みぎブログ

主観で語りますフットボールを。

貫いた先に待っているものとは

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保育園で購入した娘の写真を眺める僕に妻は言いました。

「何か気づくことある?」

可愛い。気づきました可愛い。娘可愛いです。遠足でお友達と楽しそうに写ってます。ん?どうやらそこじゃない。

「レジャーシート、買ってあげないとね」

え?なんでですか?

「!!!!!!!!!!!!!!!!!」

僕があげたグランパスくんのレジャーシート。裏返して敷いています。1人だけ、たった1人我が娘だけが裏返して、おにぎり食べながらカメラ目線でにっこりしています。

「好きな柄だったら絶対にそんな使い方しないからね」

気を使ってんのよと笑いながら語る妻。絶句する僕。

またしても敗戦

娘に父の趣味は裏返され、一方で父に目を向けますと、こちらも裏返して消し去りたい敗戦が続いております。

誰が「鯱の大失態」だ。我が家か。我が家のことですか。

現在の我が家は父の魂が不在ですが、名古屋はといえば今回の東京戦、主力が4名不在でした。代わりにチャンスを掴んだのがアカデミー卒の成瀬、そして藤井。試合の中でどんどん変化する彼らのプレーは純粋に楽しめました。というか、それくらいしか楽しめるものがなかった。残りは裏返します。

チームとしての出来は厳しかったですね。流石に主力が4枚も欠け、誤魔化しは効かなかった。それは決してアカデミーの選手達を問題視しているわけではありません。純粋に、この日のチームの機能美とでもいうのでしょうか。あまりに継ぎ接ぎで、誰もが悩みながらプレーしている様子が手に取るように伝わりました。ボールを受けてから次の手を考える。またはボールを受ける前から次の手を打つ余裕がない。

端的に「目が揃っていなかった」ですね。揃わないからボールも流れない。流れないから、チームの繋がりを感じない。あのメンバーで、あの形で、どう相手ゴールに迫るのか。そのゴールから逆算した道筋がどうにも見えませんでした。期待はマークを瞬時に剥がすジョーだけ。ボールが前に進まないから、シャビエルもアーリアも中盤に戻って四苦八苦。裏に抜ける選手は皆無、唯一ゴールから逆算した動きを続けるジョーだけが、得点の香りを醸し出す希望でした。

「キャスティング至上主義」

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こう言ってしまうと極論が過ぎるかもしれませんが、「技術という手段をもって、ピッチ上の選手達を繋ぐこと『だけ』に注力する」。風間監督のそのポリシーが変わることは此の期に及んでも尚ありません。誰を使うか、彼らを繋ぐにはどの形(システム)が最適か。与えられた選手が変わろうとも、その発想が変わることはない。だからこそ選手の質は当然ながら重要で、なにより彼らを繋ぐ上で個々の質はそれなりに近いものでなければなりません(目を揃える必要性)。

この日の名古屋は目がばらばらでした。これまでに何度も語ってきましたが、このチーム、それでは話になりません。攻守においてチームで意識的にデザインした形があるわけではなく、あくまで目が揃った選手達がボールを握ることで始めて、全ての機能が健全に循環するわけですから。

おそらく風間監督は分かっていたはずです。このメンバーでは目が揃わない、と。それでも期待してピッチに送り出し、またも期待通りとはいかなかった。決まった形がなく、技術を駆使することで選手間を繋いでいく。それは一見するとシンプルで、自由で、それでいて美しい。ただ同時に、それだけ難題を要求しているとも解釈出来ます。出来ることを目一杯やるわけでなく、出来ないことに期待し挑戦する。どんな状況でもそれを貫くことだけは変わりません。

主力が1人でも欠けるとチームが大きく揺らいだ昨年の反省を踏まえ、今年は各ポジションに高いレベルの選手達を擁し、競争させることでチーム力の底上げを図りました。しかし案の定、今年も夏のマーケットで出番が少ない選手達がチームを去っていった。ただしこれは仕方ありません。風間監督のチーム作り、またその上でのマネジメントを考えれば。

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必要だったのはその分の補強です。競争の中で出番を失った選手が他クラブに活路を見出す。クラブはその選手のキャリアに配慮し、意思を尊重する。であるならば、大事なのはその分選手を仕入れることです。この競争サイクルを機能させる上で、これはマストと言ってもいい。ただしこの点に関して、昨年と状況は異なりました。一つはクラブが求める選手のベースが上がったこと。そしてもう一つ、出て行った選手の質が高かったこと。真相は分かりかねますが、結果的に今夏は菅原含め7名の選手がチームを去り、代わりに2名の新しい選手が加わりました。ただ残念ながら現状は頭数も足りなければ、新加入選手でレギュラーを掴み取った選手もいない。残念ながらチームの競争力は落ちた印象が拭えません。

この試合に限っていえば、その現実を突きつけられた試合ともいえます。後半から流れを変えられる選手がいないため、前田をベンチスタートにする。チームが機能しなければ途端に足かせとなるネットの代わりもいない。それらを今のチームは「若手を育成すること」で解決する腹づもりです。その方向性を反対するつもりは全くありません。問題は2年半で積み上げた「選手層」の部分において、レギュラークラスの選手達とそれ以外の選手達で改めて差がついてしまったことです。このチーム作りにおいて、これも必要なサイクルの一つだったのか。はたまたこのマネジメントの限界なのか。

ACL」は目標か、ただの願望か

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もう一点。この状況において尚、風間監督のスタンスが全く変わらないことも見逃せません。シーズン前、チームは今年の目標を明確に「ACL出場」と宣言し、我々は期待を抱きました。ただし現実はここ14試合でたった1勝。これまで述べた通り、チームの状況もこの半年でまた変わりました。

それでも彼がやり方を変えることはありません。今ピッチで起きていることは、あくまで「やるべきことが出来ていないが故に起きている結果論」です。目を向けるべきは出来ていないことであり、その結果起きている現象に取り立てて意味などない。何故ならそこはそもそも考慮していないからです。結果を求めるために出来ることから手をつけていく。そんな現実的な手段もまた、この期に及んで持ち合わせてはいない。いや、分かっていてあえてこの手段を取り続けている。もちろんそれがチーム力の向上、つまりこのチームの場合、個々人のレベルアップに繋がるのでしょう。同時に目先の結果を担保する十分なキャスティングが出来ない今、そのやり方に固執することで果たして結果は得られるのか。

勿論シーズンはまだ9試合ありますから、ここでの総括は時期尚早です。いま目を向けるべきことは、このチームビルディングで求めていた結果が得られるかどうか。その目標に対し風間監督の試合での采配、彼のマネジメント、それらを踏まえた上での強化部の働き。これらがその目標に足るものかどうか。そもそもそんな目標は願望で、必達でなかったのなら話は変わります。ただしそうであるなら、ファミリーにはこう宣言すべきでした。「目標はACL出場だが、現実的には最低でも5年かかる。何が起きても我慢して欲しい」と。

では仮にこの目標がチームに課せられたものであったのなら。残りの9試合で帳尻を合わせられるかが焦点です。

惜しむらくは、今この時点で「ACL出場」の目標がどこまで本気だったのか、我々ファミリーには誰一人知る由もない大風呂敷となっていることです。つまり、何をもってこのチームの取組みを評価していくのか、その指標がどこにあるのか分からないのは、我々ファミリーにとって残念な点です。

何故ならその掲げたハードルを知ることでしか、結果的に年間を通した風間監督の采配がそれに足るものだったのか、ひいては彼のマネジメント、それをフォローするバックアップ(補強)が満足出来るものだったのか理解することには繋がらないからです。我々にジャッジを下す権利はなくとも、クラブの取組みを知る上でこれはとても重要なことです。

何度も指摘した通り、このチームの生命線は「選手層」と「競争力」です。中堅どころの準レギュラークラスの選手達を手放したことは、果たしてこのチームのサイクルにおいて不可避な出来事だったのか。それともこれまでのマネジメントにそもそも大きな問題があったのか。その文脈において、現在の風間監督の采配は身を結ぶのでしょうか。

「おい丸山!やる気あるのか!」

試合後、スタンドからは多くのヤジが飛んでいました。おそらくいま誰よりも悩み苦しんでいるのは、やる気だけではなんともならないピッチ上の選手達でしょう。