みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

交際歴三年目から見た風間八宏あるある

先日、豊田スタジアムで開催されたサンフレッチェ広島戦の観客数が話題となりました。

こんな偶然あるんですね。このツイートの反響を見ても、どうやら話題性は抜群だったようです。友人からは「一枚の写真の方がいつものブログより話題になるね(にっこり)」と言われました。くそ、どっか穴に落ちろ。

実はこの試合、同じく愛知県内開催の中日ドラゴンズの観客数(36,360人)を上回っていたことご存じでしたでしょうか。もちろん名古屋側は無料招待もありましたし、試合数も異なります。ただGW開催で中日を上回った事実を過小評価する必要はありません。4万人もの人をGW期間中に集める。それだけの装置に今の名古屋はなっているのだと実感した次第です。

今回は平成生まれ一万人無料招待という企画で、おそらくサッカー観戦が初だった方もいるでしょう。初ではなくとも、久しぶりの観戦で魅了された方もいるでしょう。元号も新しくなったことです。ここは二年以上、風間八宏と付き合ってきた私から見た彼がどんな男なのか、「風間語録」ではなく「風間あるある」として伝えていこうじゃありませんか。悲しいかな我々に永遠の二文字はございません。いつかは彼との別れも訪れるでしょう。そのときは新しく彼女になる方々に、このブログを語り継いでいただければ言うことはございません。ものすごく分かりづらい男です。読んでくだされば分かります。根気が必要。さて、未知の世界にようこそ。

◼️風間八宏パーソナル編

ブレなさすぎ

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まずおさえて欲しいのは、我々にとっての主語は「俺たち(風間監督リスペクト)」です。相手ではございません。常に目を向けるべきは我々自身。この理解が乏しいと、彼とのコミュニケーション成り立ちません。で、この主語が全くブレない。ヒヨって急に相手が主語になることは皆無。これ自慢ではありませんが、我々は昨年15試合未勝利、ワールドカップ中断期間まで勝点9という異常事態を経験しております。降格もがんがんチラついておりましたが奇跡の残留劇。その間も彼がブレることは恐ろしいことにございませんでした。

だからいつも言っているのは、勝ちでも負けでも一喜一憂しないということ

失点の理由は大体こう言われます。

自分たちで失ってカウンターを起こさせているのでね

「いつも通り」言いがち

我々やマスコミの皆さんは、一試合一試合にドラマを求めがちです。何かと理由をつけては「この試合は特別である」と解釈し、そんな言葉が当事者の口から発せられるのを待ってしまう性。それはそうです。付き合ってる男性にこんな風に言われたらどうですか。「俺にとって毎回のデートに意味はない」。別れなさいそんな男とは。特別感演出しろ。

ただ風間監督、あろうことかどんなときも「いつも通り」しか言いません。気の利いたコメント、致しません。撮れ高、最悪です。ただ何故「いつも通り」に拘るのか。それは先ほどのブレなさ加減を知れば分かるところ。我々にとっていつも通りとは、即ち毎試合ベストを更新しようぜ、です。

いつも変わらない。同じ。この前よりも良くならないといけないから

いつもの通りで特別なことはありませんね

システムは「11」言いがち

これはここ最近ですね。やたら言うようになりました。先日神戸の監督を辞任したリージョは、我々が語りがちなシステム論を称して「人形の配置だ」と切り捨てましたが、風間監督はその中間をとってきました。わかった、数値にしてやるよ、「11」だと。Oh...究極。気が狂いそうだぜ。

去年も見ているからわかると思うけど、システムに意味はないです。実際、自分たちがどうするとスムーズにできるか、そういうことぐらいで相手のことでもないです

◼️チーム編

ハーフコートありきでカウンター喰らいがち

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我々のフットボールは、極限まで相手コートで展開することを狙いとしています。実際はフルコート分ありますが、相手を押し込んで、相手コートでミニゲームやれば我々が最強だと。端的にいえばこれが我々のフットボール。ということは、一つ相手に出し抜かれると一気にピンチ。だってみんな相手コートいますから。そこからは逃走犯追うのみです。最初の二年間は理想から程遠いですから大体このコメント。

“グラウンド”の作り方が自分たちの中で正確ではないのでね。そういうところも含めて、自分たちで自分たちのピッチをしっかり作っていけるようになるともっと楽になるし、もっといろんな連係ができてくると思うのでね

カウンターが起きる原因も我々。

ボールロストというのはプレッシャーがあって取られたものではなくて、何もないところでパスがズレたりとか、自分がトラップをミスしたりとか、次を何も考えてなくてボールを取られるとか、そういうもののことを言うのでね

ミスの定義も明確。俺たちに誤魔化しは効かないんだよ。

やっぱり何回も言うけどミスが多い。いい状態でもミスをしてしまう。フリーな状態で奪われるのを『ミス』と呼んでいるから

毎試合、必ず決定機作られがち

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ハーフコート全力意識とはつまり、網が緩めばカウンター、押し込まれれば想定外の自陣側サッカーになるため、そこからは「個人の力量任せた」の認識です。チームとして仕込んでるかと言われれば、いやそれは俺たちのフットボールの範疇ではないため、おそらく練習してません。試合は90分ありますからね。残念ながら相手の決定機が全くない試合はございません。ポストはよく磨き、念には念を込めてください。

センターバック、一回はポカやりがち

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これもあるあるです。理想を実現するために、選手の入れ替えが度々あります。特に風間監督のチームにおけるセンターバックは、攻守にフル稼働である意味最も総合力が問われるポジション。このチームほど足元の技術と走力、広い守備範囲、高い位置を取る勇気を求められるチームはないでしょう。よって慣れないタスクで大体のセンターバックは信じられないミスを一回はやります。仕様です。駄目の烙印を押さない、強い気持ちで見守る、つまり親目線よろしくです。

よって生まれる「守備陣の絆強すぎ」

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あまりにも守備陣のタスクが多く、また「あとはお前たち任せたぞ」戦法のため、気づけば守備陣に堅い絆が結ばれます。特に無失点に抑えた際、試合後に観られるディフェンスラインとゴールキーパーの面々による歓喜の輪が最大の見所です。喜びと同情の目で涙すら溢れます。お前達頑張った!

センタリングとか走りあいとか避けがち

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アバウトなフットボールを好みません。とにかく正確性。正確性を求めるために追求するのは技術。その技術の先に自信。この三段オチが風間ロジック。誤解していけないのは、センタリング禁止令は発令されておりません。正確に届けられない、中でマークが外れていないならアバウトに蹴るのやっちゃアカン。名古屋でいえば、例えば2010の「あとジョシュア頼んだ」的ダイナミックな展開は乏しいです。また我々が探すのはスペースではありません。「マークを外した味方」を探すのが我々です。華麗とか、美しいとか、その類なので、苦手な人は苦手でしょう。あぁぁ!!ってなります。

だからサッカーというのはよーいドンじゃないから。いつ、どこで見つけるか。いつも言っているように、いつ、どこで、どう、というのはずっと言っていることで、それがわかっていればね

シーズン通して波、結構きがち

昨年の流れは前述の通り。15試合未勝利から怒涛の7連勝、我々のクオリティ次第で成績はジェットコースターの如く上下動。ちなみにJ2で戦った2017シーズンも、連敗が続いたと思ったら勝ち始め、底を抜けたと思ったらまた負け始め。くっそ昇格どうすんだと思ったらまた勝ち始め。上手く行き始めると対策されそれ乗り越え、この連続。決して目の前の1試合で一喜一憂しないで。我々は年間を通して戦うのです。というか年間を通して成長しているのです(強い口調で)。最終的にシーズンの目標、結果にはコミットするのが特徴。つまりチームが、いや選手が成長したと解釈してください。

◼️選手編

若手をサイドバックで使いがち

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チームとして決まった動き方、いわゆる「型」が存在しないため、技術と頭脳が両立しない選手、特に若手は最初かなり苦労します。具体的にいえば、ボールを持てばスキルを発揮する系、この手のタイプは絶賛壁にぶち当たります。その場合、大抵はサイドバックからスタートさせるのが風間流。具体的なエピソードとして、和泉竜司を取り上げましょう。サイドバック、ストッパー、ボランチサイドハーフ、ありがとうございます。とにかくたらい回しに遭いました。

簡単に言えば周りが見えるようになったということ。最初は前に置いても彼は見えなかった。そこで“目を開く”作業を彼は2年間やってきた。それはオレたちもさせてきた。そこでしっかり見えるようになって、特に相手が良く見えるようになって、ボールロストが本当に少なくなったよね。それは彼がいろんなポジションををやったことで目が開いたということ

で、これだけ「個」にフォーカスしたチームですからね。当然必要となる能力の大前提はこれ。

1対1に強い選手好みがち

ここは先ほどのコメントの続きをお読みください。

でも逆に言えば彼がいろんなポジションに置いてもやれたということがあって、試されるチャンスがあったというのは、彼が「1対1に強かったから」だよね。それを今度は自分の目で見てどれだけやれるのか、ここ2年間でいろんなものが見えてきて、どこでやっても彼は彼のプレーができるようになった。一番大きいのは彼が余裕をもって相手を見ているということ。それが一番の成長だと

ということで、基本的にはコンバートも平気でやります。

選手のポジションをコンバートしがち

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名古屋でいえば、現在徳島の押谷がボランチ甲府の内田もボランチにストッパー、左サイドハーフ小林裕紀センターバックなど、当たり前のように試します。適性を見極める場合もあれば、異なるポジションに置いてその選手の課題に気づかせ、克服するために「あえて」変える場合もある。押谷の場合「プレーの連続性」に課題有りという指摘でした。

コンバート自体に大した意味はないと言います。

立ち位置が変わっただけ。やることは同じ

ただ明らかに意図した場合はやはり示唆に富みます。これまた和泉の例を挙げてみましょう。

彼の中で何が変わったかは知らないけど、毎日練習していればそのうち見えるようにはなってくる。ただ、彼の場合は両方あって、無駄なボールロストは多い。一つの部分は彼は良く見えるようになってきたけれども、いくつかの選択肢の中からという部分でもう一つグレードアップしてほしい。今、見えてきているのでね。その中で何を的確に選んでいくか。一つのものの中から決められた時には素晴らしいプレーをするので、いくつもの選択肢の中からその一つを速く的確に選べるようになったら本当にすごくレベルがまた上がると思う

終わったと思われてた選手復活しがち

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レギュラー争いは恐ろしいほどに平等。「上手ければ」と言ってしまえばそれまでですが、まあ端的にいえばその通りで上手ければ選ばれる。足りなければ選ばれない。理由は至ってシンプルです。前述の和泉の例が最たるもので、壁にぶち当たって苦労していた選手が、一つのきっかけで急に「目が開く」と覚醒するのが彼のチームの面白さ。もちろんそこに偶然性はありません。練習の出来さえ良ければ使ってもらえるため、全ての選手に「活躍出来る余白」が用意されているのが特徴。最近だとアーリアですね。遂にテニスプレイヤーに鞍替えかと思いましたが、今年は前線にポジションをかえ、今や我々には欠かせない主力選手です。

何でチャンスを与えるかと言えば、トレーニングの中で選手たちがパフォーマンスを見せれば、年齢のことではなく一番良い選手が出るべき

驚くような起用、ただし駄目なら即交代しがち

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練習で良ければ起用する。試合で使ってみて駄目なら即交代。ここも徹底してます。特にチームを構築している段階、つまり一年目〜二年目によく見るパターンです。三年目にもなるとそもそもチーム全体のレベルが上がってくるため、前半で代えられるくらいの理解度ではまず割って入れません。我々でいえば、一年目は杉森考起がとにかく前半交代の常連で、賛否両論呼びました。「それで交代枠毎回使うのやめてもらえませんか涙」と。ただ風間監督は全くブレません。良ければ使う、駄目なら代える。基準はそれだけです。

とにかく個人にフォーカスしがち

これまで読んでいただいて分かる通り、全ての主語は「俺たち」であり、主役は「選手」。チームはあくまで個人の集合体の認識、攻守においてミスが生まれればそれは「個人のミス」。攻撃の流れを止めるのも、守備で水を漏らすのも、全ては個人のプレーに起因する。つまるところ全部コレ。

一人ずつの力、力量は徹底的に意識させていくしかないと思う。チームでやられているところはほとんどないと思うので、自分たちが相手にボールをあげたり、何も抵抗しないでやられているのがすごく多いんでね。そういうところは一人ずつが自覚してやってくれれば良くなっていくと思うしね

◼️会見編

インタビュアーと禅問答になりがち

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これまでの内容、本人的には大真面目でも、一般論としては悲しいかな「変人(失礼)」扱い。普通に普通のことを聞いても、残念無念、会話は全く噛み合いません。個人的に好きだった名古屋番記者さんに対する風間監督の返しをどうぞ。

それも論外のテーマで、それをここで議論するつもりはない。人も違うしチームも違う。その時の選手の特徴でやるわけだから、それを一つひとつ話していったら5時間はかかる。そんなすべては簡単なものではないです

抽象論嫌いがち

見えない話題が嫌いです。見えないとは、例えば精神的な話です。ちげーんだよ、全ては技術なんだよ。「前節ですが2回追いつかれても勝ちきった部分でメンタリティーにも成長が見られたような気がしますが」。この質問はいけませんね。

得意だね、みんな。抽象的なものが

◼️ファミリー(サポーター)編

風間語みんな真似しがち

二年以上の付き合いにもなると、我々もあの喋り方を真似したくなります。この兆候いよいよ我々も本物になってきた証拠です。染まってくると、定期的にヤヒ語(語呂良し)で会話をし始める輩が現れますが、そのときは「我々も目が揃ってきたんだな」と優しい気持ちで見守ってください。

勝っても負けても文句言われがち

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結局これだけ独特な監督なので好き嫌いは真っ二つです。出る杭は打たれる、これはどの世界でも同じ。負けが続くと「早く辞めろ」、勝ち始めれば「あんなサッカーはやばい」。つまり一定層は「自分の美学に反する」ことがどうしても許せない。なので年がら年中、話題に事欠きません。批判する者は何があっても批判しますから。応援する者は何故か「信者」と命名されたりと、我々の目が揃わないとはなんたる皮肉。ただその論争は放っておいて問題なし。試合のエンタメ性、分かりやすさ、手に取るようにわかる「選手の成長」。これが最大の魅力。そしてこれもフットボールの醍醐味。で、今のグランパスファミリーは総じて楽しそうです。

いかがでしたか。これが風間八宏です。最後に彼のサッカー哲学をご紹介して終わりましょう。サッカーに、我々のチームに興味がない人に尋ねられたらこれを伝えてください。少なくとも私がこのチームを全力で応援し、支持し、楽しんでいるのはこれが伝わるからです。それで十分です。では。

ずっと言っている通りお客さんが楽しめるかどうか。お客さんが楽しむとはどういうことかと言えば、選手が楽しめるかどうか。選手が楽しめるかどうかというのがどういうことかと言えば、それぞれの特徴がグラウンドの中で出せるかどうかです。そういうところが大事であって、その先に価値があると思っています。もう、わかってることだったでしょ?

 

 

※このブログで使用している風間監督のコメントは、「試合前監督会見」から引用しております。ご興味が湧いた方は、公式サイトである「インサイドグランパス」、もしくはタグマが運営する「赤鯱新報」をぜひご購読ください