みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

【宮原和也をエウソンに】第五回vs広島

[http://Embed from Getty Images ]

ゴールまであと一歩。

この「あと一歩」が、彼のサイドバック人生を更に花開かせるのでは、そう感じ始めております。いや、タイトルには大袈裟に「エウソンに」なんて書いていますが、別に彼の二番煎じになる必要はなく。あえてそう表現したのは、このチームが立ち上がった際、サポーターがイメージする「風間八宏の理想とする右サイドバック像」が、やはり攻撃的であったこと。そこから連想する選手がどうしてもエウソン(今更ですがエウシーニョのことね)になってしまうことが挙げられます。思い返せば、実際にそういった声、多かったですよね。「宮原をエウソンのように!」と。いや、ルックスなら負けてねーよ?プレーです、プレー。わたしはですね、なんだか段々とそれに近い存在に変貌してきていると感じております。ということで、今回はまずこの話題から。

たぶん、いま「第四形態」

【第一形態~第二形態】イケメンがトメルケール

[http://Embed from Getty Images ]

振り返ると、風間体制一年目の2017シーズン。ここまで遡ります。このエピソードも何回語ったかって感じですね。徳島戦です。そうですね、詳細は「和也三部作〜エピソードI〜」を時間があるときにでも是非読んでくださると嬉しい。

migiright8.hatenablog.com

何度も書くのも気が引けますが、読む時間がない方もいるでしょう。ざっといきます。

この試合の宮原、まさかまさかの前半での交代劇。試合後、風間監督からはキツイ指摘が入りました。

和也に常に伝えているのですが、彼は技術もスピードもありますがトライしない部分があります。後ろへ逃げてしまうことで、相手に勢いを出させてしまうことがある

普通それなりに堪えます。ただあのジャニーズばりのルックスで、実は彼、「超」ハングリーだった。とにかく止めて蹴りました。結果「ボールを晒す」技術を会得。ちょっとやそっとでは動じない、見事なボールプレーヤーに生まれ変わりました。もともと何で培われたのかは知りませんが、相手との駆け引きも小憎たらしいほどのレベルでして(詮索はしません)、そんな能力も一役買った感があります。控えめに言って、好きです。これが「第二形態」(ちなみに第1形態は、加入当初の「守備が得意なイケメン」、です)。

【第三形態】求ム積極性

[http://Embed from Getty Images ]

もはや風間監督にとっては欠かせない右サイドバックに成長した宮原ですが、サポーターとは欲深い生き物でして、次から次へと要望は増すものです。次はこれ、「ビルドアップは満点。でも攻撃力が物足りないっ!」。贅沢すぎる。イケメンでボール持てて守備は抜群なのに、そこに積極性まで求める。好きなら自分から告白しろよ!って私なんかは思いますけどね、これが時代でしょうか。次は積極性と(呆れ)。

はい、「和也三部作〜エピソードII〜」どん。 

migiright8.hatenablog.com

翌2018シーズン、夏場まで断トツのビリケツだった名古屋に、しかも宮原とは逆サイドですが「同じポジション」に一人の救世主出現。それが横浜Fマリノスから加入した金井貢史。「何故そこに金井!?」とはもはや彼の代名詞ですが、まー彼がサイドバックなのにバカスカ点を獲る。時々は守れなんて思ったりしますが、これがまた我々的にもエキサイティングな選手でして、一躍人気選手に。そしてこれに火がついたのが宮原。おそらくこの「積極性」であったり「攻撃力」は彼自身も課題としていたんでしょう。金井から刺激を受け、トヨスポ(練習場)でも二人で自主練する機会が大幅に増加。主にスプリント。新任の柳下コーチが運動神経の鬼みたいな人で、彼の指導により走力であったりアジリティも上がったように感じます。この頃から、相手ペナルティエリア付近までボールを持ち上がったり、終盤になると彼の縦への突破が効き始めるようになりました。和也、遂にここまできた。控えめに言って、好き。これが「第三形態」。

【第四形態】ここまできたらやっちゃえ、和也

[http://Embed from Getty Images ]

そして今年。「和也三部作〜エピソードIII〜」はこのブログ。

「アレ!?和也、途中交代増えてね?」そうなんです。この二年間、名古屋における絶対的レギュラーを守り続けた唯一無二の男といえば宮原和也。そんな安定感抜群の男が、今年は試合途中でベンチに下げられることが増えました。理由はなんでしょう。基本的には相手にリードされ、追っている時間帯に見られるケースなので、案の定「攻撃力」なのか。はたまた昨季終盤に負った重度の肉離れの影響で、あえて無理をさせていないのか。真実は八宏の中。ただ私としては、追っている展開で不慣れな和泉を右サイドにもってくるくらいですから、やはりまだまだ攻撃力に風間監督が満足していないのではないか。そう考えます。

ただ宮原和也、ここで終わる男ではなかった。明らかな変化が見られたのは札幌戦。まず二点目のオウンゴール

和也...おまストライカーか...。つづいて三点目のジャスール。

万歳してたのにゴール前に和也。更に四点目のシャビエル。

ハッハッハ、イケメンを囮に使うたーやってくれたなシャビエル。

見た!?誰よりもゴール前につめてるの和也じゃん!ボールくれやっ!そう、遂にペナの中まで和也進撃。点が獲りたくて仕方ないのですね。というのは冗談で、どうやら風間監督に相当言われているらしい。誰よりもゴール前に詰めててそれはそれでちょっとウケますが、とうとう彼はここまで来ました。好きだ。ということで、彼は今「第四形態」です。

まとめます。これが和也の歴史です。

f:id:migiright8:20190425010637p:plain

我々の合言葉、これも重要ですね。むしろ強く主張したい。

シャビエルから、パスがこない(悲報)。

これはですね、先日発売されたサッカーダイジェストに掲載された、相馬くんのインタビューがとても参考になります。以下、簡単に引用致します。

その後の試合でもアシスト出来たことで、ブラジル人選手達もシンプルにパスをくれるようになったんです。(中略)僕を頼ってくれるというか、シンプルに「さあ勝負してみろ」というボールをもらえるようになりました

とは言っても、宮原のインタビューを読む限り、彼の意識としては「点が獲りたいからパスくれ!」なんて俺様的発想ではなく、「僕はあくまでもシャビエルがプレーし易いように走ってるだけなんで」なんてギャップ萌え的発想なので、これでいいのかもしれませんが。ただ、今の宮原に必要なのは、「目に見える結果」だけですよね。もはやこれだけだと言ってもいい。表立っては目立ちませんが、例えば本職である守備だと先日の横浜戦。正直、うちの両サイド宮原と吉田じゃなきゃ終わってましたよ。あれだけ走れてあれだけ1on1に勝てるサイドバックがいるから我々のあのサッカーは成立する。今年、金井がサイドバックとしてなかなか使ってもらえないのも、一見「また風魔改造か」と揶揄われそうな相馬サイドバック化も、理論上は理解できるわけです。物凄い運動量と、物凄いスプリント力と、物凄い1対1の勝率がある選手じゃないと無理(語彙力)。そこに得点まで求めるのは...もうサイドバックじゃねーじゃん。ハッ!だから我々のシステム「11」なのかっ!(困惑)。点を獲ってこそ、我々が夢にまでみた宮原和也の理想像に近づくのでしょうか。

容姿端麗(走れる)、頭脳明晰(守備上手い)、性格良好(ビルドアップ抜群)。普通ここにカラオケまで上手い(点も獲れる)ってきたらもう嫌いになるレベルよ。和也ー、おれはこれ以上なにも求めないから抱いてくれー。

そして次の相手が、彼の古巣「サンフレッチェ広島」。

全てを知り尽くした仲間たちとの再会

[http://Embed from Getty Images ]

昨年の対戦数「5試合」。寿人が何回やるんだとウンザリしていたのは記憶に新しいところですが、当時レンタル扱いで名古屋に加入していた宮原は契約の都合上、出場することは叶いませんでした。おそらく、この試合に出場したいと誰よりも願っていたのは他でもない宮原自身ではないでしょうか。

広島は、特に今年大きくチームが変貌しています。ボランチには彼の同期でもある川辺駿。シャドーには一つ上の代である野津田岳人。3バックの中央には彼と同世代である吉野恭平。そしておそらく彼が広島時代に期待されていた森崎和幸のポジション。ここには彼より後輩にあたる松本泰志を抜擢。怪我人の影響はあれど、まさに「世代交代」の真っ只中、これが今の広島です。

もしかすると、宮原和也の世代がずっと夢見てきた姿が今の広島なのかもしれませんね。彼らの世代が台頭した時、広島はまさに黄金期を謳歌していた。「いつか自分たちがこのチームの主力に」そんな思いを抱いて彼らがプレーしていたことは想像に難くありません。それくらい、当時の彼らにとって例えば佐藤寿人森崎和幸千葉和彦などは高い壁だったことでしょう。そして彼らは外で修行することを選んだ。川辺はジュビロ磐田で、野津田は主にベガルタ仙台で、吉野は京都サンガで。そして宮原は降格した名古屋を選んだ。

それぞれが結果を残し、既定路線ともいえるレンタルバックで今まさに広島の主力を担うまでになったわけで、その意味で広島の戦略は十分成功であると評価出来るし、賛否両論こそあれど、今のメンバーで結果を残している城福浩も賞賛されるべきでしょう。そして、そんな出来すぎた物語の中で唯一、宮原和也だけが違う道を歩む選択をした。彼だけが、広島の地に別れを告げたわけです。

望まれた道を選んだ者、異なる道を選んだ者

[http://Embed from Getty Images ]

現在の広島は、堅い守備をベースとしたチームです。昨年の4-4-2から慣れ親しんだ3-4-2-1に形を戻し、若手を主体としたチーム構成で昨年のマンネリを打破。今のところ2位という成績に繋がっています。「まずは守備をベースに」この方向に舵を切ったときの城福浩のチームはやはり手堅く、国内のどのチームも苦戦しているというのが今のJリーグの実態。これは広島に限った話ではなく、例えばFC東京が好成績を残しているのも多分に同じ理由でしょう。どこも崩せない。

おそらく、宮原は名古屋に来なければ現在のようなプレースタイルになることもなかったし、その意味で、彼だけが広島の仲間たちとは全く異なる道を選んだのだと、彼らの試合を観ていると感じます。少なくとも、先に挙げたような進化を広島で求められることはなかったでしょう。

彼がもし今も広島に残っていたら、果たしてあのチームでどこのポジション・役割を務めていたんでしょう。ウイングバック?ストッパー?いや、ボランチでしょうか。また、彼とともに未来を夢見た仲間たちは、どんな気持ちで彼と対峙するんでしょう。彼らが広島の未来だと信じて疑わなかった広島サポーターの方々は、名古屋の宮原と初めて対峙し、どんな想いを抱くのでしょう。そして広島を愛し、広島で育った宮原和也は、初めて対峙するサンフレッチェ広島というチームに、どんな姿を見せてくれるのでしょう。

[http://Embed from Getty Images ]

一つだけ言えるのは、我々は広島には絶対に負けてはいけない。確かにチーム全員がハードワークする、まさに城福浩の色に染められた好チーム。ただ彼らのようなチームを打ち崩せないようであれば、目標とするACLは遠のきます。FC東京、鹿島、そして磐田。この手のチームとの試合はもう何試合も重ねてきました。あの守備ブロックを打ち崩してこそ、我々は胸をはって言える。「攻撃サッカーである」と。

また、名古屋を選んだ宮原和也の道が間違ったものではなかったのだと証明するには、このスタイルで、二年強で築いてきたこのサッカーで、我々は広島に勝たないといけない。彼しか持ち得ない守備センス、絶対に怯むことのないボールコントロール、圧倒的なスプリント力、そしてゴール前に飛び込んでいける勇気。

我々の右サイドバックを見せつけてやりましょう。