうかと。年齢関係ないです。海外に引き抜かれるのも、代表まで登りつめるのも、もはや時間の問題でしょう。

しいていえば、東京のスタイルでどこまで彼の特徴が活きているかという点でしょうか。なんですかね、メッシはメッシでも、アルゼンチン代表にいるメッシというか。前述した通り、東京の攻撃はわりと前線の選手のクオリティに依存している部分があって、独力での突破を求められるケースも多いので、狭いエリアでのコンビネーションであるとか、いわゆるバルサ的なメッシとはいかないのが難しいところ。あとは「守→攻」の展開が速いチームなので、どうしても中盤で消えてしまうこともある。決してこれは東京が悪いという話ではなく、そういうスタイルの中に彼が身を置いているという話ですね。まあとにかくエグいです。

そして今回、対面の相手となるのが、

 

 

でたーーーー。豊ちゃんでたーーーー。

ということで、このマッチアップ、この試合の注目ポイントです。「国内のサイドバックでは代表に最も近い男(大森談)」吉田豊は、日本最高峰のポテンシャルの塊、久保建英を止められるか。

さて、長々書いてまいりました。そうだ、マルやヨネ、アーリアは古巣戦。移籍したのに買ってしまった都内の一戸建て、ヨネは試合後泊まるのか。興味は尽きません。

最後にアーリア。シュートを、打て。以上です。

【反省会します集合】第一回その二vsガンバ大阪

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ぎりぎりでしたけどね。

さて、先日初の試みとして、「プレビュー」を書いた。ありがたいことに多くの反響をいただき、特に「毎試合やれやこら(意訳)」「まじプレッシャーかけるぞおい(意訳)」「やろうと思えばやれるっしょ(にっこり)」などなど、借金どころか無料提供だばかやろうってわけですが、見事に取立てにあった気持ちで本当にありがとうございます。

「いやーこういうもの求めてたんですよ」「相手の試合まで観てる時間ないから助かる」

通りざまに「お前は暇だな」って全力で殴られた気分で最高です。

案の定、吹田行ってきたらテンションが上がってしまいまして、

「これ、プレビューやるだけやって反省会しないのはヤリ逃げじゃないか(深い意味なし)」

と思い始めてしまった。愚かだ。いや、「今日は最高の夜にするぜ」とかかましといて、結果最悪の夜でも俺は知らねー煙草ふかしちゃうぜってこれ最悪の男。そう思うと、己の言葉に責任を持つのはやはり義務ではないか。本当に多忙でそれどころではないのですが、現地観戦して湧き立ってしまった気持ちには私嘘つけません。なので今回はちょっとだけ語らせてほしい。

名古屋の右vsガンバの左はどこいったんだという取立てに関する弁明

いやー、名古屋の左サイドは最高でしたね(がんがんすっとぼける)。

特に前半はぱっと見た際に、お互い見事なまでに逆サイドがキーポイントになっていたこともあり、たこ焼き食べてたらきっとこぼしたでしょう。ただ真面目なことを言えば、いくつか理由はあった。

一.ジョアン、思ったより自由や

これは先日のセレッソ戦後、相手方の優秀なサポーターの方があげたブログ。ここにジョアンに対して、ロティーナがどんな対策を施したか詳細に書いてあるのでご興味があれば読んでほしい。

簡潔に言ってしまうと、右利きで箸を持つ貴方の右側からプレッシャーかけられたらどうですか?って話。左側からならそれでもがむしゃらに飯を平らげるでしょう。ただ右側から妻が迫ってきたらどうでしょう。流石に不自由ではないですか。右でも左でも不自由な思いをしている貴方、それは別の話ですがわかります。つまりセレッソはそれを左利きのジョアンに対して行ったという話。で、今回のガンバはどうだったか。

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正直、かなり自由にやらせていた印象をもちました。よってジョアンからすると、ボールを散らすことに関して支障がなかったということが一つ。後半はアデミウソンが気にしてるそぶりはありましたが。

それにしてもジョアンは優雅。私は彼をマエストロと呼びたい。最終ラインからボールをつなぐ際は、ガンバが前二人をマルと中谷しんちゃんにぶつけてましたから、場面場面で彼ら二人の配置をみて、その隣に降りてくる。つまりスリーバックの形。マルとしんちゃんの間に落ちたり、その両脇に落ちたり。で、必ず菱形を作ります。その頂点にはヨネが移動すると。ボールを前進する上で、これは間違いなくチームとして約束事にしてます。逆に相手陣地に入った時のジョアンは、必ず味方のボールホルダーより後ろ側に立つ。平行な位置か、斜め後ろの位置に立って、常に彼が逃げ場になって右に左に展開する。対してヨネはまさにダイナモ。ボールがある局面に顔を出しては、ボールを前に前に前進させる。まあとにかく二人ともタイプは違うけれど、よく走って顔を出しますよ。ここだけはそっくりです。

二.名古屋の両サイドのキャラクター

あと話を戻すと、選手個々の特性。予想通りシャビエルを右に配置したわけですが、彼に求められているのは当然縦への突破やカットインではなく、どちらかといえばフリーマン。後ろは守備が得意な宮原。対して左サイド。和泉、そして¨イノシシ¨吉田豊。どちらも縦にぐいぐい行くと。そこから生まれたのが開始30秒「高速恩返し弾」と皮肉られた赤﨑のゴール。

いいですね。何がいいって、喜ぶ吉田のもとに歓喜の輪ができるのかと思いきや、直前で方向転換されて全力で無視されてるのがいい。しかもそれに気づいていない宮原だけが吉田を労ってるのがアツイ(和也ァァあああ!!!)。これはですね、スカパーで放送してる「平畠会議」で、森岡隆三がさすが元代表戦士らしい解説をしていました。「何回こいつら相手の背中とるのか」と。これだけ後手を踏むと、守る側の習性として、自然とボールホルダーに寄ってしまう、だから最後、赤﨑の場所にガンバのボランチが誰もいなくなってしまったと。素晴らしい。もうこんなブログいらねーだろっていう解説。

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いや、意外と目立たないんですが、是非パスをした後の選手の動きに今後注目してほしい。例えば和泉。この試合、何回対面のオジェソクのマーク外してましたかと。もう振り回しまくりよ。あれは日々、練習の積み重ねが生んだ賜物。出したら動く。動くだけでなく、対面のマーカーを外しながら動く。名古屋の選手達は、結構瞬間瞬間でフリーの状態が多い。あれだけ和泉とバチバチやりつつ上下動もしてるオジェソクの対面に、途中から相馬ぶっこむ風間采配は鬼。ちなみにイノシシに最後パス出してるのは、前述した説明通りのヨネ。

ここまでが名古屋の攻撃が左に片寄った理由の一つ。では対するガンバがどうだったか。

三.思ったより名古屋を研究してたはずのツネ様

明らかに名古屋を分析していたと思います。狙いは「名古屋のセンターバックサイドバックの間」。しかも使い分けてましたね。カウンターの際は、宮原が高い位置を取ることで空けてしまっている名古屋の右サイドのスペース。これはファンウィジョが狙う。グループとして攻撃する際は、徹底的に名古屋の左サイド、マルと吉田の間を狙う。この二つの狙いは顕著でした。おそらく理由は二つあると思っていて、

  • 名古屋がビルドアップする際、シャビエルは内(中)に絞る。大外の高い位置で幅を取るのは宮原。よって、カウンターを狙うなら宮原の裏側(中谷の右側)
  • 名古屋の守備は、守る際に各ラインの横幅を極端には圧縮しない。つまり各選手の距離感が広く、尚且つマークの受け渡しも整備されていない為、それによって生まれるサイドバックセンターバックのギャップを突く

この二つ。その結果、名古屋の最終ラインのギャップを見事に使われてしまったのが、ガンバ一点目のシーン。もー正直な感想いいですか。このシーンのように低い位置でブロックを構えた際の練習、ほとんどしてねーなと。和泉が前に奪いに行く、大外にいるオジェソクには吉田がつく。では小野瀬は?ここが整備されていない。吉田が外を捨てて中に移動するのか、マルや中谷しんちゃんが吉田がいる左サイド側にスライドして、小野瀬がいたこの隙間を埋めるのか。これ構造的な欠陥ではないかと。

ちなみに前半、ガンバが得意とする左サイドの攻撃ではなく、あえて右サイドに執着した理由の一つとして、名古屋の右サイドにいたシャビエルの存在があったように思う。

四、守らないシャビエルと攻めにでたい藤春の心理戦

彼と藤春の駆け引き、これが面白かった。これまた平畠会議で安永聡太郎が言及してましたが、シャビエルがあえて戻らないのですよ。和泉に比べて、帰ってこない。ただこれがね、藤春からするとかなり嫌だったのではないかと思う。皆さんどうですか。例えば少しだけ空いた時間に喫茶店に入ったとする。コーヒーも飲み終わって、さあ電車の時間もあるし帰ろうかというとき、ちょうど前の席に物凄くタイプの異性が座ったらどうですか。そのまま律儀に帰ります?悩んで悩んで、特急乗り過ごして急行に妥協しませんか皆さん。そう、藤春からすると、前に行きたいけど、シャビエルが気になって放っておけなかった。これは間違いなくあったでしょう。チームとしても、それを承知でまず右から攻めることを選んだと。それを決定づけたのが前半26分、中央でボールを持った赤﨑からのカウンター。右で高い位置に残っていたシャビエルに渡ってからのあのポスト直撃弾。あれは相手ビビらせるにはこれ以上ないインパクトだった。

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ただ、後半に入ってから、これはおそらくツネ様から指示があったんだろうけれど、ガンバは当初予想していた左サイドからの攻撃が増えましたよね。追う展開で、得意な左から行こうと。シャビエルにビビるな、がんがん行け藤春みたいな。たしかに考えてみれば名古屋の右サイドの守備は宮原にかかってますから。後半は明らかに遠藤の位置も左側に寄りました。そういうハイリスクな駆け引きが名古屋の右サイド、ガンバの左サイドでは行われていたと。

ちなみに後半のシャビエルに目を向けると、スタートポジションこそ右サイドでしたが、ボール保持の際はほぼ中央、ないしは左サイド。右の幅取りは宮原一人に委ねていたため、その裏のスペースをアデミウソンに走られまず失点。しかしその後シャビエルが何故か左サイドで起点になり相馬をお膳立てと、これぞ殴り合い精神だったと考えます。普通は代わりに誰か右サイドいきますからね。それにしてもあのパスは二年前の福岡戦思い出した。何の魔法だと。凄すぎ。

それにしても強気すぎないかその守備は

次にこれ。すごいですよ、とにかく選手たちの自信が。何というんでしょう、決して緻密な印象はないんです。物凄く機械的な、自動化された印象はない。ないのだけれど、とにかく「くるなら来いや。俺のゾーンで狩りとってやるわ」感がすごい。全員が全員、

「守りながら攻めてる」

この印象を強く受けます。この言葉が個人的にはしっくりくる。相手の陣形が名古屋と同じ4-4-2で、選手たちからするとミラーのようになっていたこともあり、各々がターゲットを絞りやすかったのも間違いなくあるでしょう。つまり各ポジション、目の前に必ず標的になる相手の選手がいたので。ただそれにしては相手に捉われない、守っている側は名古屋なのに、なんだか主導権を握っているのも名古屋であるような、それくらい強気な守り方をしている印象が強かった。多分それはピッチ上の選手たちから迷いを感じないからそう思うのでしょう。最終ラインも同様で、ライン設定がとにかく強気。前述の通りファンウィジョが裏のスペース目掛けてがんがん走ってましたが、もうそれはオフサイドにかけるか、全力で追っかけると。その役目を仰せつかった中谷しんちゃんがオウンゴールとペナルティ献上したわけですから、それだけハイリスクなことをやっていると受け止めるべきで。

特に最終ラインの面々は、一人が受け持つ横幅(当然縦幅も)がかなり広い。

この試合の中谷は、隣の宮原が空けたスペースと二人分見ているようなものでした。それでもこのチーム、「最初の一人目が奪いに行ったら、芋づる式に全員が前から潰しに行くスタイル」だけは腹括ってるように見えます。それはもはやチームのスタイルで、またそれが出来る選手達、つまり「前から潰すのが得意な選手」を揃えたから出来ること。肝はオフェンシブハーフの二人、和泉とシャビエル。この二人がひよって自身の背後を駆け上がる相手選手に合わせてしまったらこのやり方、機能しない。もうお構いなしです。言ってしまえば「背中で牽制してる」。つまり、彼らは自分が立つ場所だけで、相手のボールホルダーに「ボール出させねーぞ」と圧力をかけてる。

なんだろう、ハイリスクを受け入れる自信のある連中なんですよ、今の11人って。全員が全員ね。観てるとおっかなびっくりなのだけれど、同時にそれがとてもたくましく思える。

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なのでガンバはビルドアップにかなり苦労しました。「じり....じり....」と少しずつ前に前に圧力をかける名古屋のブロックにまあ手を焼いた。名古屋のベクトルが全員が全員ガンバのゴールに向いているので、ボールを奪えればそのままの勢いでガンバゴールに向かえてしまうと。これボール保持している時もそうですが、どの選手観てもびびってない。相手に圧力受けても苦に思っていない。そういう自信家の集まり。この二年、風間監督がずっといい続けてきた「自信が大切である」「自信とは技術だ」「相手に合わせるな」を地でいってるのが今のスタメンの連中だと考えていただきたい。攻守ともにですよ。非常にハイレベルな集団になりつつあると、それはおそらくレギュラーを虎視眈々と狙うサブ組の連中が一番自覚してる部分だと思う。

ただ偉そうですが課題はあります。これだけ前から圧力かけるわけで、そこで一つ外されると、名古屋の最終ラインは見事なまでに相手に晒されます。そこからはマルを中心とした最終ラインの上げ下げと、相手の裏を狙う動きの勝負にかかってると。それでやられたシーン、ありますね。48分、小野瀬に巧みにプレスを外されて、代わりにサイドにポジションを取っていたヤットがドフリーで前を向き、ファンウィジョにピンポイントで落としたあのシーン。もっといえば、鳥栖戦でもフェルナンドトーレスに独走されてポスト直撃したシーンもそう。あれだけ高いライン設定なので、一つ外されると相手のボールホルダーはフリーで最前線の選手とタイミング合わせられますから、あれ状況的には即死に近い。こういった「外すビルドアップ」を計画的にやれる、例えばマリノスヴィッセルと相見えたときにどうなるか。そこは課題です。

最後に語らせて吉田豊をおれに

もうぎんぎんですね。キレッキレです。

今回の赤﨑のゴールといい、吉田の「エグり」がえぐい。

これ、名古屋のサッカーにおけるサイドバックの役割が、例えばサイドを駆け上がって、中で構えるフォワード陣に良質なクロスを上げろって話だと多分ハマらない。つまりある程度「セットした状態」で蹴れと。それは彼、得意ではないでしょう。

彼がこれだけハマったのは、ひとえに名古屋のサッカーにおけるサイドバック像が「崩しのラストピース」だったから。つまり複数人でパス交換しながら、ここぞのタイミングで大外なり一つ内側のレーンを駆け上がってサイドを切り裂く最後の役目になれる。よって相手を崩し切った状態で最後中の選手に「ラストパス」する感覚なんですよね。センタリングというより、最後のお膳立てをするだけ。

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(いやクロちゃんじゃねーよ。鳥栖時代の写真しかなかったぞ)その意味で彼の持ってるスピードはもう圧倒的で。あれは名鉄でいう快速特急です。普通とか急行じゃないよ。「ぬぁぁぁイノシシキタァァあああ!!!!」って。崩しのラストピースという意味でいえば、金井との比較が面白い。彼は「最後のフィニッシャーの位置に自分を置くタイプ」。対してクロちゃんいや吉田は、「最後のラストパスを届ける位置に自分を置くタイプ」。これが大きな違い。風貌も何もかも似ても似つかないけど、最後の役割だけでいえば、バルサのジョルディアルバっぽい。

じゃあ金井でも面白いじゃん!となるわけだけど、今年の最終ラインの強気なハイライン、そして前に前に圧力かけて「自分の網で狩り取ったるわ」精神、この一人一人の守備範囲が広い仕様を見ると、そこが吉田は他の追随を許さない。つまり「絶対的なスピード」「圧倒的な対人能力」が攻守において、特にサイドバックには最も求められる素質であると。吉田はびびらないから、案外ボールもしっかり捌けます。宮原ばりに絶対的存在になり得るのではないでしょうか。

ということで、今回の反省会終了!(長いですかそうですよね)

次回は「3月30日コンサドーレ札幌戦」ということで。さらばだ。

【居酒屋トークで語りたい】第一回 vsガンバ大阪

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早速ですが、最近、こんなツイートをした。

まず言っておくと、病んでいません。このブログを始める前に、今回のブログ内容に至った経緯を少しばかり語りたい(ガンバの話は皆無なので、長ければ青字を華麗に飛ばしていけ)。

最近は各チーム、試合後のレビュー記事が沢山あがるようになり、私自身ちょっとお腹いっぱいなところがあった。こんなにテーブルに料理並べられても、これは消化しきれんぞと。

レビューって実は難しい。そもそも見てる題材(試合)が皆同じ、またそれを伝える手法も(例えば作図一つとっても)基本的には似通る。おそらく多くの人にとって、それはどれも同じように見えているのではないでしょうか。自分が書いたものも、もれなくその対象でしょう。レビューブームのこの流れも、他の世の中のあらゆる出来事と同じで、やる人間が増えれば、不思議とある程度は類似してくる。正直、私も好きな書き手さんのものしか読みません。次のフェーズって結局は「誰が書いているか」、そりゃこうなる。

最近はそんな想いもあって、自然と「レビューとは別に、よりざっくばらんに楽しめるコンテンツは書けないものだろうか」と考えるようになった。「あの手の似たような内容は読むの疲れたわ」、そんな抵抗感も少なからずあるだろうと。で、唐突ですがこれです。

「おれは居酒屋トークがしたい」

続けます。試合後の振り返りだけではなく、次の相手、名古屋の前に立ちはだかるチームはどんなもんじゃいとあれこれ話すのも面白くないですか。つまり「プレビュー」。

これ、プレビューとレビューはどちらか一方では成立しない。成立しないのだけれど、案外試合が終わると、次の試合に目がいくサポーターも多いのではないかとも思っていて。正直、終わった試合なんぞ振り返らないし、図なんて見てるだけで頭痛いぜって人、いるでしょう。私たちが勝手に好きでやってる労力ってそれはもう大変なものなのですが、とはいえそう考えるサポーターも間違いなく存在するはず。いや、もしかするとその間口の方が広いかもしれない。で、そこのニーズと、最近なんとなく考えていたことがマッチしている気がしたので、今回は次節対戦する相手を私がどう見たか(お前かよとがっかりしないで)、それを言葉にしたい。結果として、これを読んでくださった方の週末がより良いものとなるように。これがなによりの目的。

おそらく自チームのことは、毎試合追いかけてるサポーターなら皆が皆ある程度同じレベルの情報は持っている。だったらいっそ相手に軸足置いてやろう。プレビューって、意外と読み流していませんか?それは例えばプレビューで書かれている内容にそもそも興味がないのかもしれないし(どうせすぐ試合見れるんだからいいだろと)、熱心な方は食べる前より食べた後の感想を話している方が面白いからかもしれない(よってレビューが流行ってる)。

ただ一方でこうも思うのです。これから何を食べに行くのか、それすら知らないのは、実はものすごく損しているのではないかと(意味がわからなかったらすいません)。つまり何がでてくるか分からないディナーより、せめてこれから何を食べに行くのか理解していた方が楽しみになりませんかと。「明日夜、外食するぞ」と、「明日夜、焼肉行くかっ!」、これどちらの方が楽しみですか?事前に知る必要がないのは味です。食べ終わった後の感動まで知っておく必要はありません。この例えクドイですかそうですよね。

プレビューとしての完成度は、例えば名古屋だとグラぽページの方がはるかに丁寧そして読みやすいので、そちらもぜひご参考にしていただきつつ、こちらは少し異なるアプローチをとりたい。「試合前に居酒屋でべっちゃくってる感じ」でラフに、緩く。

ガンバ大阪です(いきなりいきます)。

開幕戦、そして第二節を観た。感想を一言、「名古屋の遠い親戚やな」。

私の印象としては、ツネ様は原点回帰したいんだなと。彼らの場合、それは黄金時代への回帰となる。しっかりとボールを握って、主導権をもったまま、攻めて、攻めて、攻めるスタイル。それだけ聞くと「なんだツネ様はヤッヒーの義理の兄弟か」と思いそうだが違う。細かいディテールは異なるのです。それは例えば名古屋でいう「止める、蹴る」の合言葉であったり、守備は個人な!よろしく頼むみたいなチームの土台となる考え方。ここは違う。ただし、ボールを大切にしようぜ、俺たちのベースはあくまで攻撃だぜ、ここの部分はお互い共通している。

さて、ざっと一つずつポイントをあげていきたい。

一.「とりあえずビルドアップ(繋ぎの段階)でミスると詰むから」

これで清水はある意味、自滅した。 繋ぎでガンバの網に引っかかると、そこからのショートカウンターはべらぼーに速い。誰が速いって、あの韓国人(ファンウィジョ)が速い。

味方がボールを奪ったと察知した瞬間の切り替えは、もう断トツで彼が速い。相手の最終ラインの裏側に一気に加速、当然味方もそれは折り込み済み。というか、ガンバは前線が基本速い。彼以外にも、小野瀬や倉田。チームとして、ショートカウンターはかなり意識している印象を受けた。明らかにギアが上がる。そこの前線の選手たちの個性、カラーは名古屋と異なる。故に、得意とする攻撃に違いがあるのが面白い。名古屋は決して「裏に速い」わけではないので。

名古屋の特徴である「丁寧に繋ぐ」「浅い最終ライン」、どうですかこれとの相性の悪さ。例えばこの試合に千葉使ったりすると分が悪いはず。

とにかく先制点を許さないこと。リードされて前半を折り返すなんて展開は相手の思うツボ。なぜなら彼らにそのアドバンテージを与えると、明らかにこのショートカウンターが最大の武器となるから。チームとしても、その戦い方に移行する。清水戦のスコア自体は2-4とガンバの大勝だが、実際は点差ほどの差があったとは思わない。清水としたら、追いかける展開で前がかりになった時間帯にミスが多すぎた。

二.名古屋と中盤の構成も崩しのイメージも似てんな!

役割分担が似ている。攻撃の絶対的司令塔である遠藤は、もちろん名古屋でいうジョアンであり、守備全般の尻拭い頼むという意味で、今野は米本に近い存在。前に強いか後ろに強いかの違いはあるにせよ、コンビを組むお互いの攻守の比重はかなり近い。

先ほどショートカウンターを取り上げたが、一方で通常の攻撃はどうかといえば、左サイドからの崩しがメイン。これは露骨です。とにかく左サイドで数的優位を作って、ダイレクトないしは数タッチでのパス交換から切り崩しにかかる。

どうですかエグいでしょう。名古屋だと、2017シーズンの後半戦にこういう崩しが多かった。ガンバはかなり人をこのサイドに集めます。アデミウソン、倉田、遠藤、藤春、驚くことに今野もくる。つまり4〜5人が左サイドに集結して、(多分)人数点呼してから止める蹴るで切り崩しにかかる。

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それにしても倉田は賢い選手。名古屋に一人引き抜けるなら(私は)彼を選ぶ。技術、戦術眼、走力、ユーティリティ性。三拍子どころか四拍子揃う優秀なオフェンシブハーフ。対して右の小野瀬は最終的な局面で、ゴールに直結する形で絡んでくる。彼はポジショニングが秀逸。いつも敵が嫌がる場所、それは例えばライン間や相手のボランチ脇、そこに立つことを意識している。シュートの技術も素晴らしい。そもそもJ2を主戦場として慣らしてきた選手が、ガンバの中盤で普通にやれてるのが凄い。

ガンバはこの二人のオフェンシブハーフが優秀。名古屋とはシステムも同じ、このポジションの基本的な役割も同じ。場所に縛られず、自由に動く。基本は中に絞るし、持ち場と逆サイドに平然と加勢もする。そのあたり、チームとしての流動性を担保してるのがこの二人。対して名古屋、実はこのポジションだけなかなか選手が固定されていない。それだけチームにとって重要なポジション、役目である裏返し。そして非常に難しいポジションともいえる。ガンバに関していえば、先ほど書いた通り二人の個性やチームの攻め方が明確なため、若干左右の役割が非対称ともいえる。右の小野瀬の方がよりフィニッシャーに近い。必ずゴール前に飛び込んでくるので、イノシシ(吉田)頼んだ。

とまあガンバといえば、やはり昔から中盤のカルテットが大きな魅力だったわけで、その点は今も同じ。おそらく、ツネ様はそこを非常に大切にしている。

三.ただ試合の主導権を握られるとわりと脆いかもしれん

そうは言ってもやはり高齢化は気になるところ。主導権を握れば強いが、握られると脆い。その代表的な試合となってしまったのが横浜戦。名古屋と同様、最終ラインの4人と中盤の4人がブロックを組む形だが、その4と4の隙間という隙間を横浜に好きなように使われたのが開幕戦。誰が誰見るんだ問題があらゆる場面で頻出し、はっきり言ってテンパっていたと思う。昨年、豊スタで横浜とやったときの前半の名古屋と一緒。横浜、嫌いですね分かります。「走る」のではなく「走らされる」と、遠藤の魅力も当然半減する(むしろここが狙い目となる)。よって前と後ろで間延びするケースも多々見受けられる。名古屋と一緒です一緒(だから米本なり今野は価値があるという話)。

四.ファンウィジョのシュートが枠に飛びすぎる

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あれは理屈じゃない。どの位置から、どんな態勢でも、打てると思えば狙ってくる(どうです写真のこの躍動感)。で、それがことごとく枠に飛んでくる不思議。あの意地でも枠に飛ばしてくる現象は名前をつけるべき。彼はまさに韓国人らしいゴールゲッター。なんでも打ってくるから楽、いやいや、どこからでも狙える自信が怖いんだ。

彼の背後やサイドに開いて起点となるアデミウソンとのコンビも良好。むしろアデミウソンの方が、かなりファンウィジョに気を遣いながらプレーしている印象すらある。「柔」のアデミウソンと、「剛」のファンウィジョ。昨年の吹田での開幕戦だけで判断するなかれ。あのときは4-5-1のサイド。今は誰よりもゴールに近い位置。守備のタスクもかなり軽い。「お前はとにかく『ど真ん中』『最前線』でゴールを奪うために存在しろ」、それが彼に課せられた唯一にして最大のタスク。クロスにも必ずニアに飛び込んでくるから絶対目を離さないで。

五.最終ラインは道半ば

三浦と、新加入の韓国代表キムヨングォンのコンビはまだまだといったところ。ラインが揃わず、そのギャップを使われるシーンも度々見受けられるため(お互いプレーの後に「上手くいかねえなあ...」って顔してる)、ここはジョーに分があると予想。

また左サイドの藤春。彼のサイドの裏側は相手にとっては使いたいポイント。横浜戦は、相手のインサイドの選手がここ目掛けてがんがん裏抜けしてました。清水も明らかに藤春のサイドからガンバを攻略しようという意図があった。あと、逆サイドからクロスが上がった際のマーキングが怪しい。中に絞りすぎて、大外の選手が全く見えていないシーンが散見される。これは藤春だけの問題ではなく、相手がペナルティエリアに大勢で侵入してくると、枚数が足りなくて大外がドフリーみたいなパターンでチームとしての問題でもある。これまた名古屋と同じ。お互い苦労が絶えんな。

「中のマーキングが怪しい」「サイドの守備に不安を抱える」の二点セットで、王道はやはり左右に揺さぶって外からのクロス。ただ残念だ、多分名古屋はこれ分かっててもやらない、やれないの二点セットなのです。

【結論】名古屋の右サイド、ガンバの左サイドの攻防が鍵

結論として、私の注目ポイントはここです。

攻撃でいえばこのサイドがガンバ攻略の糸口であること、守備でいえばガンバの左からの攻撃が強烈なので、ここをどう止めるか。この試合は、どちらのチームが相手のボールを取り上げることに成功するか、つまるところこれだけである。お互いボールがなきゃ困るチームなので。そしてもう一つ、何点入るかはともかく一つだけ断言できます。間違いなくスリリングな、エンタメ性抜群の試合になるでしょう。

で、問題は名古屋が右のオフェンシブハーフに誰を使うか。普通に考えればシャビエルがここに入って、大阪の皆さん復活しましたよと赤﨑をジョーと組ませるはず。

個人的には先発予想はしていないが、例えば相馬もセレッソ戦よりは、ガンバ相手の方がスペースがある分、やり易いでしょう。やり易いが、藤春と同じ土俵に立って走りあいするメリットがどうかというところ。もちろん守備だけ考えれば彼の方がシャビエルより計算出来る。清水は最終ライン5人、中盤に3枚のフィルターを置いて、それでもなおガンバの左サイドで数的優位作られてやられましたからね。名古屋の最終ライン4枚、中盤4枚(いや実質2枚)のブロックでどう守るんですか大丈夫!ボールを持っていれば攻められません!

ただ、風間監督は相手に合わせた采配はしないので、まあきっとシャビエルだそうに違いない。全ては「ボール保持」を前提に作られたチームであると、私たちはルヴァンで学んだばかりです。

ということで、参考になったかは分かりませんが、これを読んで少しでも週末の試合が楽しみになってもらえればありがたい。ただ先に書いておくと、次回以降の予定は当然未定だ。

なんせわたしは理想の旦那、理想のパパなので。

2019シーズン¨始動¨

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「タイに行く前に、練習一回観ときたいよなあ」

週末の居酒屋で遠回しに誘惑する友人。「新体制発表会行ったばかりで流石に無理」、妻の顔を思い浮かべて断る私。ただ奇跡は起きるもので、妻の友人が小林裕紀ばりの絶妙なタイミング、サポート体制で自宅を訪れてくれたことで、私は伊野波(仮)のマークを剥がし、トヨスポに行くことが可能となった。当日に決まろうが、そこからは秒よ秒。

まずはこの時期のトヨスポについて語りたい。

〇今年も集まった「上手くなりたい者たち」

新鮮な空気。同時に去来する久しぶりの感覚。ピッチは高級な絨毯のように美しい。今年も遂に始まるのだと、そんな新たな気持ちになる。だから年間を通してみても、この時期のトヨスポがとても好きだ。

今年の名古屋も新顔が多い。逆に「名古屋の顔」といえる選手達の姿はもうそこにはない。例えば常にランニングの先頭を走っていた佐藤寿人や、若手に喝を入れる玉田圭司、その存在だけで名古屋の象徴といえた楢崎正剛。それだけの選手達が、同時に名古屋の練習場から姿を消した。残されたグラウンドが、昨年のそれと違うのは当然のこと。選手達もどこかたどたどしさが残るし、サポーターもこの時期は見慣れない風景にどこか緊張する。

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それにしても、毎年よくこれだけの選手達が集まるものだと感心する。降格した際、あれほど一気に膿が出て大半の主力が去ったにも関わらず、三年目にしてこの戦力を擁している。そればかりは風間八宏の存在なくしては語れない。常に賛否両論つきまとう人物だが、そもそも彼でなければ、たった二年間でここまで立て直すことはおそらく不可能だった。それは特に「人材」という面において。だが彼を評価する際に、この点に関する言及はほとんど見たことがない。現在名古屋に所属する多くの選手にとって、彼の存在なくして語ることは難しいにも関わらず。新体制発表会で、大森スポーツダイレクターは、「2017年最大の補強は風間監督だった」と評している。私も同意見だ。彼でなければ、そもそもこれだけの選手達は集まらなかった。なにせ降格したときの評判は最悪、昨季はプレーオフの影響で補強に出遅れ、中断期間まで断トツでビリケツ。そんな降格待ったなしのクラブに誰が行きたいと思うものか。そう考えると二年前の降格時、J1残留を果たしたチームでキャプテンまで務めていた小林裕紀は、なぜ名古屋を選んだのだろうか。つくづく分からないが、やはり彼はいつも絶妙なタイミングなのだと、今更ながら思うのである。

〇始まった新シーズン

練習が始まると、まず決まって柳下コーチによるアップが始まる。敏捷性を上げるものから、体幹にまつわるものまで。当然、二部練の際は午前にフィジカルトレーニングが待っている。過去二年間と比較すると、昨夏に柳下コーチが加わった影響は大きい。トレーニングの強度、種類。そして見本をみせる柳下コーチのキレの凄み。只者ではない。今年はシーズン前から彼が選手たちを指導しているわけで、そのアドバンテージは大きいはず。

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今年の新キャプテンといえば丸山祐市だが、ピッチ上は彼が指示をだす声が鳴り響く。佐藤寿人は明るく声を出してチームを牽引していた。逆に彼はより実戦の場においてその存在感が際立つ。その場にいるだけで練習が引き締まる。その点、彼のスタイルは風間監督のそれに近いものがあるようだ。

シャビエルに負けず劣らずのスキルを発揮しているのがマテウス。ピッチ内では「マテ」と呼ばれているらしい。その実力は大宮時代に既に証明済み。ゴールシーンにもあるように、右からカットインして逆サイドに巻くシュートは絶品。というか、エグい。このパターンは前田も得意としているものだが、いやはや、マテウスはエグい。シュートモーションに一切無駄がない。個で打開し、決めきる能力はシャビエルをも凌ぐ。もちろんそもそものタイプが異なる為、もう一つ、攻撃に新たな武器が加わったと言えるだろう。

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練習見学したサポーターからの評判が良い大卒ルーキー、榎本大輝はどうだろうか。とにかく仕掛けている。向こう見ず、突貫小僧。いけると思えば、ぶち抜くことしか考えていない。ただそれが面白い。観客に期待させるあのオーラは、どことなく杉本竜士のそれを彷彿とさせる。そう、ドリブラーはやはり花形だ。華麗なパス回しに観衆は息を飲むが、目の前の相手をぶち抜くドリブルは観衆を熱狂させる。彼の場合スペースも必要ない、いわゆる「オルテガ系」。身長が低いため、相手からすると間合いも取りづらいからしれない。ただし、練習後に年長者たちから注文を受ける姿も見受けられたりと、過度の期待は禁物。「ボールを失わないこと」が得意なら、今後学びがあるとすれば、風間監督がもう一つのやってはいけないことと位置づける「そこにいないこと」。特にポジション柄、チームにとって最重要なファーストディフェンダーの役割を担う榎本は、この要領をつかんで初めてレギュラー争いだと考えた方が良いのだろう。ただし素材は超一級品。主に尖った素材という意味において。とんでもなく化けるか、使いづらい選手で終わるか。あれは本気で全員抜けると思ってるぞ。風間×榎本の結末やいかに。

さて、ここからが本題。個人的な、今年のグランパスの楽しみ方。

〇全く予測不可能な「チームの心臓部」

名古屋のトレーニングは、情報漏洩を危惧し撮影等NGなわけだが、この時期のトレーニングは個人のスキルを磨くためのものが殆どだ(正直、シーズン中も大きく変化はない)。特にボールを使ったトレーニングが中心で、その多くは「止める、蹴る、外す」を念頭に置いている。それ故、既存選手と、新加入選手の差が顕著な時期でもある。

例えば、小林裕紀やアーリア、和泉などは観ていても上手いし、速い。逆に新加入選手は、ボール回しでもそこで詰まることが多い。特に「速さ」。プレー一つに対する迷いのなさ。この差が大きい。技術を身体に染みつかせた者と、今まさに学ぼうとする者。

シャビエルのように、加入当初から何ら問題なく順応する選手もいれば、それが初めて出会ったサッカーであるかのように戸惑う選手もいる。例えば見ている限り、千葉の順応性は問題なく、自然に練習をこなす姿が目につく。ミニゲームにおいてもそれは同様で、まず焦りがない。ボールを要求出来る。貰い直す動きも当たり前のように身体が動く。では他の新加入組はどうか。その点、今年の注目は二人のボランチだ。一人は米本拓司。そして伊藤洋輝。

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米本は決して器用ではない。正直、今はどのメニューをこなすにも必至だろう。今年の新加入組で、最も変化が読めず、またこのチームにどう組み込まれるのか見当がつかない選手だ。名古屋にいるボランチの誰とも被らないプレースタイル。小林のように気の利いたパス交換や顔出しをして、リズムを作るタイプでもない。ネットのようにゲームを司る、攻撃の発信基地となるようなタイプでもなければ、アーリアのように攻撃の比重が高い選手でもない。

ただ「ボールをとれる」と判断した際の寄せ、強度、奪い取る技術。これは他の追随を許さない。伊藤のような大型の選手相手でも、当たり負けしないどころか吹き飛ばす。名古屋のボランチ陣にある意味で最も欠けていた要素を兼ね備える米本。狩れると判断した瞬間の迫力、あれは一見の価値あり。あとは実践の場においてそれをどう活かすか。チームとしての守り方、チームメイトの癖。それを理解したときに、彼の特徴をチームにどうアジャストするか。ここは注目だ。

「今までの止め方が全部否定されたよう」。誰よりも遅くまで残り、いわゆる「人の倍」黙々と対面パスを繰り返す姿。彼の言葉を借りれば、「この年齢でも上手くなれる」それを証明して欲しいと願わずにはいられない。彼のプレーを誰よりも理解し、おそらく心配もしている丸山が、彼の好プレーに嬉しそうな表情をしていると、なんだかこちらまで親のような気持ちで嬉しくなる。

逆に伊藤は若いこともあり、吸収力が高いと感じる。決して俊敏なタイプではなく、どちらかと言えば小林というよりネットに近い。彼もまた、ぎこちなさこそ残るものの、基礎技術の高さに加え、視野も広く、面白い素材だ。名古屋のサッカーへの順応性は、むしろ伊藤の方が高いかもしれない。イメージとしては、本田圭佑ボランチに入った感覚に近いと言えばいいだろうか。どっしりと構え、ただしその確かな戦術眼が際立つ。レンジの長いパスも正確で、プレーもシンプル。ネットよりも、より現代的なボランチともいえる。

〇「完璧」を求めず、その「余白」を楽しめ

migiright8.hatenablog.com

 前回のブログにも書いたが、今回の編成は決して完璧ではない。特にボランチは多種多様なタイプを揃えたものの、米本にしろ、伊藤にしろ、選手層という点においてどこまで突き上げることが出来るかが現状は読めない。それが見込めない場合、少なくともACL圏内への道のりは険しいものとなるだろう。ただ面白いのは、皆、個性が見事なまでにバラバラであるということ。だからこそ、風間監督がピースとしてどうはめ込むのか、全く分からないのが面白い。

前半戦のなによりの楽しみは、この「余白」。ここに期待をもって観察することである。完璧ではないからこそ、異なる楽しみが用意されていると捉えるべきではないだろうか。個人がどう変わるか、結果としてチームがどう変わるか。まさに主役は「個」であり、その点は今年も変わることはない。

どれだけ期待しても、結果として「勝敗」のバロメーターこそ全てだといえば、裏切られることもあるかもしれない。そしてそれも間違いではない。ただ同時にチームはあくまでも個人の集合体でもある。その個人は何かといえば、それはもちろん人間なわけで、つまるところチームは「生き物」だ。だからこそ長所があり、短所もある。そして成長を遂げる。

今回ブログを通して改めて伝えたかった本質、それは「今を知り、年間を通してその変化を楽しむこと」である。つまり勝敗に一喜一憂するだけではなく、今を生きるグランパスに目を向けること。そして選手たちの日々の成長を、試合を通して継続して見ていくこと。この楽しみは格別だし、そこへの期待はどれだけかけてもいいのである。

目の前のピッチで繰り広げられるサッカーは、決して完璧ではないかもしれない。戦術的にみて、拙い部分もあるだろう。

ただサッカーは、決してそれだけが答えではない。

チームやクラブに成長を感じる。動いている、生きている実感がある。それを我が事のように喜び、応援し、ともに生きることこそがサポーターの生きがいでもあるのだ。余白を楽しみ、未熟を楽しむ。私はそんな楽しみ方を、このブログをもって改めて提案したい。なぜなら勝敗は、あくまでその先にあるものなのだから。

終わりになるが、昨年末から正確な怪我の情報がなく、どの程度のリハビリを要するものか心配していた渡邉柊斗。リハビリのペースが予想以上に早い。おそらく後々は彼が小林裕紀の役割を求め、また熾烈なレギュラー争いに加わるのだろう。

そう、まだこのチームは未完成である。

未完成だからこそ面白く、進化を止めないからワクワクするのだ。

新体制発表会を終え、独断と偏見でチーム編成斬り

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「もうお腹いっぱいです」

これで空いてますと言う方が失礼です。まさに補強のフルコース。

劇的な残留を果たし、希望に満ち溢れた未来を予想をしていた私達を襲った「玉田圭司 契約満了」事件。そうあれはもう事件だった。そして、どこか心の準備はしていたものの、遂にきてしまった「佐藤寿人の移籍」、とどめは「楢崎正剛の引退」。

私たちの今オフは、考えうる中で散々なスタートだった。SNSも、荒れに荒れた。特に玉田圭司の契約満了が、大きな波紋を呼んだのは記憶に新しい。38歳にして、出場24試合3ゴール。堂々たる数字を残した名古屋のアイドルが、まさかこのタイミングで契約満了となるとは。現在の強化部の目利き、手腕を疑う者は少なかったはず。ただし、前年に田口泰士が移籍した際の後味の悪さを思い出す今回の事態に、多くのサポーターが悲しんだのもまた事実だ。

結局、玉田圭司Vファーレン長崎へ移籍。佐藤寿人ジェフユナイテッド千葉へ、そして我らが楢崎正剛は、24年間にも及ぶ選手生活に幕を閉じることとなった。

結果だけみれば、強化部としては、このタイミングが大きな分岐点であると考えたのだろう。J1への昇格、そしてJ1への定着を果たし、大きく舵を切るならこのタイミングなのだと。チームの再建を支えたベテランたちが去り、今年から遂にJ1の頂を目指す戦いが始まるということだ。

小西社長が掲げた目標は「ACL出場圏内」。今オフのテーマは「日本人選手の獲得」。そしてやってきた新体制発表会。今年のスローガンはこれ。

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「貫く」。

どれだけ貫くんだと突っ込みたいところだが、今年もどうぞ貫いてください(褒めています)。ではポジション別に、今年の編成をあーだこーだと語っていきたい。登録ポジションは気にすることなく、私の独断と偏見で進めていく。

ゴールキーパー

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インはなし。アウトが前述した楢崎正剛。よって登録は3名。昨年、楢崎正剛カップ戦含め、ベンチ入りする機会がなかったことを考えても、4人目の登録が必要かどうかは意見が分かれるところ。当然、レギュラーは昨年34試合に出場した"ミッチ"ランゲラック。ベンチの枠を、無駄に仲良しな武田洋平と渋谷飛翔が争う。

個人的に、今回の新体制発表会で最もグッときたシーンはこちら。

楢さんが背負い続けた「背番号1」。これを欠番扱いとしないことに意見があるのも重々承知。ただ、実力的にも、またこの背番号の重みを理解し、覚悟を持って受け取った様子を見るに、ミッチなら個人的には納得するし、ミッチだから納得できた。昨年名古屋の伝統だった「7番」がジョーに引き継がれ、今年、遂に「背番号1」がミッチに託された。

〇右サイドバック

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「誰を獲るよりまず宮原」。今オフ最大の難関だったミッションに成功。広島育ち、広島ユースアカデミー卒、おそらく出戻りが既定路線だった男を、遂に完全移籍で獲得した強化部優秀。昨年26試合出場。ただし怪我を負った第29節FC東京戦まで、契約上出場出来なかった広島戦を除けば、全26試合フル出場。彼が怪我を負って以降、代役がおらずシステム変更までする羽目になった過去を思えば、もはや名古屋に最も欠かせない男である。そして宮原の挨拶もまた、良かったんだ。

「やっと名古屋グランパスの一員になれた気がします(ただしいつもの口調です)」

素っ気なくてもいい、感無量です。

migiright8.hatenablog.com

そしてこのポジションを虎視眈々と狙うのが、名古屋のバンディエラ候補である菅原由勢。昨年、17歳10ヶ月でプロA契約を締結した期待のU-19日本代表。今年はアジア杯に臨む日本代表のトレーニングパートナーにも選ばれ、練習では酒井宏樹槙野智章佐々木翔と最終ラインを組むなど、今年への期待値は上がる一方。昨年は開幕戦からセンターバックとして大抜擢されるなど、ポジションも多彩。現在の名古屋において、どのポジションが適性となるか、今年も探っていくことになるだろう。現状のチーム編成を見る限り、最も可能性が高いのは、この右サイド。

〇左サイドバック

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強化部が追い続け、何度もアプローチし、その度にフラれ続けたサガン鳥栖吉田豊を遂に獲得。スピード良し、対人良し、なにより両サイド器用にこなせる本職サイドバックの獲得。強化部にとっては念願だっただろう。先程はあえて記載しなかったが、これで宮原不在時は、菅原だけでなく、吉田を右に回す選択肢も得たことになる。昨夏に金井が加入するまで本職は不在、和泉や櫛引が担当していたことを考えても、やっと本職の二人で競わせることが可能となった。

大森先生曰く「Jの左サイドバックの中で、最も日本代表に近い選手」。特徴はケツ。猪突猛進は真っ直ぐにしか行けないが、僕は右も左も行けますとのこと。分かった。

ライバルは、金井貢史。昨年は終盤、チームのシステムが3-4-3に変更し、彼も出場の機会を失ってしまったが、最も得意とする4バックなら、先発のチャンスも大いにあるだろう。昨年15試合出場4ゴール。超攻撃型というより「超神出鬼没型」サイドバック。脚は決して速いわけではなく、名古屋が敷く高いライン設定、求められる個の守備範囲で、むしろ守備の面で悪戦苦闘しているのが課題。往々にして相手に狙われていたのも、彼が担うこの左サイド。オフはハワイに行き、子供相手にトレーニングを積んできたと、期待は膨らむばかり。

センターバック

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絶対的なレギュラーは、丸山祐市ただ一人。昨夏加入した左利きのセンターバックは、まさに獅子奮迅の活躍で名古屋をJ1残留に導いた立役者。いまとなっては、彼のいない最終ラインはもはや考えられないほどの存在感。彼とコンビを組む最有力候補が、しんちゃんと浮気し隊はもう禁止の中谷進之介、そして新加入の千葉和彦

メンタル鬼強い。「赤はカープで見慣れている」とまずぶっこみ、会場のリアクションを待つことなく、「広島ならどっかんどっかんウケるんですけど」と矢継ぎ早に攻め立てる超攻撃型。そんな千葉の武器は圧倒的なビルドアップ能力。パス成功率90%を誇り、組み立て、パスの種類、質ともに申し分ない。チームが3バックを選択するなら、前述の三人で組む可能性は高く、4バックならチームが望む優先順位で組み替えられるだろう。ここに「不死鳥の男」今年も安定の顔デカイ櫛引一紀、そしてルーキーの藤井陽也を加え、2or3ポジションを、5人で争う構図。

とにかく最終ラインはガヤ感がハンパない。止められない動画の手ブレ(笑い過ぎ)。千葉を筆頭に、丸山、中谷、櫛引、金井、そして吉田豊風間八宏をもってして、今年の新加入組は「キャラが濃い」。

爽やかでアイドル感満載のアカデミー、大卒組と、

年数を経るとこうなるのか、溢れでるガヤ感が抑えきれない移籍組(主に千葉と吉田)。

今年の守備陣は、ひな壇なら全員適性2列目。宮原さんだけが救いです。試合後、守備陣が見せる「俺たち風間サッカーで守り切ったぜ!」の団結の輪、今から思いやられるのはサポーターも同じ。

ボランチ

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最も補強を必要としていたポジションである。昨夏に加入したネット、そしてゲームキャプテンである小林裕紀が不動のコンビだが、「チームの心臓部」と風間監督が言うだけあり、このポジションを務めるのは、おそらくこのチームで最も難易度が高い。結果的に彼らの代わりが乏しく、またネットが股関節の怪我を抱えていることもあり、実力者の補強がマストだった。

強化部が口説き落としたのが、デビューから10年間、FC東京一筋だった米本拓司。2010年、そして2011年に左膝前十字靭帯損傷。2016年に右膝前十字靭帯断裂から復活した不屈の男。ボールを狩ることにかけてはJ屈指。名古屋の誰とも被らないそのスタイル。大森先生は昨夏から彼を追いかけていたらしい。丸山との両獲り狙いとは、成功していたら東京方面は暴動ものだっただろう。風間監督のもとでやりたいと、強い気持ちを持って加入。この選手を風間監督がどう融合させるのか見物である。

そして力強く一言、「タイトルを取りに来ました(心に沁みました)」。

FC東京で、彼含め二人しか背負ってこなかった伝統の「7」に別れを告げ、名古屋に加入した(圧倒的既視感)。ちなみにユニフォームは、「東京でも青赤だったから問題なし」。

もう一人、ジュビロ磐田から加入した伊藤洋輝。ユース育ちのU-19日本代表キャプテンであり、U-21日本代表にも飛び級で選出された逸材。菅原と共に、アジア杯のトレーニングパートナーも務めた。188㎝の恵まれた体格、そして左利き。ネットが怪我の治療のため、早々にチーム合流が遅れるとアナウンスされたこともあり、伊藤にとっては、まさに千載一遇のチャンス。プレシーズンの段階で強いインパクトを残せれば、場合によっては開幕スタメンも考えられる(だって風間さんだから)。小林、米本と競うよりは、ネットの役割を全力で奪い取りに行くのが吉。生で見るととにかくデカイ。彼に関しては、「ずっとチェックしていた。磐田で出番がなく、うちで育てます」とのこと。大森先生には、今から札束を振りかざす準備を進めてほしい。ちなみに正式にオファーしたのは、昨年末のブラジル遠征前だそうです。

ボランチには他にもアーリア、場合によっては和泉の起用も考えられる。2or3の枠に、5or6名が競い合う格好。あと、忘れるなかれ渡邉柊斗。しっかり歩いていて一安心。

サイドアタッカー

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はっきり言う。人材過多である。まず新加入のマテウス。大森先生曰く「日本に来てからのプレーはずっとチェックしている」。評判を聞く限りまだまだ粗はありそうだが、ボールを持った時のスキルは一級品。彼もシャビエルや前田同様、右サイドが好みだそうだが、左サイドでも縦に1on1で仕掛けられるのがポイント。またクロス精度も抜群。ある意味で、シャビエル以上に化ける可能性がある素材だ。ちなみに日本語のレベルは「ニジュッパーセント」。

そして前田直輝。昨季キャリアハイ7得点を叩き出し、オフは金井家にお邪魔して英気を養い準備万端。他にも、左サイドならサイドバックウイングバックもヒャクパーセント対応可能な秋山陽介、右サイドにはアカデミー育ちの成瀬竣平。そして先日左膝半血板損傷として、全治約6ヶ月の診断が下された青木亮太も夏には帰ってくる。

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また昨季、特別指定ながら出場9戦負けなしのジンクスで、残留争いに貢献した早稲田大学の韋駄天、相馬勇紀が晴れて正式加入。今年の目標は「10ゴール10アシスト」。スピーチも優等生で言うことなし。彼を見ていると、なんだか自分の人生を恥じてしまうのは何故なんだ。

フォワード

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向かって一番右で微笑む赤﨑秀平が加入。風間監督の筑波大時代の教え子。プロになってからも、必ず川崎との対戦時は風間監督に挨拶をしていた風間チルドレン。どうやら名古屋は毎年オファーしていたらしく、数年越しに実った恋。絶対的エースのジョー不在時にはストライカー不足が顕著で、「補強ポイント」と大森先生が明言し、結果連れてきたのがこの赤﨑。ただしツートップの場合、現状はジョーとシャビエルが十中八九スタメンと予想する。他に今年二年目になる未完の大器、大垣勇樹。「頭の整理が必要」と大森先生に評された後、「ドリブルに注目してください」と、間髪入れず頭が整理されていないことを露呈した東海学園大卒、ドリブルモンスター榎本大輝が続く。

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そして一年振りに帰還した杉森考起。相変わらず朴訥とした答え方で、司会のヨーヨーヨースケに「変わってないね」と鋭く指摘された永遠の21歳。町田では「チームのために走ることを覚えた」。フォワードで起用されるのか、はたまた一年振り何度目かのウイングバック起用となるかは不明だが、間違いなく今年も風間監督に愛の鞭を打たれ続けるでしょう。頑張れ、考起。

そして今年のラインナップに名前のなかった深堀隼平。「本人の強い意志で」、現在他クラブとレンタル交渉中とのこと。クラブとしては彼の意志を尊重し、背中を押してあげたいとのことで、大森先生の眼差しはなんとも親のそれでした。

 〇特別枠

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サイドバック、左ストッパー、左ウイングバック、はたまたボランチインサイドハーフ、ときにサイドアタッカー。今年も和泉竜司のポジションが全く読めません。左サイドバックには吉田豊が加入。中央は千葉が加入し、3バックの左ストッパーには丸山をスライドすることも出来るため、そろそろ最終ラインは卒業してほしいところ。ではオフェンシブなポジションはどうかと言えばそこは激戦。勿論ボランチも質・枚数ともに実力者が揃ったことから、風間監督が今年、彼に何を求めるのか非常に興味深い。

以上、計31名の大所帯。そして今年のチームキャプテンはこの男。

加入して半年。ただだれも異論はないだろう。新体制発表会当日、風間監督から打診し、了承。小林裕紀よ、マルを支えてあげてください。

~総括~

風間八宏が指揮するチームは、補強する選手に往々にしてこんな言葉がつきまとう。

「風間さんっぽい」「多分風間さんの好み」「彼では風間さんにハマらない」

果たしてそうだろうか。補強した選手を見ると、中堅どころも、新卒も、皆共通して言えるのは「教えられない武器を持っている」ということだ。吉田にしても、米本にしても、圧倒的なボールを狩る能力がある。また、攻撃陣に目を向ければ、榎本にしろ、相馬にしろ、マテウスにしろ、誰にも止められないドリブル、スピードがある。彼らは世間がイメージする「風間らしさ」には当てはまらない。

おそらく、獲得の際に最も重視しているのは、この「教えられない武器が備わっているかどうか」である。逆に言えば、それ以外の部分、例えば「止める蹴る」「外す」は、それなりのスキルさえあれば、あとは教え込むことが出来ると踏んでいる可能性が高い。勿論、その止める蹴る外すの技術レベルが高い選手も好まれて当然だろう。

特徴的だったのは、「個」に秀でたタイプの選手でいえば、後方の選手は総じて「個人の守備範囲が広く、そして速い」こと。前方の選手は「1on1で抜ききる技術、スピードを備えている」ことである。また純粋にチームのプレーモデルに合致する選手、具体的に言えば止める蹴るの技術レベルが高く、ビルドアップ能力に秀でた千葉和彦や渡邉柊斗のような選手も獲得の対象だ。ストライカーでいえば、赤﨑もプレーモデルに合致したタイプと言えるだろう。

懸念があるとすれば、結果的に「司令塔タイプ」の補強がなかったこと。田口泰士がチームを去って以降、彼のようなコンダクターは現状見当たらない。伊藤洋輝という隠し玉こそあれ、実際は蓋を開けてみないと全く見当はつかない。この点が、前半戦を戦った後課題に挙がるようであれば、夏の時点で何かしら検討が必要となるだろう。

年末は、ほとんど大森強化部長と話をしていたという風間監督。今年はさらにもう一段、「質」を望むと意気込む。「全部を変える、全てリセットする」とまで言い切り、明確に「ACLを目指す」と珍しく口にした指揮官。

降格し、とにかく野心のある選手をかき集めた一年目。プレーオフ出場の影響で、J1にも関わらず満足な補強が出来なかった二年目。そして三年目、やっとJ1のチームらしい、見事な「補強」が完了した。

遂に上を目指す時が来た。飛躍の三年目が、本日よりスタートする。

そうだ、今年のサプライズ。確かに今年も、サプライズ感満載でした。

小西社長が、いなかった。

「名古屋から」世界へ

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加入が決まってからの約二年間、願い続けてきた想いが結実した日だった。

チームのJ1残留が決まり、今オフの一番の関心ごとといえば、シャビエルの完全移籍、そして宮原和也の完全移籍についてである。特に宮原の場合、広島で生まれ、育った選手であり、広島側としても「武者修行」として名古屋に送り出したのは間違いない。言葉は悪いが、片道切符ありきのもの、金銭ありきのものではなかったはずである。

思い返せば、二年前、彼の加入が正式に決まった際、私は友人とこんなことを話していた。

「宮原の加入が特に大きい」

「これで、少なくとも三ポジションはカバーできる可能性が高い」

実際に風間体制がスタートし、開幕まで、宮原はとにかくあらゆるポジションで試された。最初はボランチ、開幕直前には右サイドバック、そして最終的に開幕戦では右ストッパーで起用された。特筆すべきは、ポジションを転々としていた理由が、決して彼自身の適性を見極めるためにあったわけではないということ。調子の上がってきた選手を組み込むために、都度システムは変わり、その度に、宮原がチームにとって痒い部分をくまなくカバーした。言い換えれば、風間監督の彼に対する信頼は、出会ってから数ヶ月で既に絶大だった。

そんな彼も、一度だけ、そうたった一度だけ、スタメン落ちの危機があった。

宮原の欠点を指摘した風間八宏。それに正面から向き合った宮原和也

migiright8.hatenablog.com

 詳細はこのときのブログを読んでいただきたい。徳島戦、宮原の出来に不満だった風間監督は、前半途中の段階で早々に見切りをつけるような動きをとった(ダゾーンのカメラが、そのときの様子を見事に抜いていた)。彼のワンプレーを確認した瞬間、何かを決意したように足早にベンチに戻ってきた風間監督は、森コーチと戦術ボード片手にあーでもない、こーでもないと話をした。案の定、この試合の後半に彼の姿はなかった。この試合の数日後、風間監督にしては珍しく、マスコミの前で特定の選手について沢山の本音を語った。それは紛れもなく、宮原和也への期待の表れだった。

シーズン終了後、宮原自身も雑誌「グラン」のインタビューにおいて、シーズンの最も印象深い試合として、この試合を挙げていたのは記憶に新しい。

彼が他の選手に比べてとかく優秀だったのは、何故この試合、前半で退くことになったのか。その原因をしっかり理解できていたこと。また、そこを進化、改善させていくためのアプローチを真っ先にとったことである。一度こういった交代劇をすると、往々にしてその後の数試合はベンチ外が続くのは、もはやサポーターにとって「風間監督あるある」である。ただ唯一、宮原だけは、次の試合からも当たり前のようにスタメンで出場し続けた。

「どこでも出来る選手」は「彼にしか出来ないポジション」を確立した

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名古屋にとって、もはや欠かせない選手となった宮原は、今シーズンも広島からのレンタル延長を決意。そして、J1の舞台で躍動した。

シーズンを通して、宮原のサイドを狙われたり、破られたシーンは、ほぼほぼ記憶にない。まさに鉄壁。圧倒的な対人能力、守備センス、憎たらしいほどの駆け引き。守備において、彼に注文をつけることはほぼないと言ってもいいだろう。

攻撃に関しても、大きな転機があった。横浜Fマリノスから加入した、金井貢史の存在がそれである。圧倒的な得点能力を持つ異色のサイドバックの存在が、宮原に唯一といっていいほど足りなかった「攻撃への意欲」を呼び覚ました。また、それは風間監督がサイドバックに求める重要な要素でもあった。練習後は、この金井や、同じく夏から加入した前田直輝と体のキレを磨く作業に没頭した。見た目の華やかさに反して、彼はとにかくストイックだった。

「守備のスペシャリスト」だった宮原は、名古屋での一年目「ビルドアップの技術」を学んだ。ボールをあえて晒すことで、対面の相手を意図して喰いつかせ剥がす技術は、もはや宮原ならではの専売特許。ボールを奪われるシーンはほぼ皆無で、ビルドアップの安定感も、いまやチームでピカ一と言ってもいい。そんな彼に、「相手のファイナルサードに侵入する」という武器まで、後半戦では加わりつつあった。ドリブルで仕掛ける、相手の最終ライン裏を狙って駆け上がる...。それを可能にする勇気と、圧倒的な走力が備わりつつあった。それは間違いなく、本人の弛まぬ努力と、風間八宏の指導が化学反応を起こした賜物だった。

順調な道を歩んでいた宮原にとって大きな誤算だったのは、10月7日、FC東京戦で負った右太もも裏の肉離れだ。結果だけ見れば、彼の今シーズンは、この日の前半13分をもって幕を閉じた。契約の関係上、出場出来なかった広島戦を除けば、開幕からこの試合までリーグ戦では26試合連続先発出場。J2時代から数えても、風間体制下においてここまでコンスタントに出場を続ける選手は、宮原ただ一人。名古屋グランパス、そして風間八宏のチームにとって、最もなくてはならない存在は、間違いなく宮原和也だった。

そして、このアクシデントで最も痛手を負ったのが、他でもないグランパスである。彼の代わりに、例えば和泉や櫛引が右サイドバックに入ることもあったが、結局、最後まで彼の穴を埋めることはできなかった。唯一可能だったのは、彼が不動の地位を築いていた右サイドバックのポジションを、「チームから消してしまう」こと。その結果が、最終節までもつれた残留争いの理由の一つだったとしても、決して言い過ぎではないだろう。

このチームに加入した当初、どこのポジションでもそつなく務め上げるのが特徴だった男は、たった二年の間に、「彼にしか務められないポジション」を、このチームに作り上げていた。これが何より、彼がこの二年間で、グランパスというチームに刻んだ大きな爪痕だ。どこでも出来るのが売りだった選手が、いつしか彼にしか出来ないポジションを確立していたのだ。

二年の月日を経て「名古屋グランパス宮原和也」へ

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結果的に、彼が今オフ、グランパスに残留出来るかどうかは、ある意味で最大の焦点であり、来季のチームを占う重要なものとなった。名古屋陣営としては、既にシーズン中から大森強化部長が彼を残したいとコメントしており、おそらくそのために必要な移籍金は払うつもりなのだろうと予想させた。となると、必要なのは、「宮原が名古屋に残る意志があるかどうか」。問題はそれだけ、ただし、その問題が一番の難関だった。

名古屋側からすれば、例えば菅原由勢が、レンタル先からそのまま帰ってこないようなものである。広島という街で生まれ、育ち、サッカー選手としてずっとサンフレッチェ広島とともに歩んできた選手であり、そこへの愛着が人一倍強いことは容易に想像できる。これは個人的な意見だが、特に広島の選手はその傾向が強いように思う。広島という街は、歴史と、美しさが共存した稀有な街だ。その場所が、一つの国のような存在に思える場所。あの街の代表として、サンフレッチェのユニフォームに袖を通すことは、彼らにとって、それはとても大きな意味を持っているような気がしてならない。そう、おそらく「広島愛」は間違いなく存在するのだと思う。それは佐藤寿人を見ても、例えば引退した黒田博樹を見ても思うことで、それが地元出身者ともなれば、尚更にその愛は強いものに違いない。

必要な資金を名古屋なら用意するだろう。ただそれは、この移籍を成立させる上で最低条件に過ぎない。なにより必要な要素は、「一人の人生を、一人の人間の心を動かせるかどうか」そこに尽きると言っていい。当たり前だが、人の心はお金では買えないのだ。だからこそ、「今オフ最大の補強、最大の難関」だった。

さて、彼は結果として、そんな街に別れを告げ、今回、遂に名古屋グランパスの一員となることを選択した。それは、広島と決別したのではなく、広島から生まれた一人のサッカー選手として、その代表として、「名古屋から」世界を目指そうと、そんな決意のように感じるのだ。

彼がどれほどの想いと決意、覚悟を持って名古屋を選んだのか。私たちに必要なことは、それを噛み締めて、今後、「名古屋の宮原和也」として、精一杯背中を押してあげることではないだろうか。

次は、「名古屋から世界へ」。これが私たちと、宮原和也の新たな目標となる。


2018年8月15日名古屋グランパス宮原和也チャント

 

 

 

【実録】シーズンチケットホルダーへの道

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「これから俺の誕生日は、家族みんなでサッカー観戦をしよう!」

そんな提案を爽やかにし、一人で行けと速攻で断られました。

男性であれ女性であれ、趣味の異なる(理解できない)相手と一緒になると、苦労は多い。例えば、「なぜそれを買う必要があるのか。なんのために必要なのか」。おいおい理由を求めなさんな。好きは国境を越えますよ。そもそも俺たちだってお互い好きで結婚した仲じゃないかと、なんでも好きで丸め込みたいが、なんとも嫁のハードルがべらぼーに高い。グランパスが「うちの嫁社長」だったら、風間監督は中断期間前にはとっくにクビでした。

話を戻すと、特に「シーズンチケット」。これが今回のお題目。

あれは一回での購入額が高すぎる。指定席だと五万超えますよ。これを買うってんだから頭おかしいですね。ただ今回は、いゃ来年は、どうにもこれに挑戦したいのです(決意表明)。

なぜか。これから挙げていく理由を読めば、多分一人くらいは共感して、「俺も私もシーズンチケット買おう!」となるでしょう。公式ではマニュアルに書きたくても躊躇する内容を、無責任なサポが買い手側に立った目線で、血を通わせます。クラブから菓子折りの一つでもいただきたいです。

①今年、チケットがマジで取れなかった

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名古屋に関しては、記憶に新しいのは神戸戦。この画像を見てくださいよ。懐かしいやら、ゾッとするやらのこの画像を。超優先で開始時刻ぴったりに購入を試みたものの、全く、全く繋がらない。超優先のはずが超遅いオワタ。やっと繋がったのは、開始から30分後。ページを開いて驚いた。もうどの席も「×」ばかり。えー!超遅くて超早いの何これ。画像は、超優先販売(会費3万のプラチナと、1万のゴールドのみ対象)の初日の状況。正直申し上げて、もはや超優先、機能してないと思うのだ。だって、超優先の中で熾烈な椅子取り合戦状態なので。超優先的に戦える権利ですな(ハッハッハ)。結局、希望の座種は諦め、友人との連番にも失敗。友人にはアウェー寄りの席を譲り、頑張った私が中央寄りの超優先的ジャッジは個人的に駆使したものの、当日は一人で寂しかった。

あとは最終節の湘南戦。これも超優先の初日が試合日とかぶって、豊田市で必死にやった。またも連番失敗。結果、当日は隣の見知らぬお兄さんに、フロンターレvsジュビロのスコアを確認しながら、得意顔で「フロンターレ勝ってる!!!!」なんて周りに大声を出したりして、喜びを共有したいちっぽけな自分。大事な、人気カードになると隣から消える私の友人。ガールズフェスタのF東戦も、売れ行きは凄かった。とにかく、今年はチケットが手に入らない年だった。私がみる限り、いつもわーきゃーやってたのは、チケットを射「止めれない」名古屋と川崎です←

②来年、絶対優勝争いだろという圧倒的な勘

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私は、今年最後の広島戦、そして湘南戦を、勝手にこう位置づけていた。「グランパスの今後10年がかかった試合」と。嫁の不在を狙って、広島まで駆けつけましたよ。黙って行って、無意識にもみじ饅頭をお土産にしたタイミングで懺悔したよね(宮島の二文字を誤魔化す術を教えてください)。それはさておき、私たち、今後10年かかった試合に勝ちました。そしてもう一つの決戦、湘南戦を終え、小西社長もこうコメントしたのです(このブロガーもまんざらじゃねーなと感じてもらうタイミングです)。

10年後のグランパスがどうありたいかを目指して、来年はその(J1)二年目というご認識でいていただければと思います

風間体制で初年度にJ1昇格。二年目で劇的な残留。では三年目は。そりゃ優勝争いだろと、私は思う。この二年間で、少なくともJ1で戦えるベースは作ってきた。となると、三年目は更に上、要は優勝を目指せるチーム作りをしましょうとなるわけで、当然このチームはその投資もしっかり出来るチーム。風間監督に求めるハードルも、ぐっと上げるべきだと考える。今年みたく何連敗もしてたら、そりゃもううちの嫁呼びますよ。とにもかくにもこのチームは、三年目からが、本当の勝負。私はずっとそう考えてきた。だからこそ、今年の状況も耐えることが出来たし、「残留」という結果は、最低限ながらも最高の結果だと思う。これで三年目、遂に勝負ができる。そんな気持ち。

では、三年目、仮に上位争いをするチームになったら、果たしてチケットの売れ行きはどうなるか。今年は残留争いにも関わらず、年間平均入場者数の更新と、年間動員数40万人を突破したチーム。新しい戦力も加わるでしょう。しかも「優勝を目指した戦力」が。もう考えるまでもないですね、声高らかにいきます。

「絶対、今年以上にチケット争奪戦になる」。

③リセール、譲渡サービスの開始(2019.8月〜)

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 これは大きいですね。私個人のことを言えば、諸事情で実際のところ、来年何試合参戦出来るか分からないのが本音。ただリセールが可能となると、例えば人気カードが割り当てられるだろう豊スタのチケットは、それなりの確率でリセールが成立する可能性は高い。最悪売れなかったとしても、このシステムの有無が与える精神的余裕は無視できない。

そして、「譲渡」。これもおそらくチーム愛が強い人ほど意味のあるシステムで。仮に急遽参戦できなくなった時に、チケットを無駄にしたくないのですよ。不思議なもので、自分のせいで一席無駄にした罪悪感ってわりとある。言い換えると、スタジアムが埋まって欲しい。どうせゴミ箱行きなら、スタジアムに行きたい、行ってくれる人に譲りたい。なので、このシステムは損得ではなく、チーム愛を満たす役割として良いと思うのだ。

④純粋な所有欲

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これはともするとマヌケな理由に見えるけれど、要はクラブへの忠誠度が上がってる証拠。前述した理由とだぶるのだけれど、今のグランパスは、もう簡単に観に行こうといって良席が確保できるチームではなくなってきている。それだけ、スタジアムにおける現地観戦の満足度が高いチームに変貌してきている証。ピッチ(現場)と、運営(フロント)が噛み合っているチーム、もっといえば、それぞれが「サポーターのために」、この想いのもと同じ方向を向いているチームは、スタジアムで生み出すパワーが凄い。スタジアムの熱量が高い。それはスタジアムの中にも、外にもいえる。その日、その場所に行くことに価値がある。あの空間をともにしたい、そんな気持ちにさせる。

そうすると、とても不思議なのだけれど、このチームの試合に、自分の席が必ず存在する事実に、物凄く価値を感じる。要はその一席のオーナーになりたい感覚とでもいえばよいか。その席を埋める(運用する)一人として、クラブの一員になっていたい。もちろん誤解してほしくないのは、決してクラブ愛の形は席を所有することだけではない。そこは念のため。あくまでも、一つの考え方。

これまでも当然シーズンチケットは存在してきたし、ずっと保有されているサポーターの方からすれば、鼻で笑ってしまう内容だ。「何をいまさら小童が」と。分かってますとも。ただやはり個人個人事情は必ずあって、私の場合は、やはり「一括購入」の勇気や、リスクがなかなか背負えなかったというのが本音。よくシーズンチケットを購入するメリットとして、「シーズンチケットの売り上げがクラブの運営に直結するから」と、クラブ目線に立って語られることがある。要はそれこそがクラブ愛ではないかと。ただ個人的には、その理由では人の心は簡単に動かないと思う。「スタジアム一席のオーナーになるメリット」。結局のところ、現場に魅力がないと、人の心は動かないのではないか。ディズニーランドのために、年間パス買う人が何人いますか?いゃいゃ、ディズニーランドに行きたいから年間パス買うんでしょうと。そう思うのだ。

なんにせよ、今のグランパスは、そんな勇気だリスクだを凌駕する力がある。嫁、勝負せーやと。人(夫)をトチ狂わせる力があるのだ。そうそう、フロンターレに至っては、今やシーズンチケットが抽選だそうですよ。グランパスもそうなる前に。大袈裟ながらも、そんな気持ちも正直ある←

全ては整った。待たせたな、嫁よ

さて、決心がついたので最大の敵、湘南いや嫁と対峙する時が来た。私が交渉のポイントとして力説したのは、もちろん上記の理由。あとは今年、毎度単発で購入し続けた、トータルの金額(計算したところ、ホームだけで、ざっと六万程度は使っていた)。そんな金額をそのまま伝えると、主旨以前の問題で速攻息の根を止められるので、「実際、シーチケは4~6試合は無料になる割引価格だし、計算したらやっぱりこっちの方は安いんだ」と、アンニュイに伝えるのがポイントです。優しく、丁寧に、下手(したて)に。リセールは、来年からスタートすることをスクショで強調。

それに対しての嫁、「お願いばっかじゃん。好きにすれば。どうせ何言ったって行くくせに」。嫁は畳みかける。「お金は全額、お小遣いから返済するんですよね?」。予想通りのゲーゲンプレッシング。インテンシティも申し分ない。

貯金を切り崩すなんて選択肢はかき消されつつも、なんだかんだ諦めている嫁に申し訳ない気持ちと、長年に及ぶ自己中さで諦めさせた自分を褒めてやりたい気持ちと。計算機でざっとシーズンチケット代を12ヶ月で割り、「毎月〇〇〇〇円、お支払いいたします。貯めて、バッグでも買ってください」と、意味不明な家族サービス感で対抗。「二人とも好き勝手使ってたら、貯まるものも貯まらんわ」と、ぐうの音も出ない一言を浴びせる嫁。「それじゃ割に合わなくない?」と、最後の良心が私の口を動かすものの、「割に合わないのは今に始まったことではない」と返す嫁。我が嫁ながらお見事としか言いようがない、よ!名キャッチャー!

なんだかんだと購入の許可をだした嫁は、ある意味ものすごく理解があるし、それが理解ではなく離婚への序章だったとしたら、誰か僕を殴ってください。

ありがとう嫁。クリスマス、バッグでも買いに行こう。完。

【番外編】シーズンチケットの「指定席」選びがむずい

これは余談ですが、私は「スタジアム別席種」のシーズンチケットを選択。

ただし、スタジアムごとで席グレードを変えようと思うと、この選択が意外に難しい。例えば瑞穂の「A指定」はメインの隅っこ。では「S指定」にと思うと、昨年でいえば、開催10試合中3試合がルヴァン。ルヴァンでS指定か...。今年でいえば、無料チケット(スタンプラリー)で観れたわけで。しかも平日開催で、実際のところ観に行けるかもわからない。ただS指定は中央から俯瞰で観れ、尚且つ席が独立している(このポイントが高い)。これは豊スタにもいえるのだけれど、例えば急遽子供が一緒に行くことになった際、膝の上にのせるにしても、席は独立していた方がありがたい。瑞穂のA指定はベンチタイプなので、満席だと、とにかく両隣が狭いのだ。このあたりのジャッジで、意外と悩むことが判明。特に瑞穂は、例えば屋根の有無もそうだし、検討材料が結構ある印象。価値観一つなんですが、今後の「キープマイシート」を考慮しても、出来るだけ納得して選びたいものです。席を争うライバルは、一人残らず蹴落としたいところだが、せっかくなので参考にしてくれ。申し込んでからも、あーすれば良かった、こうした方が良かったかと悩むのは仕様なので問題ないぞ。終わり。