みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

「10回に1回」ではない「再現性」

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まず言いたい。仙台は何故あの順位なのか。

中の人が違ったのか順位表が詐欺なのか、普通に強かった仙台。休む間もなく今月まだ2回も対戦する仙台。

いやはや素晴らしい戦いでした敵ながら。名古屋をこれでもかと研究していたのも伝わった。何より感心したのは、おそらく我々の前節の試合、山雅戦は相当見直したと思うんです。普通だったら、「我々もこう戦おう」なんて練りそうなものですが、彼らは安易にコピーしなかった。だって前田大然いないもの。後ろに人数をかけて奪ったらカウンターといっても、それを可能とするスプリント力(スピード・回数ともに)を持った選手、つまりそれを武器とする選手を保有しているか。いや、普通いない。よって彼らはそれを模倣しなかった。「自分たちに¨合った¨、¨可能な¨戦い方」を落とし込んで試合に臨んだ。その点になんだか感心したのです。

ただそれは山雅以上に再現性のある戦い方でした。

仙台が選んだ戦いの場所

振り返ると山雅の戦い方は5-4-1のシステムで、ある一定のゾーンに壁を築き、「ここから先には行かせない」そんな守備だったように思います。前述した通り、奪ったらロングスプリントで前田大然いってこい。ただし終盤、前田直輝の投入とともにその陣形は自陣深くに下がり、ゴール前で耐え忍ぶ時間帯が増えた。あそこにジョーがいたら、前田直輝の投入が早ければ、ワンチャンスだった前田大然のゴールがなければ。タラレバを言っても仕方ないものの、紙一重の戦い方が上手く噛み合ったという意味において、10回やって1回の勝機を掴んだ、そんな試合だったのではないでしょうか。

仙台にとっては、おそらく山雅戦後半の展開はかなり参考になったはずです。「自分たちだったらどうするか」の意味において。結果、彼らはただブロックを敷く選択肢を選ばなかった。選んだ方策は「構えず、ボールを奪いにいく」。

肝は中盤の3枚です。表記上は吉尾がトップ下、松下と富田のダブルボランチでしたが、選手のタスクを見るに、アンカーが富田、インサイドハーフに松下と吉尾の方がしっくりきます。つまり名古屋の中盤の要であるジョアンとヨネ、そしてそこに加勢するアーリアの3枚にしっかり人を当てる。主に吉尾はジョアン、松下がヨネ。また面白かったのはアンカーの富田です。アーリアが中盤に下がれば当然つく。逆に最前線に張っていれば最終ラインに委ね、自身はバイタルを埋める。また、名古屋をサイドに追い込んでボールが奪えそうな際は、持ち場を離れボールサイドに加勢する。

常々言及していますが、名古屋は中盤の出来がチーム全体の出来を左右します。マンマークでベッタリ張り付くわけではないものの、正直これまでの戦いでここまで明確に「人」に「同数」でつけてきたチームはありません。よほど大きな武器があるチーム(FC東京や山雅)を除き、殆どのチームのブロックを破壊し勝利してきたのが今の名古屋。個の力関係を考えても「構えているだけではやられる」、そんな心理が渡邉監督の脳裏によぎったのかもしれません。

まさに勝負の肝でした。ここで名古屋に主導権を握られれば、これから書く内容はどれも成功しなかったでしょう。

悩みのない炎のドリブラー前田はどうするのか

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先ほど山雅戦の後半について言及しましたが、仙台からすれば、当然前田直輝の存在も折込み済みだったことでしょう。ここには永戸に1on1で対応させつつ、関口がヘルプに入る形で蓋を閉める意図は垣間見えました。ただ前田もキレッキレでして、それでも何度か抜ききってシュートまで持ち込んでいたのは凄い(語彙力)。しいていえば、仙台側が「シュートで終わるだろう」と割り切れていた部分はあったかもしれません。中を締め、外は永戸と関口頑張れと。そういう潔さ。設計上、センターバックの1人も余っていますから(マテウスに対しシマオと平岡の2枚)、いつでもヘルプには行ける。兎にも角にも、チーム全体がブロックごと構え相手を受け入れて、ズルズル下がることがないように。その点を相当意識したプランだったと思います。

速さはない、けれど高さはある

では一方で仙台の攻撃はどうだったか。ここは「速さ」ではなく、長沢の「高さ」が最大の武器。結局、仙台のゲームプランが出来上がる過程で、この点も大きな要素だったと考えます。彼らには速さの武器がない。つまり、ブロックを敷いてジリ貧では「走れ、行ってこい」作戦はないわけで、そうなると「収める、そのポイントをフォローする」必要があった。よって選手の距離感はそれなりに高く、近い位置が良いだろうと。だから「奪いにきた」と考えるのが自然です。長沢は1人で何か出来るタイプではありませんから、このプランを成立させるには、そこを補佐する役目として二列目の仕事も重要でした。長沢が引っ張って空けたバイタルを有効活用するのが彼らの仕事。そして、そんな流れの中で先制点を取ったのが仙台。名古屋は長沢に相当神経を使ってましたね。2人のセンターバックが彼の動きに吊られてできたスペースに吉尾。前半終了時、風間監督はセンターバック陣に「チャレンジ&カバーを徹底しろ」と指示したようですが、決してロングボールの対応だけが課題ではなかった。2枚で長沢1枚を同じ対応をもって見てしまった結果だと考えます。

前半、名古屋の出来は悪かったのか

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1点を失った名古屋でしたが、我々もマテちゃん1試合1回ガチャのスーペルゴラッソが飛び出し前半は1-1で終了。追いついた流れで残り10分強。どれか一つ仕留めたかった。あの時間帯は完全に名古屋ペースでした。中盤は各々がっつりデュエルしてましたから、相当な負担だったことでしょう。前田も彼の仕事を全うしていた。あとマテウス、かなりボールに関与出来るようになったのは驚き。この試合は不慣れなトップ起用でしたが、彼なりにボールを引き出していました。

ただアーリア含め前線2枚は、中盤が戦の舞台と化していましたから、良質なボールがなかなか入らなかった。レンジの長いパスが多かったですよね。あれ狙われます。そもそも相手を背にして受ける器用さはなく、デュエル勝率が悪いのも当然。その前の局面にこそ問題はあったわけです。仙台は前線の長沢、最終ラインのシマオ、平岡と要所要所で対人に強い選手を配置しており、その舞台になってしまえば劣勢になるのは目に見えています。特にシマオの対人能力と見た目に反した機動力。本来はボランチが本職と聞いていましたが、機動力のある名古屋相手にあの配置はズバリでした。名古屋の中盤が苦し紛れに前線に委ねたパスは、その背後からほぼ彼が狩り取ることに成功。そしてそこに導いたのが運動量、機動力特化型といえる中盤の面々。つまり仙台からすれば、

  • ある程度中盤で持たれるのは仕方ない
  • ただししっかり圧力をかけパスコースを限定する
  • 苦し紛れにパスを通してきたタイミングで追撃する

この設計が機能を果たしていました。どこでボールを奪うのか、その意思統一、仕組みが出来上がっていた。

そうなると期待は左の和泉でしたが、前半は可もなく不可もなく。時折ビルドアップの助けにはなっていたものの、彼が中盤の戦いでどれだけ違いを作れるかが後半の鍵でした。

ビルドアップもデザインしていた仙台

後半もお互い基本的な戦い方に変更はありません。ただし1点、明らかに変化を感じた点がありました。

仙台のビルドアップです。

最終ラインのパススピードを意図して「落としていた」ように見えたのですが如何ですか。これは推測ですが、名古屋は長沢へのロングボールを必要以上に嫌がっていた。よって全体のブロックがいつも以上に後退気味。蹴られるのを恐れていたからです。また理由は後述しますが、前半以上に後半はそこの強度が落ちた印象を受けます。構えはするものの、「そこにいるだけ」だった。仙台側とすれば、だから慌てるなと。ゆっくりボールを展開し、ある程度名古屋の前線6枚を自陣に引きずり込んだタイミングがスイッチ。相手陣地の状況を見越してそのタイミングでロングボールを送り込む。

驚いたのが、このロングボールもしっかり練習の跡が見えたことです。名古屋の最終ライン4枚に対して、蹴る瞬間、仙台は3枚が走り込みます。中央にはもちろん長沢が、名古屋の(CB-SB間)丸山と吉田、中谷と宮原の間に両サイドハーフ(道渕、関口)がカットインして入ってくる。つまりターゲットを3枚、且つ、名古屋のライン間を意図して走りこませていた。この選択は名古屋の守り方に起因したものです。1人1人の持ち場を意識して守らせる名古屋の守備において、この「中間ポジション(選手間のスペース)」が効くことを渡邉監督が理解していたのでしょう。案の定、後半はこのロングボール大作戦が面白いほどにハマりました。名古屋の重心は下がる一方。そこでボールキープした道渕が中にドライブして空けた大外から、何故か逆サイドの関口が回り込みオーバーラップするあの形もデザインしたものでしょう。

「前半45分、後半15分の法則」

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なかなかペースが上がってこない名古屋は、後半早々、最初のカードで和泉に代えてシャビエルを投入。48分の前田からのクロスなー、あれ決めたら一皮剥けると思うのですが、毎回惜しいで終わってしまうのが残念です。これ、おそらくマテウスなり前田の出来が悪く、前半リードされた状態であれば後半頭にテコ入れしていたでしょう。それが風間流です。ただし今回はそれぞれそこまで出来は悪くなかった。その場合、試合展開から鑑みた「足りないポイント」がはっきりしていれば、最初の10分間の様子で変化の兆しがあるか確認し、後半55〜60分に1枚目のカードをきるケースが多いように感じます。カッコつけて法則と書いてみましたが、今回シャビエルに求められていたのは中盤を助けつつ、前線で決定的な仕事をすること。また、前半を通してかなり攻撃が単調だったんですよ。これも後述しますが、そこでゲームを作る、時間を作る役目も担っていたように思います。

明らかに足が止まった中盤と最終ライン

試合は74分、仙台が均衡を破ります。ああ長沢またも長沢。その後追加点も加え、昨年のガンバ時代含めると対名古屋戦5試合8発。悪魔のような男に息の根を止められました。

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さて、決勝点になった長沢の1点目もそうですし、ミッチのミスから起きた2点目もそうですが、名古屋の最終ライン、足止まってましたね。というか、集中力が切れていたように映りました。でも理解は出来るんです。前半から攻撃の際は高い位置をとる。ただし中盤〜前線のところでボール保持出来ず、長沢目掛けてロングボールを蹴られる。ではときに攻撃が上手くいった場面はといえば、名古屋の攻撃が前田とマテウスの単騎突破に依存したこともあり、かなり単調な攻めに終始した。ボールを受けたらドリブルからのシュート。ないしはチャレンジして奪われる。つまり中盤〜最終ラインの面々からすれば「行ったり来たり」。押し込めないから狙いすましてロングボールを蹴られ後退する。攻めにでれば「目の速さ」ではなく、単純に「ゴール到達を早く目指しすぎて」押し上げきれない。あれはしんどかったと思います。決勝点を奪われてからはマテウスもトップを離れ右サイド一辺倒になる悪循環、代わりに赤﨑をトップに据えましたが万事休す。負けるべくして負けた、そう感じます。

あ、あとミッチ。気にしないでミッチ。結果論とはいえ、あのミスがなくてもスコアは1-2。どうせ負けてんじゃんっ!!これまで貴方がどれだけ我々の絶体絶命ありえないピンチを救ってきたことか。たかだかあんなミス一つで責める気にはならないよああミッチ元気をだして。

ジョーがいたらシャビエルがいたら違ったのか

我々は、負けたときほどいなかった選手の不在を嘆きます。ああジョーよ、ああシャビエル頭から出てこいよと。正直、山雅戦はジョー不在は痛手だった。いれば山雅は耐えきれなかった可能性が高い、そう思ったりもします。

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ただ今回の仙台戦、果たしてジョーがいれば戦況は違ったのか。結構懐疑的です。というか、見てみないとわからない、が率直な感想。それくらい攻守において完璧に対策され、敗北した試合が仙台戦でした。中盤を標的にされ、攻めのポイントをロングボール&長身FWにされるパターン、実は最も苦手としてますよね。この感覚、久しぶりでした。山雅戦とは違い、この戦い方は再現性もあると思うんですよ。模倣しやすい。名古屋に関しては中盤で徹底的にデュエルを挑み、ロングボールで走らせて長身FWでボールを収める。だってマルもシンちゃんも決して高さに滅法強いわけではないですから。結構、完膚なきまでにやられた試合だと思ってます。

おそらく仙台にとっては、これほどやり易い相手もいなかったはずです。なぜなら「対策しやすい」。我々からすれば何故お前らその順位なんだと言いたいところですが、結局噛み合わせの妙は必ずあります。我々がスタイルを変えることはないわけです。相手をリスペクトし、相手に合った戦術をこれでもかと取れるチームにどう対抗するか。それが名古屋の課題です。そして我々が取れる策は「それすら越える」しかないんですよ。これらを上回るしか道はない。今のところ、我々のウイークを突いてくる相手にはことごとく敗れている、これが今の我々の現状です。その意味でいえば、ルヴァンとはいえ仙台と今月まだ2回対戦できるのは面白い巡り合わせです。我々がどう変われるか知る機会が直近で2回もある。

どう解決しましょうか。いや答えなんてわかるわけねーじゃん、だって素人だもん(最後に匙投げる)。ただ戦術縛りがない分、出場する選手の力量次第でチーム力がブレるのもまた、風間監督のチームの弱点かもしれません。特に彼が絶対にベンチに置かないような選手(本来ならシャビエル含)。ここはアンタッチャブルです。とかく個にフォーカスする分、だから選手への期待も大きいんでしょう。チームの底上げ=各選手の成長だと。さて、連敗で一時中断です。ジョーを入れて解決するのか、はたまた何かテコ入れするのか。ただ我々はそうやって進化してきたチームですから。この2週間をどう過ごすか、逆に楽しみにすべきです。

突き抜けましょう、落ち込んでいる暇などありません。