みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

酒のつまみに徳島ヴォルティス

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阿波踊りする監督が熱くないはずがない。

主観全開しかし凄まじい説得力。居酒屋でその熱弁を聞きつつそう思う。もっぱら話題は徳島だった。

徳島が強い。名古屋の仲間と酒を酌み交わしても何故か話題は徳島に飛び火し、リカルドがいかに素晴らしい監督か思い思いに口にする。ファンであり、いつかの引き抜きを画策するゲスい集団そのものだ。

何故これほど彼らは我々を惹きつけるのか。

それをお前が語るのかと言われそうだが気にしない。書くと決めたら必要なのは強いメンタル。

 

若い選手たちの輝く姿が眩しい

攻撃的だポジショナルプレーだと上っ面に知った被ろうかと考えたがそんな理屈はまだこねない。

単刀直入に好きだ、ピッチで躍動する貴方達が。

上福元さん、もっと適当にロングボール蹴ってください。センターバックの皆さん、身体の向きがいちいち丁寧です。サイドバックジエゴさん、馴染んできましたね、愛知から心配してました。栃木から加入した西谷さん、その枠はきっとオラオラ枠、杉本竜士の幻影がぼくには見えます。河田くん、普通のシュートを普通に決めてください。天才肌感が伝わります。

綺麗にまとめたようで紹介はまだまだ終わらない。

君はいつの間に育ったんだボランチの小西。


【公式】ゴール動画:小西 雄大(徳島)70分 レノファ山口FCvs徳島ヴォルティス 明治安田生命J2リーグ 第7節 2019/4/3


【公式】ゴール動画:小西 雄大(徳島)60分 FC町田ゼルビアvs徳島ヴォルティス 明治安田生命J2リーグ 第23節 2019/7/21

悪魔のような左足だ。以前、名古屋にいた内田健太が自身のキャリアを振り返り「この左足で食ってきた」と話していたことを思い出す。貴方もきっとその左足でたらふく美味い飯をこれから食べるんでしょう。

それにしても左足しか使わない。左で蹴れる場所に常にボールを置く癖あり。そこを狙われるのが玉に瑕、がそれを補うには余りある広角に蹴り分けるキャノン砲。あれほど蹴れる選手はJ1見渡してもまずいない。

またボディバランスも素晴らしい。聞けばお兄さんが元忍者で、現在はパーソナルトレーナーとして武道の面から身体の使い方を指導しているそうだ。

www.topics.or.jp

設定が複雑すぎるが気にしては駄目。元、忍者だ。

調べてみるとガンバユース。あーーうちは高尾でやっちまったが、おたくも小西でやったなこれは。

トップ下で重心低くドリブルで突っ掛けるのは渡井。

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168㎝の身長と細かいステップワークから、〝徳島のオルテガ〟と呼んでいるのは私だけ。その甘いマスクに女性ファンも多いだろうが、こちらの情報筋では名波浩もイチオシらしい(見た目じゃない)。

サッカー以外の特技はなんと〝掃除〟。ピッチでは相手守備陣をそのドリブルで掃除していく嫌らしい男も、家庭ではきっと良い男なんでしょう。嫌いです。

正直見た目がすげー地味なストライカー垣田裕暉。

ごめん、初めて見たとき、ちょっと貴方が物足りなかった。「垣田と河田を足して二で割りたい!」なんて図にのった発言をして、「いや足してから割らないでください!」と徳島方面から突っ込まれたとき、面白い返しが出来なかった自身を恨んだんだ。

垣田よ、最近洗練してきたんじゃないか(何目線)。

とにかく献身的に動き回り、前線のあらゆる場所で起点になる。一家に一台垣田裕暉。徳島のために生まれたようなこの男は、なんだか最近すごい美しくゴールを奪う。アシストだって気づけばバルサ顔負けだ。

いや他人事かとおもたわ!難しいシュート入れて簡単なシュート外すオランダ人が昔バルサおったで河田!

そして待ってましたと〝大御所〟岩尾憲様の登場だ。

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リカルドの申し子は、毎年主力が引き抜かれようとこのクラブを支え続けた。私のように偉そうに語るどこの馬の骨か分からない奴はこういうのだ。「徳島を観ていると戦力を言い訳になんて出来ない。優秀な監督はどんな材料も調理する」と。そこに徳島の方々はこう反論する。「何抜かす憲様を忘れてくれるな」。

徳島は決してリカルドだけのチームではない。

その屋台骨となり支え続けたのは岩尾だと主張する徳島勢。そこから垣間見る主将への絶対的な信頼。

岩尾憲をそろそろJ1で観たい。徳島の岩尾として。

 

キャリア最高の時間を謳歌する名古屋の至宝

さて、徳島を語るうえで最大のトピックに移ろう。

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写真がなかった名古屋の至宝、杉森考起(可愛い)。

名古屋ファミリーは考起のこと観ているだろうか。毎試合追ってる貴方きっと泣いてますね。全く観ていない貴方、Go To Eat知らんくらい損しとる(俺か)。

自分のキャリアの中でも、これだけ試合に絡めることがなかったので、すごく充実したシーズンになっています。チームのスタイルがやりやすいですし、徳島に来てチャンスをもらえている中で、ゲーム体力も付いてきているのかなと思います

(2020.10.24 新潟戦前選手コメント)

徳島の識者はこう言った。「今徳島の前線で最も戦術理解度が高いのは誰か、杉森考起だ」と。

嘘だ......八宏にこっぴどく怒られてたあの考起が。

migiright8.hatenablog.com

いや嘘ではない。徳島で水を得た魚の如く走り回る考起がそこにいる。楽しそうにプレーする考起が。

まず抜群にポジショニングが良い。徳島のビルドアップが相手のプレスを綺麗にかい潜った先で必ずボールを受けるのは考起だ。彼がボールを持つとチームにスイッチが入る、「さあ仕掛けるぞ!」と。ポジションにも捉われない。縦横無尽にポジションを取り、味方との適度な距離感の中でパス、シュート、ドリブルとそのポテンシャルを思う存分発揮する。

奪われればハードワークだ。ルックスから想像しづらいため案外語られないが、彼の球際に対する激しさは折り紙付。その負けん気が徳島のプレスを支える。

知らない間に超絶美女を妻に迎えた。そこは嫌いだ。

いやお姉さんだろ。奥様だなんて認めてたまるか。

 

〝補強<既存選手〟だと断言したリカルド

それにしても何故これほど若手が育つのか疑問だ。

毎年主力という主力をごっそり抜かれ、「だから目立っちゃ駄目なんだ」と一見分かるようでよく考えれば意味の分からない結論で他サポには揶揄される。

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それでもリカルドは挫けない。ガリガリに痩せ細ったチームは大好物だとぶくぶく太らせる料理上手。

そしてダメ押しのこの一言。

今いる選手たちのことをすごく信頼していますし、試合に出ている選手たちはもちろんですが、試合に絡めていない選手たちも、彼らがどれだけそう思っているかわかりませんが、私はすごく信頼しています。仮に今新しい選手を獲ったとしても彼らを超えることはできないくらい、彼らのことを信頼しています

(2020.10.31 群馬戦前監督コメント)

だーーーーー好きだーーーー(隠しきれない想い)。

おい聞いてるかそこのイタリア人(とばっちり)。補強補強言ってんじゃないよだからスペインに勝てないんだよイタリアは(勢いなのでお許しください)。

話を戻すが、この発想の違いはとても興味深い。

 

〝枠組み〟を忠実に再現したいマッシモ

最近、名古屋の応援雑誌Grun12月号を読んだ。

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そこで巻頭インタビューを飾った中谷進之介が、マッシモについて語った言葉を紹介したい。

今はチームとしての枠組みがあって、チームのみんながその中に入っているという感じ

その枠を皆で広げてチームが強くなるのかとの問いを、中谷はキッパリと否定する。

いいえ、その枠組みはすでに監督が作ってあるので、その中で規則正しい動きをするという感じでしょうか

この何気ないやり取りは、マッシモのチーム作りを端的に表現している。既に枠はあり、選手たちが期待されるのはそれを広げることでなく、忠実にその中で働くことだ。ある種機械的に、だからこそミスなく、完璧に実行して初めて、相手に勝つことが出来る。

であるからして、その枠の中に入れる選手、つまり与えられた設計図の通り機能できる〝部品〟(他意はない)でないとこのチームに加わることは許されない。期待されるのは〝伸びしろ〟以上に、あくまでこの設計図を忠実に再現する〝完成度〟だ。

若手に出番が与えられていない理由はこの点にある。厳密にいえば年齢が問題ではなく、名古屋の若手に彼の部品になり得る素材が少ないのが問題だ。

そりゃそうさ彼らは〝八宏チルドレン〟なのだから。

では選手たちに求められる素材とはなんだろう。

私が見る限り、マッシモの求めるそれはとりわけ〝フィジカル〟に依存したものだと感じている。

例えばストライカーには当たり負けしないボディバランスとキープ力。ウインガーには爆発的なスピードと単騎で仕掛けられる圧倒的突破力。ボランチには90分間走り切る体力そして球際での絶対的な強さ。最終ラインは言うまでもない。強さ、速さ、高さ、全てだ。

要は元々その選手が持ち得る身体的要素が大きなウエイトを占め、枠に入ろうにもそこをクリア出来ない限り土俵にすら上がれない。例えばジョアンシミッチが〝高さ要員〟で度々重宝されるのはまさにその象徴であり、またその役割を負う事実は皮肉な話だ。

高さが必要なら、木偶の棒でも連れてこればいいさ。

根底にある思想は〝ボール保持〟ではなく〝非保持〟であり、だからこそ守って走り、少ない人間でも決め切るだけの個人能力が問われている。

まさにアスリートとしての資質そのものが。

 

枠組みは〝選手が作るもの〟だった風間八宏

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ではやはり前任者である風間八宏が理想だったのか。

同様に、中谷進之介のコメントを紹介する。

風間さんの場合は枠組みを自分で大きくして、まずはそれをやるという感じでした

風間八宏にとっての枠組みはあくまで選手個人個人の総和であり、監督が規定すべきものではなかった。

では好き勝手やればいいかといえば勿論そんなことはなく、彼は唯一〝(あらゆる意味においての)技術〟をそのチームの掟とし、それを繋げて枠組みが生まれるよう〝目を揃える〟ことを何より望んだ。その目が正しく、そして素早く揃えば、チームの可能性は無限大だと解き、〝ボール保持〟が前提にあるからこそ、その力の伸びしろに終わりはないとしたのだ。

選手たちには〝予想内〟でなく〝予想外〟を期待し、だからこそ〝完成度〟に加え〝伸びしろ〟も強く求めた。座右の銘が彼らしい、「自分に期待しろ」。

若い才能を躊躇なく試したのも、その期待の表れだ。

 

共通する二つのジレンマ

右か左。どちらかを頑なに支持しまた否定もしない。

ただ対極故に、皮肉にも共通点が二つあった。ハマれば滅法強く、しかしハマらなければとことんクソ試合になること。そして、求める〝個〟は違えど、結果だけ見れば完成度の高い選手が求められたことだ。


【DAZNハイライト】#名古屋グランパス vs #FC東京(H) 2020明治安田生命J1リーグ 第27節

先日のFC東京戦は、終始緊張感とまたミスが一つも許されないレベルの高い好ゲームだった。スコアは得意の〝ウノゼロ〟でも、お互いに張り詰めた糸を切らさないゲームは、その後大きな余韻を残したものだ。

そう、ハマったときの風間八宏とマッシモは最高だ。昨シーズン、豊スタで川崎相手に3発ぶち込んだ風間時代のあの試合も、今回のFC東京戦も、きっと今後何度も見返すに違いない。それぞれの特色がはっきり出た、個性的で尖った素晴らしい試合だったからだ。

では一方でハマらない試合だとどうだろう。

枠がなければ困った時にすがるもの(立ち返る場所)がなく、枠で雁字搦めだと予想外の事態(バグ)が起きた際、それを超越するものが生まれない。

結果、負ける時は散々なものだ。目も当てられん。

またその枠組みの有無に関わらず、発想があまりに極端な場合に〝選手を選んでしまう〟のは皮肉な事実ともいえる。とりわけ風間八宏に至っては、チームの枠組みを大きくしようと試みるほどに、傑出した能力の持ち主に追いつけない者達が脱落する仕組みを内包した事実は悲しき皮肉であり、足を引っ張った要因だ。

結局アップデートに〝補強〟は避けて通れなかった。

しかしながら各ポジションに完成度の高い選手達を揃えていたことで、正反対の志向を持つ監督にバトンを渡しても、結果的にセンターラインだけマッシモ仕様にすれば形になったのもまた皮肉な話だった。

 

リカルドにとっての〝枠組み〟とは何なのか

では本日のテーマである徳島に話を戻そう。

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彼らは先に述べた名古屋の〝混ぜ合わせ〟に近い。

徳島と聞くと、誰もが攻撃的で、パスを多く繋ぎ、立ち位置を重視するフットボールと想像するだろう。

ではリカルドにマッシモ的要素がないかといえばそんなこともない。彼には彼の明確なルール、枠組みがある。それは例えば純粋にボールを扱う技術、つまり個人完結型の能力に始まり、場面ごとでの適切なポジショニングから、ボールを奪われた際のハードワーク、球際への厳しさ。つまりチームの〝アイデンティティ〟を表現するうえでの十分な理解が必要だ。

リカルドが〝補強をしても既存選手を越えられない〟と発言した根拠も考えたい。勿論選手のモチベーションを触発する狙いもあるだろう。ただ一方でこの時期に(獲得可能なレベルの選手が)加わったところで、既存グループに簡単に馴染めるほどこの枠組みに入るのは容易でない。そんなプライドもまた垣間見える。名古屋からレンタルの榎本もそうだ。時間はかかる。

では裏を返すが果たして時間をかければどうなのか。

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ウチみたいなクラブは若い選手の価値を上げていけるようにならないといけない。これは500万の若手と3000万のベテランで本当に6倍の差があるのかどうかという話でもあります。監督は『その選手を3000万の選手にするのが自分の役割だと思っている』と言ってくれています。(中略)『若い選手について勇気を持って起用して、その価値を何倍にもしてあげられるんだ』と

今更だが徳島は決して資金豊富なクラブではない。

つまり(本人の中で)完璧な設計図を描き、それを忠実に再現しようにもそのパーツが集まらないのだ。

であるからして、そもそも〝非保持〟つまり〝リアクション〟重視のチーム作りは容易でない。どうしても個人が持つフィジカルな要素がモノをいうからだ。その顕著な例が他でもない名古屋であり、またそのレベルの選手達がそもそも徳島に集まるのか疑問も残る。

そこで大きな意味を持つのが、リカルドがアタッキングフットボールの信仰者である事実。

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大切なのはチームのアイデンティティです。どういうアイディアをベースに戦っていくのかということですね。ウチのチームで言えば、奪われたボールは素早く取り返し、ボールを支配しながらコンスタントに相手ゴールへ迫っていくこと。それを実現する手段としてシステムがあるわけです。そして重要なのは相手があるということです。だから、『このシステムでしか戦えません』という選手ではダメでしょう。これはしかし、チームが機能しやすい『快適なシステム』の存在を否定するわけでありませんよ

彼のフットボールはとても〝日本人向き〟だ。

確かにピッチは広く使うし、サイドで横幅を取り、最前線が奥行きを上手く使うことは間違いない。

ただ彼の場合はそのサイドの選手(WBやSB)とトップの選手(ストライカー)の個人能力に大きく依存していない。彼らがチームの意図するポジショニングと動きを繰り返すことで、結果的に〝中央〟での数的優位を演出し、そこの選手達が相手の間、間を取って攻め立てる。悪く言えば一人では非力でも、グループの単位で見れば強烈な攻撃を生み出す要因だ。そして奪われたらハイインテンシティでボール奪取!これもまた若い力だからこそ効果的に機能する。

また〝主体性〟を担保する重要性にも触れておこう。

私としては見てくれるサポーターが楽しんでもらえるサッカーをしたいですし、そういうクラブとしてのアイデンティティを確立したいという思いもあります。だから創造性のある選手というのは不可欠です。もちろん、いいサッカーをすればいいなんて言う気はさらさらなくて、勝ち点3を獲るサッカーをしたい。『ボールを持って攻撃的なサッカーをするチームだけれど、勝てないね』ということでは意味がない

〝ボール保持〟の発想が前提にある限り、〝主体性〟を失うことはない。主体性があるとはつまり、技術と頭脳の発展とチームの成長がイコールで繋がることだ。それさえあれば、選手達の目的は〝ミスをしないこと〟ではなく、〝アイデアを生み出す〟ことに繋がっていく。またそこに技術と頭脳さえ備われば、柔が剛を制すことだってきっとあるだろう。

もちろん相手がありますから、難しい状況に陥る試合はあります。その時に相手の対策をどう打開していくか。戦術的に困難なシチュエーションを解決できる選手を育てたいと考えています。サッカーは守ることより攻めることを教える方が難しいと思っています。たくさんの練習が必要ですし、しっかりとした分析が不可欠です。映像を見ながら、良い部分を抽出してわかりやすく教えることも大切ですね。そうやって練習でできるようにして、試合で実践できるようにしていく。それが我われ指導者の仕事です。とても情熱的な仕事ですが、毎日悩ましいですよ(笑)

リカルドを語る上でも度々登場する〝相手〟の存在。

「相手を見ろ」が口癖だった風間八宏を思い出す。しかしながら彼らが意図する〝相手〟は少々異なる。

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リカのサッカーはとにかく相手の出方を見て、それに対して『こうボールを動かしたら、ここが空いてくる』とある程度イメージをして、対戦相手のタイプに合わせて表現していく。(中略)リカのサッカーは相手がどこであろうが、前から来るチームであっても、引いて来るチームであっても、“間”を突いたり、的確なポジショニングをとり、連動やローテーションをしながら組み立てていく。相手の動きに自分たちで対応できるサッカーをやり続けてきたので、自分たちがどうこうではなく、相手を見ながら『次はどこにポジションを取ればいいか』を考えて動く

相手を〝個〟と定義し、その破壊を目指し徹底した局面の打開、それに必要な個々の技術(止める蹴る外す)の習得にこだわったのは風間八宏だ。一方で相手を〝組織〟と定義し、盤面の変化を生み出す為の技術(止める蹴る)と、それを見逃さない目(戦術理解)を育もうとするリカルド。相手の背中を取るのか、はたまたそもそも相手のいない場所を取りに行くのか。少数のユニットが都度繋がり合い崩すのか、チーム全体が有機的に動くことで崩すのか。この発想の違い、その難易度とリスク、必要な戦力を考えると、後者の方がより現実的なのは言うまでもない。

毎年主力を引き抜かれても上位争いを演じるその裏側には、リカルドが目指したこれらのアイデンティティが徳島の地に根付いてきた事実が存在する。

4年間、ブレずにこのサイクルを回し続けた事実が。

 

徳島の姿から、我々は何を思う

さて、〝アイデンティティ〟はマッシモにもある。

リカルドの言葉を借りれば、決してチームが機能しやすい『快適なシステム』を否定するわけではない。

問われるべきは、どんなアイデンティティを植え付けることがクラブにとってベストな選択になるのか。

クラブの規模、トップチームにおける既存メンバーの特性、またアカデミーの方向性。縦串でクラブを捉え、最も適したアイデンティティを選択すべきだ。

それにしても今回は徳島の紹介記事ではなかったか。

いや仕方ない。だって徳島の試合を観ていると、気づくと名古屋のことも考えてしまうのだから。

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徳島は素晴らしいチームだ。彼らの姿を追う眼差しは、きっとファン目線とある種の羨ましさが混じったもの。もちろんリカルド最高と言いたいわけではない(いや最高だ)。あるシチュエーションではマッシモに分があるかもしれない、例えばリカルドが資金に恵まれた名古屋を指揮し上手くいくとも限らない。

しかしながら思うのだ。彼らには名古屋が目指そうとした、失ってしまったかもしれない何かがあると。

www.soccer-king.jp

まず、私にはファン・サポーターに楽しんでもらえるようなサッカーをしたいという思いがありました。たくさんゴールが入ったり、ディフェンスの時間が短かったり、ボールを失ってもすぐに奪い返して攻撃をしたり。そういうサッカーをすれば、見に来てくれた人たちが楽しんでくれるのではないかと考えたんです。だから、徳島のサッカーでファンやサポーターが楽しんでくれているとしたら、とてもうれしいです

スタイルの好き嫌いなんて上っ面なものではない。名古屋というクラブそれ自体が結局どこを目指すべきなのか、また我々ファミリーがクラブを通しどんな未来を夢見たいのか。あの日を境に蓋を閉め気づかぬようにしていた想いにそっとノックをしてくるような、そんな大切な問いを与えてくれるチームが徳島だ。

徳島の皆様。豊スタで、J1の舞台で再会しましょう。