みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

ざっくり振り返る2022年のJ

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予想とはなぜにこうも当たらないのか。

Jリーグ新戦術レポート2022 著:西部謙司』を読み、ふとシーズン前のエルゴラッソ対談企画を思い出す。

ちなみに記事の最初の見出しがコレ。

打倒川崎Fの資格は総得点数80以上!?(みぎ)

結果、優勝した横浜F・マリノスが70、川崎フロンターレに至っては65。資格がないのはお前(みぎ)だよ。

ちなみに対抗馬に推したのがヴィッセル神戸(13位・35得点)、あと浦和レッズ(9位・48得点)。人の予想などアテにならないと安心するでしょう。付け加えると、心の中の降格候補は柏レイソルでした。柏レイソルのファンサポーターの皆様、申し訳ございませんでした。豊田スタジアムでの柏戦、めっちゃ強くてビビりました。

名古屋をみて、鳥栖をみてから徳島みて。一節に対して3試合観ていても他クラブのことは案外分からない。

そこで『Jリーグ新戦術レポート2022』を手に取った。

めちゃくちゃコア向けというわけでもなく、かといってライト層向けかといえばそうでもなく、つまり、ほど良い。噛み砕いてリーグの状況と全チームの戦術に言及しているので、小難しい戦術話に抵抗がある人もコレなら楽しめるだろう。タイトルの硬さの割に、柔らかい。

そこで、気になったチームをいくつか挙げてみよう。

 

川崎フロンターレ〜強すぎたのが悪い〜

最近になって、2021の名古屋グランパスシーズンレビューDVDを観た(今頃)。タイトルは「THE DEEP」。覚えているか名古屋川崎の頂上決戦。悪夢の0-4を。

このDVDは、レビューという名のドキュメンタリーだ。普段は目にすることの出来ないチームの裏側を追った流行りの作りとなっている。ゆえに、悪夢の0-4を終えた選手たちの姿も収録されているのだが、ここに映る木本恭生のボソッと呟く一言がとにかく秀逸なのだ。

上手いな....めっちゃ強い。全然違う

そう、2021の川崎はアホみたいに強かった。

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あれから一年も経っていないが、今季の川崎は苦しんだ。本書内で西部氏が指摘したのは以下2点である。

  • 相手の対策が進んだこと(ビルドアップの停滞)
  • 主力の海外流出

前者の深掘りはファンサポーターに任せるとして、個人的に取り上げたいのは「主力の海外流出」である。

いやはや、正直、甘くみていた。あれだけチームのベースが確立していればなんとかなるやろ!と思っていたが、結果だけみれば「流石に抜けすぎた」のだろう。

エルゴラ対談の際、対談相手のささゆか氏が「(川崎の弱体化を狙って)セルティックまじで頑張れ(意訳)」とコメントしていて笑ったが、指摘の筋としてはズバリだったわけだ。さすが新王者。但し、セルティックに限っていえば、川崎よりむしろ横浜の弱体化を狙った動きが目につき、そこはマジでポステコグッジョブ。

www.kanaloco.jp

そうそう。川崎といえば今オフに京都サンガから上福元直人を獲得した。ライトな徳島勢の私としては「何で今さら上福元」だったわけだが、本書を読んで妙に納得。

www.frontale.co.jp

ただ、谷口のカタール移籍は流石に斜め上で震えるぜ。

 

ヴィッセル神戸〜我慢の言葉は辞書にない楽天

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三木谷オーナーの意向が読めません。

今季も2度の監督交代で、良くも悪くもリーグに話題を振りまいた彼らだが、最後は自力で生き残った。

川崎横浜に続くポテンシャルならヴィッセル神戸

裏切られたぜ楽天には!予想を外すなら北澤かみぎと言われそうだが、それだけ期待していたということだ。

西部氏は、ヴィッセル最大の問題をイニエスタにみる。

といっても、当然、彼の能力には疑いの余地などない。問題は、このスーパースターの位置づけにある。

その指摘は本書に譲るとして、彼のクダリで思い出したのは2020シーズンの川崎における中村憲剛だ。(大怪我がきっかけの一つだったとはいえ)あの立ち位置は今さらながら絶妙だった。基本は「いない前提」、但し、戻ってきても「居場所がある」。西部氏は、ドラマのエンドロールに例えて、『「主役」とするか「特別出演」とするか』が大事だと述べている。あのときの中村憲剛は、まさに「特別出演」だった。いきなり出てきてオイシイとこだけ持っていく。いなくてもショートケーキの美味さは変わらないが、いたらいたで載ってるイチゴだけ妙に高級。この絶妙な変化。でも、それがベストだ。

つまり、一人の選手にチーム丸ごと依存する(左右される)のは、現代のフットボールでは致命的であり、それが40近い選手となれば、あまりにリスキーだといえる。

もちろん、応援するファンサポーターからすれば指摘したい問題点は他にもあるだろう。しかし、他チームにはないこのスーパースター問題をチームとしてどう考えるかは、監督にとってはやはり悩ましい問題なのだ。

神戸といえば、余談を一つ。

実は、対談内で「今季(2022)期待の若手は?」の質問があった。私は「ヴィッセル神戸の小林友希!」と挙げたのだが、あいにく司会を担当したMCタツ氏の編集で闇に葬られ御蔵入り。しかし、今季はリーグ戦28試合に先発、今オフは遂に海外進出決定と、出世の階段を登りつつあることを喜んでいる。左利きのセンターバックを「リーグとして」育てていく。想いは伝わったのだ。

www.vissel-kobe.co.jp

移籍先は、またもセルティック。ポステコ氏の海外流出で横浜を恨んでいるのは間違いなくシントトロイデン。

※ちなみにMCタツさんはあの通り見た目派手ですが凄く優しかったです。「俺は嫌われてるから」と自虐しつつ、お願いしたら著書を全部送ってくれる紳士でした

 

サガン鳥栖〜西部氏も虜になったチーム〜

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西部氏曰く「国内で最もポジショナルプレーを実装出来ているクラブ」は、このサガン鳥栖

しかし、そもそもポジショナルプレーの定義は難しい。

だって、例えばサガン鳥栖徳島ヴォルティスを比較したって同じでないから。何が正解なのだろう。だったらどちらも追えばいいじゃん!が個人的な結論です。

今季は監督も代わり選手も総入替上等な状況だったものの、「変わったようで変わってない」と感じた西部氏の印象は、手前味噌だが私の感想と全く同じである。それを「不思議にも」の五文字でまとめた西部氏に対し、不思議で終わってたまるかと、しつこいほどの文字数で解き明かした私のブログがこちらです(宣伝)。

migiright8.hatenablog.com

さて、西部氏が本の中で多用する「ポジショナルプレーの壁」について、今オフの鳥栖は「そんな壁は尖った個性でぶっ壊す」と、積極的な補強を敢行。なお、個人的に期待してるのは樺山諒乃介。立ち塞がる壁にはやはりドリブラーだろ!ってことで、そろそろ覚醒してくれることを期待。また、今季は「ボールを持つ」ことに対し昨季以上に拘っていた鳥栖であるからして、肝となるボランチ(心臓)が変わるのも興味深い。ロアッソ熊本から加入する河原創がメインになると予想するが、個人的には〝天才〟手塚康平の覚醒に期待といったところ。

唯一、不安があるとすればストライカー。

(俺の)宮代大聖と垣田裕暉がチームを去り、富樫敬真と横山歩夢のポテンシャルに賭けた結末やいかに。

ちなみに来季の注目選手は西川潤〝一択〟です!

 

コンサドーレ札幌〜この本最大の見どころ〜

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地味に西部氏の愛が注がれている気がするのは札幌。

愛とは札幌のクラブそのものというより、ミハイロ・ペトロヴィッチに対してである。ただ、決して西部氏がミシャのフットボールが大好物というわけではない。ミシャの人間性フットボール観みたいなものに、「理解がある」ことを意味している。この本の裏テーマとして、「これからのフットボールはどうあるべきか」との問いが存在するのだが、その点、ミシャを通して感じるものがあるのだろう。それは、本書内の対談相手である風間八宏氏からの影響もあるだろうし、実際に対談の中でその話題にも触れている。そう、やっひーも登場します←

札幌のファンサポーターは70〜71ページを読みなさい。個人的には正座して読むべき箇所だと思っている。

そうそう、札幌といえばページの出だしが最高で、

札幌は特殊なチームです(太字)

から始まります。知ってるわ!とJリーグ全チームからツッコミが入りそうなこの一言目は悔しいかな笑った。

あとは基本真面目なトーンで進む西部氏の文章なので、

順位は上がらないのですが、年に何回かは感動的な素晴らしい試合を見せてくれます

の箇所も意図しない失礼さが入り混じって大好きです。

 

名古屋グランパス〜西部氏をもってしても....〜

きました大トリは我らが名古屋グランパス

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戦術マテウス

いや....まとめ楽!!!!!!!!!!!!!!!!

もっと名古屋にページ割こうぜ西部さん!でも悔しいかな言い返す言葉もないから秀逸なまとめだと思います(実際はもう少し言及されています)。

まあいいんですよ....僕はね、まずは健太さんの来季を全力で応援します。で、ユンカーいやキャスパー(照れ)を獲ってですね、キャスパーとマテウスの俺様っぷりに頭を抱える健太さんとピッチでキレる永井が観たい。ハイプレスがしたいのに水がダダ漏れで堅守速攻に立ち返る名古屋。で、キャスパーも永井も裏に抜けてばかりでポストプレーヤー不在に嘆く自分。ああああああああ!!!!!(混乱)来季も(ろくに行けないだろうに)お高いシーズンチケット買いましたよ。いいんだよ、もう名古屋に関しては駄目なとこも含めて「常にいる(いないと駄目な)存在」だと思っているので、妻ともそんな愛で繋がれる関係に私はなりたいと思っています(脱線)。全部が愛おしいそんな関係に(死)。

でね、近い将来あわよくばリカルドロドリゲスとか引っ張ってきて、「アタッキングフットボール解禁します!」なんて言っちゃうグランパスをどこか夢見てるのも打ち明けます(4年くらいは腹の底に抱えてます)。

正直にいえば、昨季までのマッシモ体制で「もう名古屋=堅守のチームでええやん!」と少し思ったんですよ。面白いかどうかとか、好みかどうかなんてどうでもよくて、つまり「名古屋らしさ」はどっちやねん!と考えた際に、どこかしっくりきてしまった自分がいて。中途半端で何がしたいか分からないのが一番嫌なのです。別に(風間時代然り)あそこまで全振りしなくてもいいのだが(汗)、しかしながら「名古屋のフットボールはこんな魅力があるよね!」と、自信を持っていえる特徴が欲しい。ただまあ再来年には優秀なボールプレーヤーが大学から帰ってくるわけですから、どうせなら「ポジショナルでハイプレスなチーム(実はこの本で散々語られる潮流がコレ)」を見てみたいなあ....なんて年末だから言ってもいいですか。もちろん健太さんは全力応援です。

そんなこんなで来季の隠れ願望を書いておく。

神戸よ頼むから吉田孝行で高みへ行け(解任やめろ)。

 

終わりです

さて、この『Jリーグ新戦術レポート2022』であるが、前述したように途中で風間氏との対談もあれば、なぜかワールドカップ後の日本代表についても触れられており、「これはJリーグの戦術と何が関係あるのか....?」と思ったのが(読む前の)本音である。

例えばそこの風間氏。貴方はこれからサッカー界に一体どれだけのクローンを作るつもりなのか。

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10万人の子供に教えるより、指導者10万人に指導した方が早い

相変わらずすぎる(安心してください慣れています)。正直、この対談だけは「新戦術」から遠く離れたものである気がするが、まあなんというか、元気で安心しました。セレッソU-18はプレミアから降格したが、彼らの未来がどうなるかは、個人的に期待しています。

とまあ少々脱線してしまったが、実際は読めば分かる。

風間氏との対談も、日本代表のことも、「これからJリーグはどうあるべきか、どうしていくべきか」が重要なテーマとなっていることに。だからこそ、ワールドカップが終わった今読んでみると面白いと思う。ちょうど年末年始だし、実家行ってもやることないだろ(暴言)。

とりあえず札幌の皆さんは明日本屋に行きなさい。