みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

【ミシャ式とはつまり合コン方式】第三回 vs札幌

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3-4-3にシステムをいじるってマジですか。

今シーズン初の敗戦(しかもあろうことかゴホッ!ゴホッ!にやられるとは...)、二週間の中断期間ということで、さあでたぞ風間八宏得意のシャッフルが始まったらしい。ヨネを外したり入れたり、千葉ちゃんを入れたり外したり。スタメン予想、無意味だな。実際に形を変えてくるかどうかも全く分かりません。もう3年目で慣れましたね。

「相手には合わせない」「自分達のサッカー」が合言葉の俺たちにとって(ここだけ風間八宏っぽく読んでください)、相手を意識することはしませんね。

ただそうは言っても、次の相手はあまりにも噛み合わせが悪そうだったんです。

「トメルケールvsミシャ式」の仁義なき戦い

ということで次の相手は「ミシャ式」でお馴染み、コンサドーレ札幌

ところで皆さん、「ミシャ式ってなに式だ」ってお思いでしょう。めちゃくちゃざっくり説明するので、当日は意識して観るように!

これが、

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「よしっ!攻めたるで!」となるとこうなる(ミシャ式の出来上がりヒャッホ-!)。

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つまり攻守でシステムが「可変」し、3枚だった最終ラインが「4」に、3枚だった最前線が「5」に、中盤はとりあえず1枚だバカヤロウ!という強気な手法。札幌の最終ラインに目を向けると、ビルドアップの場面、相手の出方によっては規則的に4になるだけでなく、ときに宮澤と荒野、深井の3枚でビルドアップを始めることもあれば、福森だけサイドにあげて宮澤と荒野、進藤の3枚ビルドアップのパターンもある。つまり「相手の守備の基準点(「札幌のこいつにボール入ったら仕掛けるでー!」)をズラす、惑わす」ことが狙いの一つ。的を絞らせないってことですね。後方から丁寧にビルドアップしてきます。そのために最終ラインのセンターは本職ボランチの宮澤、両ストッパーも攻撃時はサイドバックの役割を担えるほど機動力がある。ゴールキーパーであるクソンユンも上手くビルドアップに混ぜてくるあたり、その点名古屋よりよく仕込まれていると言えるでしょう。

ちなみにスタメンに4人ものユース上がりの生え抜き選手が名を連ねるのも特徴。個人的には荒野が推しです。良く動けるし、ボールも簡単には失わない。ミシャ的には柏木陽介のように手塩にかけて育てたいんでしょうか。なんにせよ、これだけアカデミー卒の選手が上でやれているのは、率直に素晴らしいと感じます。

さて、次に名古屋陣営と噛み合わせてみましょうか。今回はあえて4バック前提で。札幌は黒で塗りつぶしてやる。

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分かりますか?拡大しますよ。

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急にふざけるなとページを閉じるのはおやめなさい。「何故前に5枚並べる必要があるの?」、この疑問に誠実に応えるうえで、最も誠実ではない例えこそが理解への鍵だと確信しました。長い時間考えた末の結論だ、聞いてください。

はいお互い机に向き合って座り終えました。我々の右サイドから対面の相手を確認していきます。宮原!菅さんですね。これは菅さん喜んでいるでしょう。しんちゃん!チャナさん。じゃじゃ馬な予感がプンプンします。マル!アンロペさん。これは完全に暴れ馬。イノシシ!ルーカスさん。多分奥手ですがハマればグイグイ来ます。

....ん!?武蔵さんは!?武蔵さんは誰がお相手するんやっ!!

これです(伝わったと信じて進めます)。「相手一人余っとるやんかっ!」これよこれ。例えば合コンに行った際、今回のように男性4、女性5だったらどうですか?最高ですかいやそりゃ最高でしょうよ。ただ余ってる一人は誰がお相手しますか。気の遣えるモテ男なら、普通余ってる一人の女性を放っておかないでしょう(当然ながら僕は手を差し伸べます)。ただ脇見運転すると隣にいる女性は気づかない間に離れてしまっているかもしれない。「この男は他の女にもうつつを抜かして退屈ね」と。もしかすると、ゴールという名の自宅に帰ってしまうかもしれない。武蔵さん帰らせていいんですか?いや良くない。もちろんマルが武蔵さん相手してくれたとしても、そのときはアンロペさんが馬力100%で自宅に全力シュートするでしょうよ(入るかは知らない)。結局合コン未参加のミッチ頼りですかと。ハンサムでも機嫌を損ねた女子は手に負えないかもしれない。そしたらもう自宅着いちゃいます。そう、こうやって男性に二択を迫って、悩ませた挙句離れていくのがミシャ式です。そう理解することで話を押し進めます。

 チャナティップどうすんの!?」

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皆さん、この名言はご存知か。これはですね、昨年の湘南vs札幌戦で、湘南の金子大毅が若気の至りで曹貴裁監督に言い放った一言です。「チャナティップどうすんの!?」すごいですよ、曹さんはこう返しました。「知らん!自分で考えろ!」。おっしゃる通りですね。テメーの合コン相手なんて知ったこっちゃねー。

いやはや、チャナティップが自由気ままな女なんですよ。

相手のディフェンスラインの隙間を縫ったり、相手のボランチ脇で受けたり。嫌がることをしてきます。口癖は「サイコー!!」。俺たちの苦手なパリピ女子確定。さすがに名古屋の選手が風間監督にタメ口きくとは思えませんから、スタンドからぼくたちが言ってやりましょう。「チャナティップどうすんの!?」と。ちなみにそんなチャナティップ、攻撃では釣れないあんちくしょうですが、守備では相手の中盤の選手にきっちりついてくる。マンツーマンとまでは言いませんが、ミシャの指示のもと、相手のボールの出どころであるボランチにしっかりと。札幌は守る際、後方は両ウイングバックが最終ラインに降りて5枚でラインを作りますが、その前の選手達の配置は相手によりけり。「5-2-3」もあれば、「5-3-2」もあると。ときに「5-1-2-2」もある。つまり相手の中盤の構成に合わせて変形してくるのが特徴。第2節の浦和戦では、相手の中盤3枚に対して荒野と深井にチャナティップを加えて同数の3で対応。第3節の清水戦では、荒野のポジションをチャナティップの横まで押し出して、河井と竹内の2枚に同数の2で対応。ということで、おそらく名古屋のジョアンとヨネにもしっかり人をつけてくるでしょう。特にジョアンには、当然ながら警戒レベルマックスで対応してくるはず。

大の苦手、忘れちゃいないぞ鈴木武蔵

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いやー、武蔵が代表って、実質名古屋の勝利ですよね。どれだけ裏に抜けさせてやったのかと。忘れていません昨年の記憶。まー走られました。正直、前向いてよーいドンでは、最初の一歩目でそれなりに差をつけられるでしょう。そこの潜在能力は、やはり日本人離れしてる。

兎にも角にもスペース大好き裏抜け大好きなフォワードで、相性は「最悪」です。前節の苦い記憶を思い出し、もう同じ轍は踏むまいと意気込むしかございません。

migiright8.hatenablog.com

「福森」の役割はつまるところガヤ芸人のそれ

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札幌のストロングポイントの一つとして、やはり福森の存在は避けて通れません。で、これまでの話の流れを踏まえた上で、彼の役割を分かりやすい表現で伝えられないか、そう考えました。ということで、改めて札幌の陣容を確認します。雑に分けるとこんな感じになりました。

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お笑い番組に馴染みがある方はピンとくる自信があります。先ほどの合コンの話に、「ひな壇」というポジショナルプレーの概念を加えましょう。合コン参加中の前列5人はいわゆるひな壇の1段目。トークの主役であり花形ですよと。チャナティップお笑い番組に参戦した米倉涼子だと思ってくれれば良いです。2段目、深井一人と。実際はここまではっきり分かれませんが、「中盤空洞化」と呼ばれるミシャ式を見事に体現してますね。で、やっときた最終ラインの面々。つまり3列目、そういわゆる「ガヤ」です。基本合コンには関与しておりません(荒野は前でてきますけどね)。

が、一人だけひな壇の後方端からチャチャ入れてくるやつがいるんだ。それが「福森」。

あの悪魔のような左足(ガヤ)は危険極まりないぞ。攻撃時はサイドバックのポジションが定位置。ただしわりと彼は自己判断でファジーなポジション取りをします。札幌としても、彼の攻撃力は当然織り込み済みで、右の進藤に比べると、プレーエリアも高く、そして広い。低い位置からアーリーでゴール前を狙ってくる(チャチャ入れてくる)こともあれば、菅を追い越して大外からサイドバックの如く駆け上がる(1列目に乱入してくる)こともある。札幌は左右のバランスが良くて、ストロングポイントは右のルーカスフェルナンデス。左はその分、 菅と福森が上手く絡んでくるので要注意。

イメージ湧きましたか?つまり福森はアメトーーク!でいうフジモンである、こういった結論となりました。ありがとうございます。

名古屋と激似な弱点

これまでを見るとわかる通り、攻撃はなかなかに強烈。中途半端に攻める、守るではおそらく滅多打ちにあうでしょう。ただだからこそ似てるんです、そう我々に。

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ミシャ式破壊の王道は「がっちりブロック組んでからの中締めて奪ったらカウンター」。これでつい先日、鹿島が札幌を往復ビンタしました。鹿島からすればプラン通りもプラン通り、こんなに上手くいくものなのかと内心ほくそ笑んでいたでしょう。それくらいハマるときは綺麗に、そしてあっさりとハマります。チャナティップどうすんの!?問題も、「安心してください、永木ならここにいますよ!(古い)」と、きっちり永木に追撃させて撃退。こざかしい鹿島は、札幌の右サイド、ルーカスフェルナンデスが相手のストロングであり、ウイークポイントでもあると判断。売り出し中の安倍をタッチライン際に張り付かせてルーカスを惑わせ、空いた内側レーンをこれまた売り出し中の安西がカットインして徹底的に使うことで、主に札幌の右サイドを攻め立てました。

で、同じ日に同じようにハメられたのがそう我々。今更思い出すつもりもないですが、ざっくり言ってしまえば、同じようにハメられたと。かたやカウンターで(札幌)、かたやショートカウンターで(名古屋)。お互い共通しているのは「ネガティヴトランジション(攻から守の切り替え時)に弱いこと」。札幌は独特なあのミシャ式の弊害(中盤の空洞化、可変した影響)、名古屋は相手陣内でハーフコートサッカーを志向するが故のハイラインの弊害。ボールを奪われると、中盤の人数薄い、選手の配置もシャッフル状態で簡単にボールを運ばれてしまうのが札幌、同じく簡単にライン裏を通されてしまうのが名古屋とでも言えばいいだろうか。

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冒頭に話は戻りますが、名古屋はまさかまさかの3-4-3にシステム変更という話がある。いや、そりゃ風間さんから言わせれば「俺たちが攻撃しやすいようにやっているだけで、システムは11」と相変わらずつれないブッとんだ言葉を残すでしょう。

ただそうは言っても名古屋とこのミシャ式は噛み合わせ悪いはずなんですよ。

俺たちは合コン下手(だって相手に合わせるつもりはないから)

とにかく、この合コン方式が苦手といいますか、どの選手も優柔不断といいますか、選手間に立たれると不味いのはこの動画を見れば一目瞭然でしょう。その点改めての説明は割愛することにして、つまり意図してか意図せずかはともかく、今回は結果的に風間八宏名物「ミラーゲーム」になる可能性もありえると(以下参考記事)。

https://matome.naver.jp/odai/2140821143219752501

昨年の豊スタ神戸戦に代表されるように、風間監督はピッチ上の噛み合わせを整理する際、最低限の処置としてこの「立ち位置の変更」を多用します。神戸戦のときはこんな表現をしていました。

そこで後半は立ち位置を変えて相手が遭遇するようにした

と。各々が誰を見ればいいか、ある程度クリアにしてあげて、あとは個人戦術やぞお前らと。ミラーゲームとはつまり「各々の対面に相手がいる状況」。当然これまで書いてきた通り、札幌側も立ち位置は変幻自在に変えてくるので、そこまでシンプルな話ではないものの、押さえるべきポイントはこれで解決をはかる可能性もありえる。チャナティップとアンロペ(今更だけどパリコレの元モデルではない)に気持ちよくプレーさせたら詰みますからね。つまり彼らにスペースを与えて簡単に前を向かせるシーンが多発すれば、まず戦い方が「ハマっていない」と考えて間違いありません。というところで、先日の敗戦、さらに代表ウィークで空いたこの二週間は一つポイントかもしれませんね。十分すぎるキッカケと時間はあったと。

さて、どうでしたでしょうか。私はですね、こう思います。風間八宏とミシャペトロビッチは遠い血縁関係なのだと。手法は異なります。我々はトメルケール、札幌はミシャ式。ただその土台にある哲学とでも言えばいいだろうか、ロマン、ですか。これが決定的に同じ。

攻撃大好き、ボールを奪われなきゃええんや!

どこかでこのフィロソフィーを漂わせる両者の激突だと、そうお考え下さればこの試合、盛り上がります。あえて型を与えないヤヒ式と、流石に型は与えるミシャ式。ただ行き着く先は同じ、「殴って殴って殴り続けたい」。鹿島の戦いなんてアテにするか、お互い玉砕覚悟だこの野郎。なにがミシャ式なんのこれしき、俺たちの風間八宏vsミシャペトロビッチは、もはやそんな名物対決なのでございます。

ご清聴ありがとうございました。